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全10回にわたり展開されている、コミックナタリーでのSho-Comi(小学館)50周年の連載企画。第7回には「ういらぶ。―初々しい恋のおはなし―」「恋するレイジー」の星森ゆきもが登場する。インタビューでは実写映画の公開を目前に控えた「ういらぶ。」のキャラクターたちに込めた思いや、作品を描くうえで大切にしている空気感の描写、星森が作品を通して読者たちに伝えたいことなどを語ってもらった。

取材・文 / 熊瀬哲子

自信を持ってオススメできる胸キュン映画

──昨日は映画「ういらぶ。」の完成披露試写会が行われましたが(参考:映画「ういらぶ。」で“平成最後のキュンキュン”を!平野紫耀ら完成披露に登壇)、星森さんも客席にいらっしゃったんですよね。お客さんと一緒にご覧になっていかがでしたか?(取材は完成披露試写会の翌日に行われた)

和泉凛役の平野紫耀(King & Prince)、春名優羽役の桜井日奈子が表紙を飾ったSho-Comi22号。 ©2018『ういらぶ。』製作委員会

素晴らしかったですね。舞台挨拶もすごくいい雰囲気で行われていましたし、そのあとに上映された映画も皆さん冒頭から笑ってくれていて。楽しんでくださっているのが伝わってうれしかったです。

──完成した映画を観てのご感想はいかがでしょう。

自分が想像していた以上にクオリティの高いラブコメができあがっていて、自信を持ってオススメできる胸キュン作品になっていると思いました。ティーン向けの映画になるのかなと想像していたのですが、随所に遊び心がちりばめられているので、もしかしたらご家族で観ても楽しんでいただける作品になっているんじゃないかと思います。

──私も試写で拝見させていただきましたが、周りの方々から笑い声が漏れていて、性別や年齢も関係なく皆さん楽しんでいる印象がありました。星森さんがご覧になって特に印象的だったシーンはどこですか?

優羽ちゃんを挟んで凛と和真がバチバチするシーンは、女の子が観てキャーって楽しんでもらえるんじゃないかと思いましたね。あとは大きなエピソードというより、自分もマンガの中でちっちゃいコマで描くような、小さな胸キュンがたくさんあったなと。1本の映画にするために原作のストーリーを組み替えたり、オリジナルの要素を入れていたりはしているんだけど、こちらからお願いしたわけではないのに、原作の小さなエピソードをちょっとずつ入れてくださっていたのもすごく感動しました。これだけ世界観を大切に作ってもらえていたら、原作の「ういらぶ。」が好きな人が観ても楽しめる仕上がりになっているんじゃないかと思います。

──少し遡って、「ういらぶ。」の映画化が決まったと聞いたときはどんな心境でしたか?

最初は「映画化が決まりました」という話ではなく、「これから映画化に向けて動きます」と伺っていたんです。まだなしになる可能性も残っていたから「期待しすぎちゃダメだ、そんな簡単に実現するものじゃない!」と、喜びたい気持ちをずっと抑えている状態が続いていて。家族や友人に言うわけにもいかないので、ずっとその気持ちを1人で抱え込んでいたら、ハンパじゃない胃炎になりました(笑)。「ぬか喜びしちゃいけない!」と抑え込んでいる期間が長かったので、実際に撮影に入った頃にやっと「あ、映画化が決まったんだ」と実感できたというか、ホッとしました。

──その「期待してはいけない」という心境のつらさは、単行本10巻の中でも書かれていましたね。主演の凛役をKing & Princeの平野紫耀さん、ヒロインの優羽役を桜井日奈子さんが演じると聞いたときはどんな印象をお持ちになりましたか?

