ウザがるシーンは気合十分、アドリブもします

──全体を通して印象的なエピソードはどこでしょう。

これは結構周りのキャストも言ってるんですけど、第3話ですね。普段、誰よりもあっけらかんと、飄々としている祐が初めて男を見せた瞬間にびっくりしました。

──共働きの両親が留守にしがちで、祐は妹のために家事全般をこなすいいお兄ちゃんだったことが明らかになる回ですね。でも反抗期の妹にはそれが伝わらず、ひどい態度を取られた際に思わず本音が爆発してしまいました。

本当は高校生らしくもっと遊びたいのに。祐って自由奔放そうに見えるけど、それとは反対で、誰かのために自分自身を押さえ込んでいたんだなと気付いたシーンなので、一番印象に残ってます。それと、妹の由梨ちゃんの「ちゃんとお兄ちゃんしてよ」っていうセリフも、由梨ちゃんの素直な気持ちが表れていてかわいかったです（笑）。あと具体的なエピソードというのではないんですが、祐が諒ちゃんに構いすぎてウザがられてるシーンは好きです。祐は一応先輩なのに、諒ちゃんの当たりがちょっと強いのが面白くって。

──あの2人のやりとり、ほほえましいですよね。

僕自身も、そのシーンの収録を毎回楽しみにしてるんです。口調をより強めたり、嫌がるセリフをアドリブで足したりしてます（笑）。

名前を呼んだ瞬間、本当の仲間になれた

──ストーリーも後半に差し掛かり、第9話から10話にかけて諒に大きな転機が訪れます。

5人がやっと友達になれたというときに、海外赴任中だった諒ちゃんの父親が帰国して、来年からロンドンで家族一緒に暮らすことを聞かされるという……。9話のエンディング後に起こった急展開だったので、視聴者の皆さんも「何が起こったんだ!?」ってびっくりしたと思うんですけど、僕も「早く次の台本くれー！」っていう気持ちでした（笑）。

──諒としてはどういう心境だったと思いますか？

父親もよかれと思ってロンドンに住もうと言ってくれてますもんね。今まで帰国子女として日本で暮らしていて、ロンドンに戻りたいとか、学校がつまらないとかさんざんこぼしていたのは自分なので、しょうがないとも感じていたと思います。でも康太たちと仲良くなった今、彼らと離れたくないっていう気持ちもあり、苦しかったでしょうね。

──シリアスな9話ですが、10話では諒のバースデーパーティをみんながサプライズで開いてくれるという素敵なエピソードがありました。

諒ちゃんはここで初めて、今まで名字や敬称で呼んでいた康太たちを名前で呼ぶんです。それまで彼はサンリオ男子に加わったとはいいつつ、まだ4人に対して少し距離があったんですよね。全員でピューロランドに行ったとき、諒ちゃんをみんなに馴染ませようと祐が身を削るなんていうシーンもありましたけど、ようやく互いに気を使わない関係になれたんだなと。諒ちゃんが本当に、サンリオ男子の仲間になれた瞬間だなと思いました。

諒ちゃんも僕も、会長推しです

──花倉さんご自身は、サンリオ男子の中だとどのキャラクターが好きですか？

僕は会長推しですね。序盤で、悩んでる康太に上裸で歩み寄ってくるところとか、もうフルスロットルで面白くて。彼は彼でまじめにやってるんだけど、どうしてもシュールになってしまうのが愛しいんです。しかもあんな古風な言葉遣いの高校生、なかなかいないですよ（笑）。“面映い”とか、最初に台本見たとき読めなくて「面に映る……なんて読むの？」っていう感じでしたもん。急ぐときも「少々急ぐか」とか言って、古風な言葉使いを崩さない（笑）。会長推しの人全員に言いたいんですけど、Blu-rayの特典映像には僕の好きな面白い会長がいっぱいいるのでぜひ観てほしいですね。特に「LINE男子」っていうエピソードは絶対に外せないので！

──会長愛が伝わってきました（笑）。

僕の演じる諒ちゃんも会長のことが大好きなのはアニメを観ててわかると思うんですけど、それは彼にお父さんの姿を求めてるんじゃないかなって思うんですよね。男らしい、ってところで一番憧れの存在として見ているんだと感じます。

──確かに会長には諒も甘えているような気がします。

甘えられる存在というと祐も同じなんですけど、彼は“お兄ちゃん”なんですよね。もともと僕ゲームやドラマCDでも、諒ちゃんが祐にだけ言葉が強いのってなんでだろうと思ってたんです。でもそれって兄弟喧嘩みたいなもので、祐は諒ちゃんが弟みたいだから構うし、諒ちゃんもそんな祐に対して自分が強く出ても大丈夫って、兄のように信頼を寄せてるんだろうなと。

──なるほど。

心を開くまでにだいぶ時間がかかったので、自分を受け止めてくれる存在に出会った今、全開で甘えてるところなんでしょうね。