コミックナタリー PowerPush - 長谷川哲也「セキガハラ」

異能×武将=トンデモ戦国絵巻 作者と笑い飯哲夫の空想歴史放談

マンガ読むと思うんですよ、作者のフェチはバレてるでって(哲夫)

淀の方

哲夫 僕気になったのが、淀の方を結構セクシーに描かれてるじゃないですか。これはやっぱり、お好きなんですか、こういう女性が。

長谷川 そうですね、好きですね(笑)。というか、正直、いつかエロマンガが描きたいんですよ。

哲夫 そうなんですか。

長谷川 ものすごい楽しいんですよ、女の裸を描くのが。

哲夫 絵がうまい男の人って、女性の絵にものすごいこだわりありますよね。淀の方もそうですけど、絶対ボインだったりとか。

長谷川 僕が描くと、女の人は全員おっぱい大きくて色っぽい姉ちゃんになる(笑)。

哲夫 マンガ読んでたら作者に対してよく思うんですけど、なんていうか、「あんたのフェチバレてるで」って。

長谷川 はははは(笑)。

哲夫 そこだけ細部までこだわって描いてるやんって。例えば電車好きな子どもが、「絵描いてきなさい」って言われて風景込みの電車を描くんですけど、山とか道とかめっちゃ手抜いてるのに、電車だけめっちゃきめ細かに描いてるやんみたいなね。

長谷川 わかります。

哲夫 そういう女の人の絵とかってやっぱり、思春期の頃から描いてたんですか?

長谷川 思春期の頃はなぜか、そういう絵を描くことはダメだと思ってたんですよ。まあ描いてましたけどね。

哲夫 いや、僕思春期のときにエロい絵を描ける子が羨ましくて。僕絵ヘタなんですよ。一生懸命エロい絵を描こうとするんですけど、ちゃうわ~ってなったりして。そんな絵描いてたらあそこギンギンになりますよね?

長谷川 なりますね。でも子供の頃は知識がなくてどうしたらいいのかわからないから、「うわああー」ってなりながら描いてました(笑)。

福島正則とか、多分ギンギンだったと思います(長谷川)

哲夫 もしかすると先生がマンガを描くようになった原点は、エロですか?

長谷川 エロですね。

哲夫

哲夫 やっぱりみんな根源はエロなんですよね。僕は絵が無理やったんで、思春期の頃は文字に走ったんですよ。エロ小説を自分で書いてたんです。で、2年前に出版させてもらったんですけどね。この、「花びらに寄る性記」という本がそうなんですけど。

長谷川 えっ、本当ですか。

哲夫 谷崎潤一郎の小説風の装丁で。一応金木犀をイメージしたんですけど、僕どうも金木犀の匂い嗅いだらね、半分勃起するところがありまして。

長谷川 ははは(笑)。どういうことですかそれ。

哲夫 金木犀の花が咲くのは秋なんですよね。今から寒くなるぞっていう時期ですけど、その時期はいつも人恋しくなるっていうか。冬の寒い季節に近づいていくと、暖かい時期から比べてキッとこう気を引き締めようと思うじゃないですか。で、引き締めるってことは防御なんですけども、これは言うたら、人間の防衛本能が働くんだと思うんです。防衛本能が働くときこそ、動物として種を残したくなって、体が反応するんですよ。で、そのときに匂い嗅いでたんが金木犀やから、金木犀の匂い嗅いだら反射的にちょっと勃起するみたいなね。

長谷川 金木犀の理屈はわからないですけど、確かに命の危険を感じると、男はそうなるって言いますもんね。

哲夫 だから、この関ヶ原の人らって常に死と隣合わせじゃないですか。みんなめちゃめちゃ勃ってたと思うんですよね。

長谷川 福島正則とか、多分ギンギンだったと思います。

歴史の真相は、ほんまにそうやったんじゃないかと思えてくる(哲夫)

「セキガハラ」2巻より。三成と家康の関係が徐々にギクシャクし始める。

哲夫 やっぱそうだと思うんですよ。……えっと、何の話でしたっけ。いや自分で言うのも偉そうですけど、クリエイターの方と喋らせてもらうと、毎回話の派生が止まらないんですよ。で、毎回エロにいっちゃうんですよね。

長谷川 いやでも、エロにいくと頭の使い方が切り替わるから、創作にはいいらしいですよ。

哲夫 脱線ばかりですみません。でも「セキガハラ」はほんと、僕みたいに歴史好きじゃなくても、楽しんで読めるマンガですんで、ぜひ皆さん読んでほしいですね。

長谷川 あ、急にありがとうございます(笑)。

哲夫 良いところはちゃんと伝えておかないと。「セキガハラ」は半分空想上のお話なので、別ジャンルのマンガとして楽しめますし、おふざけもたくさん入ってて読みやすかったです。歴史がこうなった真相は、ほんまにそうやったんじゃないかって思えてきたりもして。

長谷川 一応史実からは大きく逸脱してないので、日本史と照らしながら読むと一層楽しめるかも知れません。歴史好きな哲夫さんに薦めていただけて、嬉しいです。

哲夫 僕手塚治虫さんの「ブッダ」の映画でブラフマンの声をやらしてもらったんですけど、もし「セキガハラ」も映画になったら、なんでもいいんで役やらしてください。

長谷川 そんなことがあればお願いしたいですけど。

哲夫 できれば武将系で。石田三成やらしてください。

長谷川 それは主役じゃないですか(笑)。

写真左から哲夫、長谷川哲也。長谷川が手にしているのは哲夫の著書「花びらに寄る性記」。
長谷川哲也「セキガハラ(2)」 / 2013年12月26日発売 / 650円 / リイド社
「セキガハラ(2)」

歴史なのに予測不能の新“戦国”体験──!
本当の戦国は集団戦だけど、こっちはタイマン!
武将=超能力者が夢の対決を繰り広げる!

長谷川哲也(はせがわてつや)

長谷川哲也

1963年12月7日、長崎県生まれ。九州工業大学を卒業後上京し、マンガ原作者・小池一夫の主催する劇画村塾で学びデビュー。原哲夫のアシスタントを務めた後、歴史作品を数多く発表する。現在、ヤングキングアワーズ(少年画報社)にて「ナポレオン‐覇道進撃‐」、戦国武将列伝(リイド社)にて「セキガハラ」を連載中。

哲夫(てつお)

1974年12月25日、奈良県生まれ。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。2000年7月、西田幸治とお笑いコンビ・笑い飯を結成。2002年に無名ながらM-1グランプリ決勝戦に進出し脚光を浴び、9年の挑戦を経て2010年にM-1グランプリ王者に輝く。近年は著書「えてこでもわかる 笑い飯哲夫訳 般若心経」「花びらに寄る性記」を刊行。また2014年2月8日公開のアニメ映画「BUDDHA2 手塚治虫のブッダ—終わりなき旅—」では声優に初挑戦している。