2017年
野本 札幌の近くの恵庭という町で上演したんですけど、なんか小旅行みたいで楽しかったですよね。
大和 うん、団体旅行みたいだったね。3月の北海道だからまだ雪がかなりあって、でも公演の時間になったらお客さんがどんどん集まってくださってうれしかったなー。
──最終章の「-Le Mouvement Final-」のタイトルとビジュアルが公開になったのが4月。そして5月には、大久保さんがセーラーコスモス役で出演されることが発表されました。
大久保 (脚本・演出の)平光さんとお会いしたとき、セーラーコスモス役のご相談をいただいて。すっごくうれしかったんですけど、卒業した私が、一緒に演じていた4守護戦士とじゃなくて1人でセラミューに戻ってくるっていうことに複雑な気持ちもあって。
大和 5戦士、仲がよかったもんね。
大久保 そうなんです。でもみんなに相談したら、「出なよ!」って言ってくれて。私たちは3作目までで終わって、すべての物語をできたわけじゃないというのはやっぱり心残りだったので、最終章の「-Le Mouvement Final-」に私が未来のセーラームーンの究極の姿であるセーラーコスモスとして出ることで、みんなの思いを昇華しようと。で、出るって決めたら……「セーラームーンの究極の姿」って何ー!? どうしよー!って(笑)。
大和 私も聡美ちゃんがセーラーコスモス役で出るって聞いてびっくりした! でもマンガを読んで、今まで聡美ちゃんがセーラームーンとしてやってきたということと、コスモスの思いが重なる部分があるなって。あとお客さんもきっと喜ぶだろうと思いましたね。
大久保 えへへ(笑)。大千秋楽のカーテンコールで「これでみんなのところに戻れる」って言ったんですが、「みんな」っていうのはやっぱり前の5戦士たちのことで。終わったあと、みんなとご飯に行って「やってきたよー!」と報告しました。
野本 さーとんのコスモスと一緒に、ちびちびの2人も発表されてますね。
大和・大久保 めちゃくちゃかわいい!
大久保 (新津)ちせ、すごく頭が良くって。
野本 「この漢字の書き順わかる?」とか問題出してくるんですけど、だいたい私が間違えてちせが正解する(笑)。
大久保 私もIQテストとか難しい掛け算の問題とか出された(笑)。そんなにぱっぱって答え出てこないし!
野本 そうそう(笑)。このとき5・6歳くらいだったのにすごいよね。舞台袖でも天真爛漫で常に自由に跳び回ってて。(山口)陽愛のほうがちょっとお姉さんなだけあって、本番のときの緊張への対処が大人だった気がする。
大久保 2人には本当に癒されたねー。
──セーラースターメイカー役の立道梨緒奈さんは2作目の「-Petite Étrangère-」ではセーラー戦士の敵、ルベウス役として出演し、4作目の「-Amour Eternal-(アムール エターナル)」でも敵のホークス・アイとして登場されましたね。5作目にして、セーラー戦士役として抜擢されました。
大久保 そうなんです、梨緒奈がついにセーラー戦士に!
野本 「-Amour Eternal-」では私が戦ってホークス・アイを浄化したのに(笑)。
大和 復活してセーラースターメイカ―に(笑)。
大久保 最初に聞いたとき、すごくびっくりしました。梨緒奈はずっとセーラー戦士に憧れていて、ウラヌスとスターライツが大好きって言ってたから、本当におめでたいことだなーって。あと私、原作の星野光くんがすごく好きなんです。だから誰がやるのかなって楽しみにしてて。
野本 (春川)芽生ちゃんだったね。
大久保 そう、私、芽生と事務所が一緒で以前から知り合いで。ビジュアル撮影が同じ日だったんですが、その現場で芽生が星野くんって知って。「芽生かー!」って(笑)。すごくカッコよかったです。
大和 最後の最後、10月1日の大千秋楽の日にすごく責任を感じて。最初のバンダイ版ミュージカルってオリジナルストーリーが多かったんですけど、今回のセラミューはちゃんと原作マンガを踏襲して「-La Reconquista-」(ダーク・キングダム編)から「-Le Mouvement Final-」(セーラースターズ編)まで進めてきたから、ここはしっかりとすべての思いを込めて演じ切りたいと思いました。
野本 私は4作目の「-Amour Eternal-」からセーラームーン役になって、最初はさーとん姉さんたちが作り上げてきたものを引き継げるのか、というところから始まって。だから大千秋楽のときには、ホッとした思いがありました。やり遂げた、って……たぶん。舞台の上ではわーってなってるので、断片的なことしか覚えてないんですが(笑)。
大和 聡美ちゃんたちの1作目はセーラー戦士が5人だったけど、ほたるちゃんたちのときは10人になっていて。外部太陽系4戦士を含め周囲が、一生懸命セラミューに取り組むほたるちゃんたちを見守ってる感じがしましたね。
野本 はい。最初は5人でがんばんなきゃいけないと話してたんです。でもいざお稽古が始まると、5人だけじゃない仲間たちが私たちにいろいろ教えてくださって。てんやわんやな5戦士と、それを見守る外部のお姉さまたち、みたいな本来の「セーラームーン」のような状態が自然と作れたので、役に入り込みやすかったですね。5戦士に外部太陽系4戦士、それにセーラーちびムーンの、この10戦士でやってこれてよかったってすごく思いました。
大和 (ちびうさ役の神田)愛莉はでっかくなったね!
