新鋭シマ・シンヤが贈るクライムサスペンス「ロスト・ラッド・ロンドン(Lost Lad London)」の単行本1・2巻が、2冊同時に刊行された。月刊コミックビーム(KADOKAWA)で連載されている同作は、ロンドン市長殺害事件を軸に、容疑者の青年とワケあり刑事の数奇な運命を描く物語。SNSには「表紙買いしたけど当たりだった!」「海外ドラマを観ているみたい」といった感想が散見され、発売から2週間経たずに早くも重版が決定した。
コミックナタリーでは発売を記念して、「ロスト・ラッド・ロンドン」の魅力をより多くの人に知ってもらうべく特集を展開。第1話と第2話の試し読みも用意しているので、この絵に惹かれた人はぜひ読んでみてほしい。
文 / 鈴木俊介
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ロンドン市長が地下鉄で殺された!
凶器はなぜか、俺の上着に入っていた
ロンドン市長のキング氏が、地下鉄で死んでいた。遺体には刃物らしき傷があるが、凶器は見つかっていない──。
平凡な大学生・アルは、偶然にも市長が殺されたのと同じ時間帯に、同じ地下鉄を使っていた。ニュースは市長殺害の話題で持ちきりだったが、友人に「一緒に乗ってたかもな、犯人」と言われても、クールな彼は「確率的にないと思うけど」とあまり興味がない様子。しかしアルは、自分の上着のポケットに身に覚えのない血まみれのナイフが入っているのを見つけてしまい、否応なく事件に巻き込まれていく。
不意に鳴り響く玄関のブザー。「警察の者です」という来訪者の声は、ナイフを見つけて動揺するアルの心を、さらに暗闇へと突き落とす。
アル・アドリー
「容疑者ってことですか」
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容疑者の青年×ワケあり刑事
2人で真犯人を見つけるんだ
一方、アルの家にやってきた中年の刑事・エリスは、冤罪だったかもしれないかつての事件を解決に導けず、それから20年が経っても苦い思いを引きずっていた。
市長殺害事件の目撃者を探しているというエリスに、アルはナイフを見つけたことを正直に告白する。「そのナイフ俺のじゃないです」「どうしたらいいのかわからなくて」と頭を抱えるアル。その姿に、エリスの中であの日無罪を訴えていた青年の姿が重なる。
まだ間に合う、真犯人を見つけるんだ──。エリスはアルに、そう言って協力を申し出る。
容疑者の青年とワケあり刑事、2人の数奇な運命の輪が回り始める。
レニー・エリス
「手を貸せ。真犯人を見つけるんだよ」
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コラム 人種的マイノリティの物語として