映画「ういらぶ。」より。左から磯村勇斗演じる藤蛍太、桜井日奈子演じる春名優羽、玉城ティナ演じる坂下暦。©2018『ういらぶ。』製作委員会

もう、バッチリだと思いましたね。平野さんのことは以前からテレビなどで拝見していたんですが、ステージ上でのカッコいいところと、お話しているときの天然でかわいらしいところのギャップがある方だと思っていたので、「この方だったらきっと凛を演じられる」と思いました。桜井さんもビジュアルから優羽ちゃんにピッタリで。

──優羽ちゃんの見た目の雰囲気と似ていますよね。桜井さんは昨日の舞台挨拶で「優羽ちゃんのかわいさを自分が演じることで、うざったく見えないか心配した」とお話されていました。確かに優羽のネガティブでおどおどした性格はかわいらしく見える部分であると同時に、3次元になって、役者さんが表現するとどう見えるんだろう?というのは気になるところでした。

そう、それは絶対気になると思ったんです。でもそれも桜井さんのお芝居と、佐藤監督の演出のおかげで素晴らしいものに仕上がっていましたよね。おどおど具合も適度でしたし、笑えるところはちゃんと笑えるし、すごくかわいらしい優羽ちゃんでした。

──凛と優羽の幼なじみである暦と蛍太は、それぞれ玉城ティナさんと磯村勇斗さんが演じています。おふたりからも原作のキャラクターを感じさせられました。

そうなんですよね。空気感がキャラクターに合ってましたよね。実花役の桜田ひよりさんも、和真役の伊藤健太郎さんも含めて、皆さんとてもお芝居が上手な方ばかりだったので、見事にキャラクターを掴んでくださっていたと思います。

「ういらぶ。」はとにかくキャッチーなものを描きたかった

──2015年に連載がスタートした「ういらぶ。」ですが、星森さんは本作をどんな物語にしようと思って描き始めたんですか?

結構はっきりと覚えているんですが、そのときはひたすらキャッチーなものが描きたいと思っていたんですよね。たくさんの読者さんに読んでいただく作品にするには、絶対にヒキの強い男子と女子が必要だと。ストーリーよりもキャラクター重視のマンガを描かなければいけないと思っていた時期だったんです。幼なじみものの作品で、みんな同じマンションに住んでるっていう設定も最初から全部決まっていて、まずは凛、優羽、暦、蛍太の幼なじみーず4人のキャラ表を作るところから始めました。主人公の2人はどっちもビジュアルから魅力的なキャラクターにしたいと思って、優羽ちゃんは美少女にしたんですけど、ただそれだけでは面白くないなと思い、美少女なのに極度に自信がないという子にして。凛も“カッコよくてドS”というキャラクターはたくさんいると思ったので、ドSなのに裏ではヒロインのことを「好き好き」言っていて、直接伝えることはできない……という子にしました。

「ういらぶ。―初々しい恋のおはなし―」より、凛と優羽。

──優羽と凛の個性は1話から際立っていました。

そうですね。でも、1話の校了のときに、編集部の中で「凛が怖すぎる」っていう話にもなっていたみたいで、当時の担当さんと「ちょっとやりすぎましたね」なんて話もしていたんです(笑)。なので2巻くらいからはもう少し凛の優しさやかわいらしい部分も見せていくようにして。でもこのキャッチーさがなかったら実写化のお話もなかったかもしれないと思うと、これはこれでよかったのかなと思います。

──ドSモードのときとそうでないときのギャップをより感じられたので、1話から物語にも惹き込まれていきました。「凛は描きやすい」と単行本の中でもおっしゃっていましたよね。

  • 優羽に対してドSな発言を連発する凛。幼なじみの蛍太の前では優羽本人に言えない恋心を吐き出しながら、ジタバタするシーンがたびたび登場する。
  • 優羽に対してドSな発言を連発する凛。幼なじみの蛍太の前では優羽本人に言えない恋心を吐き出しながら、ジタバタするシーンがたびたび登場する。

