アニメ「テイルズ オブ ルミナリア The Fateful Crossroad」上村祐翔が飄々とした圧倒的王子様キャラの役作りを語る

ゲームを中心にさまざまなメディアミックス展開を広げる「テイルズ オブ」シリーズ。そのシリーズ最新作として登場したiOS / Android向けゲームアプリ「テイルズ オブ ルミナリア」のスペシャルアニメ「テイルズ オブ ルミナリア The Fateful Crossroad」が、各サブスクリプション動画配信サービスで配信中だ。アニメでは21人いる主人公のうち、8人のキャラクターが登場。敵対してしまう幼なじみのレオとユーゴの2人にフォーカスを当て、それぞれが抱く“正義”を軸に、ゲーム本編でも今後登場する重要なエピソードが描かれる。

コミックナタリーではアニメの配信を記念し、「テイルズ オブ ルミナリア The Fateful Crossroad」の特集を全3回にわたって展開。最後となる第3回では、リュシアン・デュフォール役の上村祐翔にインタビューを行った。当初8人のメンバーに入っていなかったというリュシアンは、“麗しいから出したい”という監督の熱望と、圧倒的戦力を誇る敵国とのバランスを鑑みて投じられたキャラクター。そんなハイスペックな人物を上村はどう捉え、演じたのか。アニメの見どころはもちろん、自身の信条や、日頃のリラックス法といった話題も交えて語ってもらった。

取材・文 / カニミソ撮影 / 曽我美芽

アニメでも1人ひとりの思惑が交錯する様子が垣間見える

──まずはアニメ「テイルズ オブ ルミナリア The Fateful Crossroad」の完成版をご覧になった率直な感想を聞かせてください。

ゲームアプリの「ルミナリア」は、それぞれの正義を抱く21人のキャラクターを主人公とした群像劇なんですが、アニメでもアプリ同様、1人ひとりの思惑が交錯する様子が垣間見えて、すごく見応えがありましたね。アニメはゲームよりもさらに、アクションの演出や感情が伝わりやすくなっていて、初めて触れる方も楽しんでいただけるのはもちろん、ゲームを楽しんでいればよりアニメも楽しめるし、アニメを知っていればゲームもより楽しめる、そういう相互作用のある作品になっているなと感じました。あとは何より神風動画さんやANIMAさんが手がける映像の動きが滑らかで、戦闘シーンも迫力があって。アプリの戦闘シーンも十分クオリティが高いんですけど、よりブラッシュアップされた形となっていて感動しました。

アニメ「テイルズ オブ ルミナリア The Fateful crossroad」より、リュシアン・デュフォール。レオたちが通う騎士学校の精鋭特殊選抜クラス・ブレイズの筆頭で、その聡明さから、さまざまな作戦を成功に導いてきた実績を持つ。日頃は紅茶や茶菓子を好んで嗜む。

アニメ「テイルズ オブ ルミナリア The Fateful crossroad」より、リュシアン・デュフォール。レオたちが通う騎士学校の精鋭特殊選抜クラス・ブレイズの筆頭で、その聡明さから、さまざまな作戦を成功に導いてきた実績を持つ。日頃は紅茶や茶菓子を好んで嗜む。

──戦闘シーンといえばリュシアンと、敵対する帝国の狼将・アレクサンドラが戦うシーンは、カメラワークも凝っていて印象的でした。

アニメの収録段階でも、ある程度ラフの映像はできていたんですけど、まさかあそこまでカッコよくしていただけるとは思わなかったので、本当に感無量でした。言動や所作もそうですが、2人とも美しく麗しい見た目なので、戦っているさまもすごくきれいですし。特にアレクサンドラからの攻撃をリュシアンが避けたときに、アレクサンドラが勢い余ってバランスを崩すんですけど、そこでリュシアンがお姫様を扱うかのように彼女を支えるところが好きですね。ほかのキャラクターとはまた違った彼の魅力が表現されていて、面白いなと。

上村祐翔

上村祐翔

上村祐翔

上村祐翔

──敵に囲まれて絶体絶命となったレオを、単身敵陣に乗り込んで助けだすシーンも、リュシアンが王子様で、レオが一瞬お姫様に見えたような気がしました。

リュシアンといると、みんなお姫様になっちゃうという(笑)。レオを救出するシーンでは、全身にアニメならではのエフェクトが加わっていて驚きましたし、彼の持つクールな部分が戦う姿からも伝わってきて、すごく力を入れて描いてくださったんだなと思い、うれしかったです。連邦側のレオ、セリア、リゼット教官といったメンバーに、リュシアンが加わったことによってアクセントととなり、一気にチームワークのバランスがよくなったと思いますね。みんなの会話の中からも和やかな雰囲気がうかがえて。

