コミックナタリーではスマホRPG「メギド72」の特集を展開中。同作は悪魔を使役する力を持つ青年が、世界の危機を救うため奔走する、ハードな世界観と重厚なストーリーが魅力の作品だ。2019年には優れたゲームを表彰する「日本ゲーム大賞」にて、「年間作品部門」の優秀賞に選ばれている。
第4弾となる今回は、本作にメギドの1人・ネフィリム役として声優出演もしている、野口衣織(=LOVE)に話を聞いた。演じているネフィリムのこと、収録の裏話、“推し”のキャラクター。彼女が「RPGは苦手だけど、『メギド72』にはハマった」と語る、その理由は。最後のページには撮り下ろしフォトギャラリーも用意している。
取材・文 / 鈴木俊介 撮影 / ヨシダヤスシ
見た目カワイイ、中身カッコイイのギャップが魅力
──「メギド72」でネフィリム役を演じている野口さん。まずは野口さんが、ネフィリムにどんな印象を抱いているかをお聞きしたいです。
そうですね、最初にイラストを見たときの印象は、おおらかで優しそう。心の広そうなお姉さんだなって、思ったんですけど……。
──ですけど?(笑)
キャラクター設定やセリフを読んでみたら、なんというか……ちょっとひねくれてる(笑)。彼女は人より体が大きいことがコンプレックスなんですが、そのせいでマイナス思考になっちゃってるんです。何を言われても「すみません、大きくて」とか「私……邪魔じゃないですか?」みたいな(笑)。すごく守りたくなる女の子だなと思いました。
──でも決して、守られているだけの女の子ではないですよね。
そうなんです! ネフィリムちゃん自身は戦うことが好きではないんですけど、すごく正義感があって。私が守らなきゃと、身を挺して仲間や小さい子を守るんです。そういうカッコいい女性の一面も持ち合わせている、そのギャップに萌えました。あと、意外と毒舌なんですよ(笑)。戦争したがっている人を相手に、さらっと「みんな弱いんだから無理して戦うことなんかないのに」とか言っちゃう。おとなしそうに見えるけど、なかなか図太いところもあるというか、そんなところも彼女の魅力だと思います。
──ネフィリムは今年1月のイベントクエストで初登場となりましたが、巨大すぎるため足だけになっているあの登場シーンは衝撃的でした(笑)。ボイス収録は、イベント用のものから始まったのですか?
「ネフィリムと言います。おっきくて……あの、ごめんなさい!」という、召喚された際のボイスから、バトル用のものなどを収録して、その後にイベント用のものという感じでした。
──なるほど。ネフィリムのキャラクター像というか、お芝居の方向性みたいなものはすぐ掴めましたか。
いえ、それがすごく迷って。守りたくなる女の子という面を重視したかわいい声にするか、体が大きい人って声が低めなイメージがあるので、そちらを重視した低めでおとなしそうな声にするか。当日両方試しながら、ディレクターさんに「こっちで行こうか」と決めていただいたのが今の声です。結局、低めでおとなしいほうにしたのかな。ただ最初は、私の中のネフィリムちゃんが黒すぎて(笑)。ズバズバ言える子という印象が強かったせいか、戦闘中の敵に対するセリフとかが、どこか無感情な声になりがちだったんでしょうね。ディレクターさんに「もう少し、かわいい女性らしく言えますか?」と言われることが多かったです。
役を担当していなくても、好きになっただろうな
──実際にゲームをプレイして、ネフィリムがほかのキャラクターと掛け合いしているのを目にされて、いかがでしたか?