はい。とにかくどんどん勝手に動いてくれるキャラクターでした。ドSぶっているときと、裏でジタバタしてるときのギャップを描くのも楽しくて。凛のことはカッコよく描こうと思っているんだけど、私の中では完全に“かわいい男子”だったので、「また素直になれなくて、バカだなあ」と思いながら描いていることも多くて。なので読者さんに「カッコいい」と言ってもらえると「あ、ちゃんとカッコよく見えていたんだ、よかった」って安心していましたね。

──優羽についても、同じように「描きやすい」とおっしゃっていました。

幼い頃から凛に「ゴミクズでダメなヤツ」と言われ続けた結果、美少女なのに極度に自分に自信がない優羽。

優羽ちゃんもよく動いてくれるキャラクターだったので描きやすかったです。でも、ただおどおどしているだけでなく徐々に自我が表に出てくるようになって、怒った表情を見せたり、凛に対しての独占欲が出てきたりしたときに、それをわがままにならずかわいく見せるにはどういうふうにしたらいいんだろうと悩むときはありましたね。ですが優羽ちゃんはとにかく「かわいい」と思って描いていたので、そこが楽しいところでした。やっぱりキャラクターは愛せないと描けないので。それは今連載している「恋するレイジー」でもそうですね。自分自身がキャラクターを「かわいいな」と思いながら描いていかないと、読者さんにも伝わらないかなと思うんです。

──「ういらぶ。」は11巻にわたる長期連載になりましたが、どんな物語にしていきたいと考えていたんでしょう。

マンガなので紆余曲折あるのは当然なんですが、疲れたときに読んで元気をもらえるような作品でありたい、ハッピーエンドの物語でありたいと思っていました。映画「ういらぶ。」を観ても感じたんですが、終わったときに「観てよかった。もう1回観たい」と思ってもらえるような作品がいいなと。そういうふうに読み返してもらえるような楽しいマンガにしたいという思いがありましたね。

──凛と優羽がすれ違ったり、思いが通じ合ったかと思えばライバルが出現したり、幼なじみーずそれぞれの恋が描かれたり……さまざまな展開が描かれていきましたが、ストーリーを考えていくうえでの苦労はありませんでしたか?

そうですね……そのときどきで悩むことはあったと思うんですけど、めちゃくちゃ苦労したっていう覚えはあんまりないです。Sho-Comiは隔週連載なので、短いページ数の中で起承転結を作って、さらに次回へのヒキを作ってという、その采配が難しいところはありましたね。でも手が止まることはないようにしたいなと思います。「何も浮かびません」ではやっぱりキャラクターたちに対しても誠意がないと思うので、しっかり悩んで、考えて、紙に描いたらあとは早めに担当さんに見せて、意見をもらう。それは心がけていることではありますね。

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映画「ういらぶ。」
2018年11月9日(金)全国ロードショー
スタッフ

原作:星森ゆきも「ういらぶ。―初々しい恋のおはなし―」(小学館「Sho-Comi フラワーコミックス」刊)

監督:佐藤祐市

脚本:高橋ナツコ

音楽:佐藤直紀

主題歌:King & Prince「High On Love!」(Johnnys' Universe)

製作:『ういらぶ。』製作委員会

制作プロダクション:アスミック・エース / 共同テレビジョン

配給:アスミック・エース

キャスト

和泉凛:平野紫耀(King & Prince)

春名優羽:桜井日奈子

坂下暦:玉城ティナ

藤蛍太:磯村勇斗

佐伯実花:桜田ひより

佐伯和真:伊藤健太郎

星森ゆきも(ホシモリユキモ)
星森ゆきも
2月22日生まれ、東京都出身。2008年にSho-Comi増刊(小学館)に掲載された「つめたくしないで」でデビュー。キュートな絵柄と等身大のピュアラブストーリーで人気を博す。主な作品に「ういらぶ。―初々しい恋のおはなし―」「そらときみと。」「恋するみつば」など。現在はSho-Comi(小学館)にて「恋するレイジー」を連載中。単行本は3巻まで発売されており、最新4巻は11月26日に発売。