──リュシアンはレオたちとは別の、帝国の宰相を暗殺するという任務のもと、アニメの舞台となる国境付近の街・リュンヌを訪れますよね。それって本来極秘だと思うんですが、あっさりリゼット教官やレオたちの前で明かしてしまっていて驚きました。逆にレオたちのほうが戸惑っていて。

あまりにもサラっと重大なことを言うもんだから、みんなの反応が一瞬遅れてましたよね(笑)。レオを助けるために、神器を使っていたじゃないですか。最初からそのための手段だったのかなと思いきや、実は宰相を暗殺するために法王から借りてきためちゃくちゃ重要なアイテムだったっていう。

アニメ「テイルズ オブ ルミナリア The Fateful crossroad」より、左からレオ、セリア、リゼット。

アニメ「テイルズ オブ ルミナリア The Fateful crossroad」より、左からレオ、セリア、リゼット。

──リュシアンが神器を壊してしまったことをリゼット教官に報告するシーンなんかは、かなりコミカルでしたね。

あのカッコいいリゼット教官が、リュシアンによって調子を狂わされるというそのギャップがかわいらしかったですよね。そこの場面は一緒に録ったリゼット役の嶋村侑さんとも、「このギャップがいいですよね」と意見が一致して。リュシアンはリュシアンで、教官に肩を掴まれてカクンカクン揺すられながら、ずっと目を細めて笑っているっていう。そうされながらも次の瞬間「そんなことはどうでもいいんです」と言って、すぐ切り替わる。アニメではそういう切り替えの早さも大事にしながら、リュシアンのコミカルな部分とシリアスな部分を楽しんでいただきたいという思いで演じました。

リュシアンって何者なんだろうって、いい意味で謎が深まりました

──切り替えの早さを意識したとおっしゃいましたが、リュシアンについてはどんなふうに役を作り上げていったのでしょうか。

とにかく「この人には一体何が見えているんだろう」「どこまで知っていてこの戦いに挑んでいるんだろう」という掴みどころのなさと、余裕そうな雰囲気をまといつつ、ブレイズ筆頭としての“ただものではなさ”を出したいと思いました。そういう要素が自分の出す声からにじみ出ればいいなと、収録時はいつもリラックスした状態で挑むようにしていましたね。あとは紅茶を嗜むかのように言葉を発することを意識して。ゲーム収録のときから、後輩で1年生のレオががむしゃらに向かっていく姿と対比になればいいなと思いながら演じていたのですが、アニメではその対比が存分に出せた気がします。

──紅茶といえば、個人的にリュシアンに対してイギリスの貴族のようなイメージを抱いているんですが、上村さんは以前イギリスに留学していたことがあるとのことで、そういった経験がどこかに活きている部分もあるのかなと。

語学留学で渡英して、プライベートでも年末年始を過ごしたことがあるんですけど、確かにそのときのイメージがあるからこそ、リュシアンは役に入りやすかったのかもしれません。僕もよくアフタヌーンティーを楽しんでいましたし、街の風景も日本とは違って、どちらかというと「ルミナリア」の世界観に近いというか。お城など、リュシアンがそこにいてもおかしくない、絵になるような風景ばかりですし。

上村祐翔

上村祐翔

上村祐翔

上村祐翔

──ゲームとアニメとで、それぞれ演じ方を変えた部分はありますか?

アニメではコミカルな部分が多く描かれていたので、優雅さを出そうと意識しました。ゲームの戦闘中ボイスでは、リュシアンなりの焦りであったり、仕留めなきゃいけないという使命感に駆られた気持ちを大事にして。あとは「セリアさーん」(実際のキャラクターボイスを再現)みたいな感じで、緊張感のある場面で全然緊張感のない声を出したりとか(笑)。

──あのセリフの言い回しはスタッフからではなく、上村さんのほうからこうしようとアプローチをした部分だったんですね。

現場では僕もアプローチしつつ、監督からもディレクションをいただいて作り上げていって。1つひとつのセリフが持つ空気感や温度に細かく差をつけて録らせていただいたので、すごく楽しく演じられました。わからなかったところはすぐ聞いたりできる環境を整えてくださっているので、そこはもう信頼して身を委ねていますね。自分で持ってきたアイデアを出して、間違ったら修正して。そうすることでどんどんキャラクターの理解度も増していくので、細かい作業ですけどすごく楽しくやらせていただいています。リュシアンって何者なんだろうって、いい意味で謎が深まりましたし、演じている僕自身も戸惑うくらい、聡明で優雅で。そういうリュシアンに改めて憧れを抱きました。

2022年1月31日更新