正直恥ずかしくて、自分(ネフィリム)が登場しているシーンはほとんど「スキップ」で飛ばしちゃったんですよ(笑)。後から文章だけ、音声を消して読み直して。でも自分が演じたキャラクターがゲームに登場している、ちゃんとこの世界で生きているということがうれしかったです。あと、もし私がネフィリムちゃんの役をいただいてなかったとしても、ネフィリムちゃんのこと、きっとすごく好きになっただろうなと思って。オタク目線で普通に好きだなと思ってから、「あ、そういえばこれ私だ! 恥ずかしい!」となったりしました(笑)。
──ネフィリムのどんなところが好きですか。
なんだろう、まず見た目がめちゃめちゃ好み。こういう獣耳が生えているキャラクター、グッと来ちゃうんです。それからネフィリムちゃんって、召喚したばかりのときはどこか陰のある不安そうな顔をしているんですけど、進化させていくとだんだん表情が明るくなっていくんですよ。それが、ほかのメギドたちと一緒に行動していく中で変わっていったのかなとか、他人が信じられるようになったのかなとか思ったら、なんだか「成長したね……!」という気分(笑)。正義感があって、優しさも兼ね備えていて、戦いは好きじゃないけど、仲間を守るためなら立ち上がるところとか……好き。一緒にいたいって思える子だなって。
──キャラストーリーには年齢の近い女性メギドと、お化粧の話で盛り上がる展開もありましたが、友達になったらあんな感じなんでしょうかね。
そうですね、一緒にいたら楽しいだろうなって思います。あと……まだ話して大丈夫ですか?(笑) ネフィリムちゃん、おでこのところに大きな目があるんですよね。バトルの勝利モーションで、そこの目を前髪で隠そうとするシーンがあるんですよ。あれも彼女のコンプレックスの1つなのかもしれないなと思いつつ、一生懸命隠そうとしているのを見ると、「本当に愛おしいな……!」と思っちゃいます。愛されキャラですよ。
──野口さんは、ご自分でコンプレックスに感じているところはありますか?
いやー、ありすぎて……(笑)。
──(笑)。きっとみんなそうですよね、なりたい自分との違いっていうのは。ネフィリムも身長の低いメギドからはうらやましがられていたりして。
ね、すごくナイスバディでもあるじゃないですか。手も足も長くて、ちゃんと凹凸もあって。私は背の高い女性って憧れるし、「うらやましいよ!」って言ってあげたいんですけど、ネフィリムちゃんはたぶんずっと悩み続けるんだろうな……。私は、おでこが広いのがすごくコンプレックスで。だからネフィリムちゃんが前髪でおでこを隠しているのに、共感している部分もあるのかもしれません。
RPGは苦手だけど、「メギド72」にはハマった
──ネフィリムはパーティにも組み込んでいらっしゃいますか?
めっちゃ使ってます! 編成があまり得意じゃないので、回復役と盾役は入れておかないと負けちゃうんですよ(笑)。
──ネフィリムは「かばう」ができる貴重な盾役ですもんね。今、メインクエストはどの辺りまで?
3章の後半です。恥ずかしいんですけど、私「金冠」が取れるまで、次のステージに行きたくなくて。クリアしても「銀冠」だと、「絶対に進まない!」と思っちゃうんです(笑)。それでしばらく苦戦していて……。
──おお、けっこう負けず嫌いというか、ゲーマー気質なところがあるんですね。普段からゲームはたくさんやられるんですか?
音ゲーとか、乙女ゲーとかならやるんですけど、基本頭を使うのが苦手なので、RPGはあんまり……。この敵にはこの属性が相性いいとか、そういうのが難しくて。でも「メギド72」には、本当にハマってしまって。
──RPGが苦手なのに「メギド72」にはハマれた。何かきっかけはあったんですか?
もちろんネフィリムちゃんの役をいただいたというのはあるんですが、私が「うわ!」と思ったのがマルコシアスの奥義。「私の本性は獣!」と叫びながら、こういう決めポーズをとるんですよ(ポーズをマネしながら)。それを見て、「えっ!? すっごいカッコいい!」と思ったんです。それからほかのメギドの奥義も見たいと思うようになって。セリフを言いながら必殺技を放つことへの憧れって、小さい頃に「プリキュア」を観て憧れていたのと似ているかもしれません。変身して、技の名前を叫びながら敵を倒す瞬間が爽快で、すごく好きだったから。それと似たような気持ちを「メギド72」に、マルコシアスに感じて。
──なるほど、バトルの映像に惹かれて。
映像を観るのが楽しいから、バトル自体もだんだん好きになって。考えることが本当に苦手なので、自分でも珍しいと思ってるんですが、「この組み合わせはどうだろう?」「これとこれはどうだろう?」といろんなメギドを当てはめながら試行錯誤するのが、すっごく楽しくて。攻略サイトを見ちゃうのは嫌なので、「絶対自分の力でやるぞ!」と思いながら、本当にバトルばっかりやってます(笑)。
──すごい(笑)。プロデューサーの宮前さんが、「メギド72」はどんなゲームかと尋ねられたら、「考えることが楽しいRPGです」と答えるとおっしゃってたんですが(参照:プロデューサーレター vol.25 - 【公式】メギド72ポータルサイト)、それをまさに体感されていらっしゃるというか。
本当にそうだと思います。
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オラオラなのにわんこ、冷たく見えて中身ホッカイロ