「俺の生き様見とけよ!」
──今回は同じく声優の内田雄馬さんと、実写作品で初めて共演されたことにも注目が集まっています。
雄馬と共演する機会も増えましたけど、それでもここ2年くらいの話なんです。最近よく話すようになってきたタイミングでこのお仕事をいただいて、むしろこの作品がきっかけでより距離が近くなった感じがしますね。これは先輩からのちょっとした印象なんですけど、今回の共演をきっかけに懐かれはじめたなっていう印象はあります(笑)。
──へええ、そうだったんですね。最近は「BANANA FISH」や「ぐらんぶる」などでの共演も印象的ですが、アニメの現場と今回のような実写の現場とでは、また違った雰囲気があったのでしょうか。
これは雄馬と僕とで大きく違うと思います。というのも、雄馬は僕よりもキャリアで言ったら15年は下なわけですよ。そうなると先輩の僕としては下手こけないんですよ。「あれ、この先輩、アニメの現場ではイケイケで楽しくやってるけど、完全に内弁慶だな」って思われるようなことがあったら!(笑) これ、被害妄想だと思うかもしれないですけど、けっこうデカいですよ! 2、3歳の差だったらまだしも、ひと回り以上違うわけで。今後も雄馬とはアニメや吹き替えの現場で一緒になるのに、そこで「あいつこんな調子こいてるけど、あの現場ではあんなんだったんだぜ」って思われたら、男としてやってけねえっスもん!(笑)
──まさかそんなところでプレッシャーを感じていたとは(笑)。
オファーをいただいたときは、どなたがガーくん役をやるかはまだ知らなくて、どなたが来てくれたとしてもうれしかったんですけど、「内田雄馬」っていうのを知ったときに「やってくれたな!」と思いましたよ。「俺の退路を断ちやがったな!」と(笑)。「慣れない仕事だから一緒にがんばっていこうね」とかじゃないですからね。「俺の生き様見とけよ!」って心意気でしたから(笑)。
──あはは!(笑) いや、もちろん内田さんはそんなふうには言ってませんでしたよ(取材は内田が先に行われた)。「いつものアフレコと変わらず、真摯に臨む姿がカッコいい」とおっしゃってました。
いいこと言ってくれますね、500円振り込んでおきます(笑)。
──少ない(笑)。でもそうやって後輩の内田さんの前であり、慣れない仕事でもあり、現場に入るときに緊張感はあったのでしょうか。
あ、それはまたちょっと違う話になるんですけど、緊張感はなかったんです。もちろん緊張はしているんですけど、「どのタイミングで緊張感を持つか」が大事だと思うので。進行表をもらっていても予定通り進むとは限らないのに、それを慣れてない人間が勝手に決めきって緊張感を作っていってしまうと、今度はそこから歯車が狂っておかしなことになってしまうときもある。過去にそういう経験があったので、緊張はしていましたけど、カメラが回るまで緊張感は持たないほうがいいだろうと思っていました。雄馬は今の若手の代表の1人としてこれからもいろんな現場で活躍していく人だと思うので、すでに知っているとは思うんですが、先輩としては「楽しんだもん勝ちだよ」っていうのを一緒に体験できたらいいなと思っていました。
──福山さんから見て、内田さんはどんな後輩ですか?
彼は人懐っこくて誰からも好かれるタイプで、これはもう才能だと思うんです。声優というフィールドの中で伸びていってほしいという思いがあるので、厳しいことも含めて現場の中でアドバイスしていきたいとは思います。ただそれを「これからアドバイスします」みたいな雰囲気でしたら、絶対構えてしまうじゃないですか。なのでなるべく楽しい会話をしながらちょこっと言えるような関係であれたらと。僕と雄馬に限らず、僕らの世代が若い子たちにもっとそういうことを言えるようになったらいいなと思います。
──素敵な関係だと思います。
彼らの世代が今後どういうふうに活躍していくのか、僕らも楽しみにしているんです。声優業界に限らず活躍していけるか、個人の勝負にもなると思いますが、僕らもそれを後押しできるようにしたいなと。それは声優が世に出るためというよりも、僕らがやっている仕事をより多くの人に理解してもらって、楽しんでもらいたい。作品を観てもらいたいんですよね。彼が活躍することでより作品を楽しんでくれる人口が増えるのであれば、どんどんがんばっていってほしいです。
──内田さんも福山さんからのそういったエールはうれしく感じるのではないでしょうか。
そして、彼がスターダムにのし上がって「情熱大陸」とかに出るぐらいになったときに、「思い出に残っているのは『霧ヶ峰』のWebムービーで共演した福山さん」って言ってもらえたら、「あのときの種がようやく芽吹いたか」って僕がニヤニヤできると思います(笑)。
映っていないところでも常に動いてます
──以前「ペルソナ5」の特集(参照:アニメ「ペルソナ5」特集 福山潤インタビュー)でコミックナタリーにご登場いただいとき、「冷蔵庫を持っていない」とお話をされていましたよね。あれにすごく驚いたんですけど……さすがにエアコンはお持ちですよね?
さすがにあります(笑)。今の日本にとってエアコンはライフラインですから! 冷蔵庫がないっていうのは、僕、自炊をしないんです。でもそろそろ買おうとは本気で思っているんですよ。だってこの話をしだすとヤバい奴だっていう目で見られるので(笑)。
──はい、ビックリしました(笑)。
電子レンジもないですからね。テーブルもないし、タンスもない。でも、エアコンに関してはないとキツすぎますからね。この記事は全国の方が読んでいると思うんですけど、東京の夏は本気でヤバいですから。
──Webムービーが公開されたあとにSNS上などで反響を見ていると、若い方でも霧ヶ峰に興味を持っている方が多数見受けられました。
生活シーンにあわせて最適な運転モードや気流に自動で切り替えてくれるって、ホントに便利ですもんね。熱々のカレーを食べたときとか、運動したときに、自動で調節してくれるなんてありがたい。気温や湿度は人間の健康にダイレクトに関わることだから、すごく重要な機能ですよね。
──私も今回の動画を観て試してみたいなと思いました。では改めて、今回のWebムービーの注目ポイントがあればお伺いしたいです。
僕、今回全部本気でやっているので、顔が映っていなくても踊ってたりしているんですよ。ガーくんしか撮ってないところも、ミネさんしか撮っていないところでも、常に動いてるんです。
──映っていないときでも?
というか、画角がわからないので(笑)。経験がないので、「ここは映ってないからやらなくていいや」なんていう匙加減もできないんですよ。だからあのムービーの中では常に動いてます。なので一度観ていただいた方も、「こいつ、今映ってないけど踊ってるんだな」と思ってもう一度観てみてください(笑)。当日は短距離走を1日中やってるくらいの疲労感だったんですが、あのテンションを1日中やっていたんだと踏まえて、福山潤バカじゃないか?と思いながら観ていただいたら2回目、3回目も楽しんでいただけるのではないかと(笑)。
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内田雄馬(ガーくん役)インタビュー