まんが王国 presents もし羽多野渉が書店の店長だったら…?|ライバル店の江口拓也とPOP作り対決

苦しかったけど、声優の道は諦められなかった

──「エンジェル伝説」は週刊少年ジャンプ(集英社)で1993年から2000年まで連載されたギャグコメディです。ほかの作品は割と最近のものなので、どうして今この作品を選ばれたのか、若干疑問だったのですが。

「エンジェル伝説」10巻

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©八木教広/集英社

アニメ業界って今、過去に発表された作品のリメイクがけっこう増えてるんですよ。主人公の北野くんを富田信夫さんが演じてOVA化も一度されてましたけど、ぜひまた何か新しい展開が見たいなと。

──POPにもインパクト抜群な絵を描かれてましたが、北野くんは本当に愛すべきキャラクターですね。

そう、北野くんって本当に品行方正で素晴らしい人格なんです。ただ欠点なのは、誰をも震え上がらせてしまうほど恐ろしい顔立ちってことだけ(笑)。転校初日に意図せず学校の番長になってしまうとか、感情が高ぶると言葉が全部「きええええええええっ!」に変換されてしまうとか、本人は何もしていないのに彼の伝説が一人歩きしていくっていうのがものすごく面白いんです(笑)。

──顔が怖いというだけで、よくこれだけエピソードが生まれるなと思いました(笑)。

このワンパンチって強いんですよね。あらゆる応用が効いてしまう(笑)。北野くんと距離を置いてたクラスメイトたちも、物語が進むにつれて彼の優しさに気付き始めるんですよ。「この人はただの悪人じゃない。最高の不良だ!」って(笑)。

──どちらにしても勘違い(笑)。

かわいそうで、ついつい応援したくなる男の子です。

──最後は「アニメタ!」ですが、過去にラジオ番組でも紹介されてましたね。作者の花村ヤソ先生は、羽多野さんがおなもみクローバーZとしてリリースしたCD「ONAMOMI革命 ~年度末のわたし~」のジャケットイラストも描かれてました。

本屋さんでこのマンガを見つけたとき、帯の「元アニメーターが描く、リアルアニメ物語!!」という文言に惹かれて手に取ったんです。そういえば声優とかマンガ家さんの裏側を描くマンガはあるけど、アニメーターが主人公になってるものってあまりないよなと。

──アニメーターのキラキラした部分だけじゃなくって、お給料だったり、昇級だったりについても赤裸々にされてますよね。

1〜2年目は給料だけじゃ食っていけないから、職場まで実家から通える人がいいとかね。アニメーターってなんて過酷を極める世界なんだろうって。作品の打ち上げでアニメーターさんと触れ合う機会も今までありましたけど、とても生き生きとお仕事されているイメージだったのでこれほどまで大変だったとは思いもしなかったです。

──そんな中でも、主人公のユキムラたちがアニメーターの仕事を続ける理由ってなんだと思いますか?

おそらく、アニメが好きっていう気持ちが大前提にあるからじゃないでしょうか。これは僕も共感するところがあって。我々も声優として生きていく限り、ずっとオーディションを受け続けていくってことになるんです。それで役に受かることって本当に稀ですし、そもそもオーディションに呼ばれないこともある。だからオーディションの苦しみも、声優の仕事のひとつだっていうふうに捉えているところがあります。

──なかなか役が決まらず、つらかった時期はありますか?

デビューから1年ぐらいずっと落ち続けてたときは、さすがにもう声優の道を諦めたほうがいいんじゃないかなとも思いました。部屋にあるマンガも見たくなかったぐらい悩んだんですけど、やっぱり好きの気持ちをやめることはできなかったですね。

真面目な人間って不利じゃん!!

──羽多野さんって「YAWARA!」に憧れて柔道を始めたり、「SLAM DUNK」に憧れてバスケを始めたり、マンガから影響を受けたものも多いですよね。今回おすすめとして挙げてもらった作品の中で影響を受けたものってありますか? 例えば「エンジェル伝説」を読んで不良になりたかったとか……。

不良に憧れたとかはないですけど、僕、昔から思ってることがあるんです。女性って、どうしてあんなに悪い男が好きなのかが謎すぎる!(笑) たぶん悪い人がちょっといいことをしたらめちゃくちゃプラスに見えるっていうギャップなんでしょうけど、逆に普段真面目に生きてる人が少しでもイメージと違う行動をしたらそれが致命傷となってしまうじゃないですか。もう、真面目な人間は不利じゃん!!(笑)

──あはは(笑)。確かに今日のPOP作りを見てても、羽多野さんってとても真面目な方だなと思いました。

真面目って不利だなあって思いながらも、悪くもなれなかったのがまあ今の自分なんですけどね(笑)。

羽多野渉

──江口さんはそんな羽多野さんと対照的というか、自由でマイペースな印象でした。おふたりは同じ事務所(81プロデュース)に所属されていますが、羽多野さんにとって江口さんはどんな存在ですか?