大久保 本当に! こないだ私の出演舞台を観に来てくれたんですけど、もう今年で高校生になるんですよ。2作目で初登場したときは11歳くらいだったのに、今は自分でお化粧したりして、「レ、レディー!」って(笑)。「-Un Nouveau Voyage-(アン ヌーヴォー ヴォヤージュ)」でいつもわちゃわちゃしてた私たちと、ダブルキャストでちびうさを演じてた相棒の(久家)心が卒業して、「-Amour Eternal-」以降はしっかりしなきゃって思いがすごく強くなったんだと思います。
大和 「-Le Mouvement Final-」では本当に貫禄が出たね(笑)。
野本 私はもう「愛莉先輩!」って感じでした。
大和 あはは(笑)。セラミューは「セーラームーン」が大好きなキャストが集まって、お客さんも「セーラームーン」に熱い思いがあって、私たちと観客との一体感がすごかったね。
野本 DVDには大千秋楽のカーテンコールが入ってて、みんなが思いの丈を伝えているのでぜひ観てほしいです。
大和 そうだね。あと「セーラームーン」の原作担当編集のおさBU(小佐野文雄)さんと私の対談も収録されてて、この5年間を振り返ってるんだけど、私はこんな素晴らしい作品に出会えて本当にうれしかった。特に最終章は愛する心とか、信じる心とかの光と影が両面から描かれていて、とてつもない大きいものを突きつけられた気がしました。役者としてどう演じたらいいかわからなかったときも、原作を読めば答えが描いてあって、武内先生のすごさを感じて。あとセラミューをやると、すごくピュアな気持ちになるんですよね。みんなとこんなにひとつになれる舞台もなかなかないから。味方だけではなく、敵側も一緒にひとつにならないといい舞台ができない、という作品だったので、5年間みんなとお客さんとひとつになれてすごく幸せでした。
大久保 私も幸せでした。セラミューに出会って友情とか愛情を教えてもらって、私の人生が豊かになったんです。本当に、「セーラームーン」は人生の教科書だと思いますし、セーラームーン世代じゃない子たちにも知ってほしい作品です。
野本 「セーラームーン」には素敵な言葉がたくさん書いてありますしね。多くの女子の理想の存在だと思いますし、いつまでもそうあり続けてほしいです。
- 「ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』-Le Mouvement Final-」
- 2018年3月14日発売 / キングレコード
-
[DVD2枚組]
8424円 / KIBM-683~4
- DISC1収録内容
-
「ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』-Le Mouvement Final-」本編
- 音声特典:外部太陽系4戦士 オーディオコメンタリー
- DISC2収録内容
-
「ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』-Le Mouvement Final-」映像特典
- 東京公演ダイジェスト映像(ちびちび:新津ちせ)
- “ライブショー”回替わりナンバー映像(「Celestial Born」/「Eye of the Storm」)
- “ライブショー”「When Destiny Calls」プリンス・エンディミオンver.
- バックステージ映像
- 大千秋楽特別カーテンコール
- セーラー5戦士対談~思い出写真館~
- 大和悠河×小佐野文雄(講談社)スペシャル対談
- 大和悠河(ヤマトユウガ)
- 8月4日、東京都生まれ。株式会社GOOGA所属。元宝塚歌劇団宙組トップスター。天性の華やかさと類い稀な抜群のスター性でファンを魅了。卒業後は女優として、ミュージカルを中心に数々の主演・ヒロインを務め、舞台やテレビなどで幅広く活躍。2013年からのミュージカル「美少女戦士セーラームーン」タキシード仮面/地場衛役では、上海・パリ・ヒューストンなど海外のステージでも大反響を呼ぶ。2018年1月に主婦の友社より発売された最新著書「YUGA」は、海外で撮り下ろした未公開写真が満載で、帝国ホテルで暮らし、お休みはヨーロッパでラグジュアリーな日々を送るなど、大胆で“YUGA”な毎日に密着した内容だ。7月にはウェーバー作曲「『魔弾の射手』ハンブルク州立歌劇場と二期会共同制作~悪魔との契約が運命を変える~」にて、まさに物語を動かすキーパーソンである悪魔ザミエル役で待望の国際的オペラデビューを飾る。
- 大久保聡美(オオクボサトミ)
- 10月30日、千葉県生まれ。スターダストプロモーション所属。2013年から2015にかけミュージカル「美少女戦士セーラームーン」で主演を務めた。主な出演作は、ドラマ「ラヴソング」(2016)、「わたしのウチには、なんにもない。」(2016)など。そのほか舞台にも多数出演。
- 野本ほたる(ノモトホタル)
- 2月20日、東京都生まれ。砂岡事務所所属。主な出演作にミュージカル「モーツァルト!」、「銀河鉄道の夜」、舞台「けものフレンズ」など数多くの舞台に出演。テレビ東京「はっけんたいけんだいすき!しまじろう」、映画「歩いても歩いても」(是枝裕和監督)、「告白」(中島哲也監督)など、舞台や映像と幅広く活躍している。