春キャベツのパスタ、ターベタコトガナイ！

卓也　ミツロウはさー、ほんとに愛した人とかいるの？

久保　いるよ、いる。

卓也　誰？ 名前は？

久保　言わねーよ!! ちゃんと好きな人いましたし、ちゃんと告白もして、ちゃんと振られました。

津田　久保先生はどっちかというと、告白する方なんですか？

久保　私はする方です。

津田　そこは肉食系なんだ。

久保　肉食というか、二度とその人と会わないためにする告白とかもあるから。

唐木　よしなよ、その玉砕的な……最近はいつ告白したの。

卓也　え、いつセックスしたの？

久保　うるせーよっ、今年入ってから男の手も握ってないよ……。何なのもー、ピュアな乙女の前で。私ほんと、男の人とろくにデートしたこともないんですよ。

卓也　お、じゃデートすっか。

久保　ほんとに？ 春キャベツ大作戦やってくれる!?

卓也　何それ。

久保　トッキュー時代にマンガにも描いたんだけど、いちばん女の子がやってみたいデートのイメージ想像図で、まず季節は春。春服に淡すぎるくらいのスカートを穿いて、表参道のオープンカフェで待ち合わせ。で表参道とかそこらへんをウィンドウショッピングするわけです。で、最後に、最後にー、代官山のイタリアンで、春キャベツのパスタを食べる！

一同　（爆笑）

久保　みんなここ笑うとこじゃないよ？ ワータシハ ソーレヲ シータコトガナイ。春キャベツのパスタ、ターベタコトガナイ！ ……まあ、そんなデートこっぱずかしいんですけど。

唐木　こっぱずかしいっていう気持ちを持っちゃうから、いけないんさ。

久保　あでも、ほんとに憧れるデートは、もつ系。「このもつ、マジうまいんだぜ食ってみ？」みたいな感じで食わされて、「あたし、もつダメだけど、これ美味しー♥」みたいな!!

一同　（爆笑）

久保　もつって臭くてダメだと思ってたけど、鮮度がよくて、しかも好きな人が食べさせてくれたら美味しかった、とかいいよね～。

津田　それ完全に性的な調教じゃないですか。久保先生だいぶキてるなー。

モテ期が来てほしいとか言ってる男はみんな絶滅してください

卓也　でもそれって「モテキ」のテーマなわけでしょ。男は自信満々で「これ美味いよー」って女に勧めていかなきゃいけないってことじゃん。

津田　え、そういうことなの？

卓也　いやだからさ、自分から動いてかなきゃいかん、ってことだよ。

久保　そのとーし!!　私も今年のテーマは無駄に人を愛すだから。

卓也　無駄にかよ！

久保　他人が自分のことを思ってくれない、っていう悩みは、30秒でやめるべき。作家性養うにはそういうのも大事。でも長く考えても意味ないかなー。

唐木　モテたいとか言ってないで人を愛しなさいってこと？

久保　そう。モテ期が来てほしいとか言ってる男はみんな絶滅してください。あなたが誰かのモテ期になってください、と。それに尽きます。指折り数えて待ってるくらいなら、誰かにそういう思いをさせたげればいい。好きじゃなくても。

津田　好きじゃなくてもいいんだ。

久保　えーだってわかんなくないっすか。私もね、もう34だけど、わっかんないよーどこからが好きだとか。

卓也　女子中学生かっつの（笑）。

久保　いやだから、この年になってもこんな悩み抱えてたら恥ずかしい、ってことをあたしゃマンガで書いてるの。あたしはけっこう自分は普通だって自信があるから、マンガで自分の悩み書いたら共感する人はいるだろうなーって自信はあったんすよ。

唐木　おお、釣れたねーいっぱい。

久保　釣れた釣れた、お前ら全員釣れたよー！ おれ太公望だよ!!!!

唐木　あの、マンガ家さんってみんなそういうとこあると思うんだけど、登場キャラってみんなどこかミッちゃんの一部が投影されてると思うのね。

久保　ねーよ、そんなこと！

一同　ええーっ!?

久保　あ、つい勢いで……。えと、フジは私の男版を描きたかったんですよ。私、男になったらもっとモテるだろうなーってずっと思ってて。だから、私の男バージョンを私の女目線から見たらどう見えるかっていうのを、読者に見せようと。

唐木　「モテキ」が特殊なのはそこだよね。普通の恋愛マンガは、男主人公は本音で女は心が読めない、とかその逆なんだけど、「モテキ」はどっちもミッちゃんの本音を喋りまくるじゃん。

久保　悪いかよ（笑）。喋らせたいから喋らせてるだけですよ。

唐木　俺フジでいちばん面白かったのは、フジは自己卑下しすぎてて、自分が周囲に与える影響力に気付いてないってくだり。でもフジが男版ミツロウならさ、ミッちゃんも自己卑下しすぎてて、自分がいかに魅力的かに気付いてない女ってことになるじゃん。

久保　あーもう……唐木くん今度ほんとにデートしようよ！

唐木　（ジョジョのポーズで）だが断る！

津田　えーなんで。春キャベツしちゃいなよ。

久保　ちょっと、そんな風に春キャベツを形骸化させないで！