僕にとっての江口くんは本当に頼れる後輩です。自由に生きてるように見えて実は思慮深いという、ものすごくバランス感覚に優れた男。81って見た目と中身にギャップがある人が多いんですけど、江口くんもその1人ですね。逆に僕ぐらいですよ。真面目そうに見えて本当に真面目なのは(笑)。

「キャプテン翼」のエネルギーがこれからの時代に必要かも

──江口さんと普段、マンガの話をされることってありますか?

「青のフラッグ」1巻

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©KAITO/集英社

そういえば前、江口くんから「青のフラッグ」を勧められました。ロケバスの中で「羽多野さん、これ好きじゃないですか?」って言われて、その場ですぐ読んで「うん、大好き!」って(笑)。江口くん、おすすめ作品に入れると思ってたな。

──江口さんは「自分の原点」というテーマでおすすめマンガを選ばれたので、全部小学生のときに出会った作品だそうです。羽多野さんは、原点のマンガってなんですか?

自分の出発点というと、ジャンプ作品がけっこう多いですね。「SLAM DUNK」もそうですし、「BASTARD!! -暗黒の破壊神-」はある意味、僕の癖(へき)みたいなものを作ってしまった罪深い作品です。

──癖と言うと?

「BASTARD!! -暗黒の破壊神-」16巻

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©萩原一至/集英社

2次元における女性キャラクターの好みは、完全に「BASTARD!!」の影響を受けてると思います。やっぱり長期連載なだけあって萩原一至先生の絵柄も徐々に変遷していくんですけど、僕が特に好きなのは16巻ぐらいの絵柄かな。

──肉感的でセクシーですね。

こういった女性たちがたくさん出てくるわけですよ。それを主人公のダーク・シュナイダーが、敵も味方も関係なく本能のままに操っていく(笑)。もうずっと単行本が止まってるので、萩原(一至)先生には早く続きを描いてもらいたいです。

──最後に、羽多野さんがマンガを大人買いするとしたら何を選びますか? というのも、まんが王国って“お得感No.1”を謳っていて、毎日最大50%のポイント還元がされるなど、ポイント購入金額に伴って還元率が高くなることから、まとめ買いに最適なんです。

「キャプテン翼」1巻

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©高橋陽一/集英社

僕自身も集めたいですし、人にもぜひおすすめしたいのが「キャプテン翼」。子供の頃に「キャプテン翼」のアニメが放送されてたんですけど、ちゃんと観れてはいなかったんです。それが2018年に再びアニメ化されて、僕が北海道代表ふらの小のキャプテン・松山光を演じさせていただくことになって、じゃあこれを機に原作を改めて読んでみることにしようと。そしたらなんとまあ、キャラクターたちがめちゃくちゃなことしてるんですよ(笑)。有名な“スカイラブハリケーン”はもちろん、駅のホームを挟んでパス練習したり、走ってるバスの下をくぐらせてシュートしたり……(笑)。アフレコでもさすがに本番は我慢しましたけど、テスト中はみんな笑いをこらえきれなかった(笑)。

──ツッコミどころ満載ですね(笑)。

こんな予想のつかない展開を次々と繰り出す、高橋陽一先生の発想力って本当に素晴らしいなと思います。この常識に縛られないエネルギーが、メッシさんをはじめとする世界中のサッカー選手たちを育てたんだなと。このエネルギーがこれからの時代さらに必要になってくると思うので、ぜひこの名作を今の子供たちにも読んでほしいですね。

──今、「キャプテン翼」をすごく読みたくなってます。

我ながら、おすすめの仕方も板についてきましたね。だんだん本当に書店の店長なんじゃないかって錯覚してきました(笑)。

左から江口拓也、羽多野渉。
羽多野渉の手作りPOPプレゼントキャンペーン

期間:2020年11月6日(金)~19日(木)

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