「王様ランキング」十日草輔インタビュー|祝・単行本発売!読者に感謝のQ&A

王族の長男でありながら、耳が聞こえず言葉が話せない、非力な王子・ボッジを描く「王様ランキング」。同作は非商業作品ながら、マンガ投稿サイト・マンガハックなどでの連載が話題を呼び、ダ・ヴィンチ(KADOKAWA)とniconicoによる「次にくるマンガ大賞 2018」のWebマンガ部門にノミネート。さらにTwitterでトレンドを賑わせるなどSNSを中心に人気を集めた本作の単行本が、2月12日にKADOKAWAより刊行された。発売に合わせ、コミックナタリーでは十日草輔にメールインタビューを実施。作品や自身の経歴について語ってもらうとともに、Twitter上で募集したファンからの質問にも答えてもらった。後半には第1話から第8話までたっぷり128ページが読める、試し読みコーナーも用意している。

文・構成 / 増田桃子

おはなし

耳が聞こえず、子供用の剣すらまともに持てないほど非力な王子・ボッジは、
いつか世界一の立派な王様になることを夢見ている。
しかし周囲からは「ダメ王子」「王に向いていない」と噂される日々。
そんなボッジは、ある日、絶滅した暗殺集団「影の一族」の生き残り・カゲと出会う。
その出会いが、ボッジの人生を大きく変えていく。

登場人物

ボッジ
ボッジ

ボッス王国の第一王子。耳が聞こえず、非力なため周りからは「王の器ではない」と噂されている。そうした言葉に心を痛めながらも、人前では涙を見せず前向きに生きる、優しく強い心の持ち主。

カゲ
カゲ

絶滅した暗殺集団「影の一族」の生き残りで、ボッジの唯一の友達。しゃべれないボッジと意志の疎通がとれる。口が悪くひねくれ者だが、実はとても優しくボッジを信頼している。

ダイダ
ダイダ

ボッジの腹違いの弟で第二王子。母はヒリング。剣の腕前は大人顔負けの強さを誇り、第二王子でありながら、国民から王になることを期待されている。

ヒリング
ヒリング

ボッス王の2番目の妻であり、ダイダの母。元僧侶で、治癒魔法が得意。ダイダが王になることを望んでいる。きつい性格。

ボッス
ボッス

ボッス王国の王で、ボッジとダイダの父親。もともと豪傑な彼だが……。

ベビン
ベビン

ボッス王国四天王の1人「蛇使い」。蛇腹剣の使い手。ダイダの剣術指南役。ダイダを支持しており、ボッジの味方ではないと思われているが……。

ドーマス
ドーマス

ボッス王国四天王の1人「ソードマスター」。ボッジの剣術指南役。とても真面目で頭が固い。

アピス
アピス

ボッス王国四天王の1人「王の槍」。王の命令を忠実に守る。基本的に表情を表に出すことはない。

ボッス
ドルーシ

ボッス王国四天王の1人「王妃の盾」。ヒリングの護衛を主にしており、基本的に行動をともにしている。

十日草輔インタビュー

まさか自分が話題になるなんて

──まずは「王様ランキング」の単行本発売、おめでとうございます。

ありがとうございます。単行本化に関わってくれた方に感謝してます。とてもありがたいです。

──SNSでバズって、注目を集め始めたときはどう感じましたか?

まさか自分の作品が話題になるなんて夢にも思っていませんでしたから、なんか信じられなかったですね。不思議でした。後から感謝があふれてくる感じでした。

──今回、Twitterでファンの方から十日さんへの質問を募集しました。その質問を交えて、お話を伺えればと思います。初めはキャラクターについて、「登場人物たちの名前の由来や裏話があれば教えて下さい!」とのことですが……。

名前を決めるのが非常に苦手なので、そのキャラを象徴するところをもじって決めています。“ソードマスター”だからドーマス、“宰相(総理)”だからソリー、サンデオは“おじさん”。裏話というか、ドルーシとドーマスの名前が似てしまった事に後悔しています。年齢は決めていません。読んでくれた方のご想像にお任せしています。年齢を決めてしまうといろいろと自由が利かなくなるんです。

ドーマスらの登場シーン。名前からキャラクターを象徴する要素を考えるのも面白そうだ。

──同じくキャラクターに関する質問です。「登場人物の中に実在の人物をモデルにしたキャラはいますか?」。

実在の人を思いながら描いた記憶はありませんのでいないと思います。ただ、やはり潜在意識で無意識にモデルにしているというのはあると思います。それでもいろんな人のごちゃ混ぜだと思います。

──ちなみにボッジと、ボッジの相棒であるカゲは、もともと十日さんが絵本の登場人物として考えていたキャラクターだと伺いました。絵本ではどんなキャラクターだったのでしょうか?

ボッジという名前ではなかったです。というか名前は決めていませんでした。ただ“王子”でした。元気な王子様。カゲは盗賊の設定で、2人は友情でつながっているというよりは、完全な主従関係でした。内容は「ネバーエンディング・ストーリー」のような虚無と戦うお話を漠然と考えていましたね。