「神之塔 -Tower of God- 工房戦」特集|植村あかり、運命的な出会いで「神之塔」が大好きに「観た後は、少し生きやすくなる」

TVアニメ「神之塔 -Tower of God- 工房戦」の放送が10月にスタートした。第1期から約4年の期間を経てスタートしたアニメ第2期の後半を飾る、原作でも人気のエピソードだ。そんな「工房戦」ではアニメ第1期のラストで離ればなれになった仲間たちが再び登場。塔の犯罪組織・FUGに人質を取られ、ビオレとして塔を登る夜を再び仲間にすべく、かつての夜の仲間・クンたちが塔の30階で開催される工房戦に挑んでいく。

コミックナタリーでは「神之塔」の大ファンだという元Juice=Juiceの植村あかりにインタビューを実施。ラークがタイプのキャラクターだという植村が、「観た後に少し生きやすくなる」という「神之塔」の魅力や、好きなキャラクター、2024年6月にJuice=Juiceを卒業してからの日々についても幅広く語ってもらった。また植村はあるキャラクターをイメージして選んだという衣装で取材に登場。さまざまな表情を見せてくれた撮り下ろし写真もお楽しみに。

取材・文 / 岸野恵加撮影 / 入江達也

植村あかり、「神之塔」と運命的な出会い

──今日の植村さんの髪型とスタイリングは、もしかして……。

はい、ビオレを意識してみました! クンもたまに髪を縛ると思うんですが、ポニーテールは作中の大事なシーンに登場するイメージがあって、特別感が出るかなと。グループ卒業前は衣装も含めきらびやかなお洋服や派手な柄を好んで着ることが多かったし、オールブラックはなかなか着ないので、新鮮な気分です。

植村あかり

──そこまで深く考えて来てくださって感激です……! 今回は、植村さんが「神之塔」をご覧になっていることを、2022年のInstagram投稿で知ってお声がけしました。これまで植村さんにはマンガやアニメについて発信している印象があまりなかったんですが、普段、マンガやアニメにはどのくらい触れていますか?

ファンの方にもきっと、私がマンガやアニメを熱心に追っているイメージはないと思います(笑)。「呪術廻戦」とかメンバーに薦めてもらった作品を観ることはあったんですが、コロナ禍に時間ができたことをきっかけに自分から進んでいろいろ観てみようと思って、まずは「犬夜叉」「BLEACH」から入りました。

──導入から、なかなかの長編ですね(笑)。

そうなんです(笑)。でも「犬夜叉」は「半妖の夜叉姫」までしっかり追いました! あとは「不滅のあなたへ」も観ました。ハラハラするような、ストーリーに波のあるお話が好きかもしれないです。

──「神之塔」には、何がきっかけで出会ったんですか?

「犬夜叉」「BLEACH」を観た後、ある日配信サービスの「こちらの作品もオススメ」的な機能で、運命的に出会ってしまったんです。なんとなく1話を観てみたら、もう面白すぎて止まらなくて!

TVアニメ「神之塔 -Tower of God- 工房戦」ビジュアル。中央に描かれているポニーテールの少年がジュ・ビオレ・グレイス。

TVアニメ「神之塔 -Tower of God- 工房戦」ビジュアル。中央に描かれているポニーテールの少年がジュ・ビオレ・グレイス。

──イッキ見したんですか?

アニメ1期をまず全部観ました。そこから、原作ではさらに物語が続いていることを知って、最新エピソードまで全部読んだんです。最初は無料で読める範囲にとどめていたけど、広告を見たりマンガコインを貯めるのがもどかしくなって、すぐに課金しました(笑)。

ファリョンとマジノがお気に入り、“生きている”キャラの魅力

──原作は現在も連載が続いていて、600話以上が発表されていますが、1期でアニメ化されたのは78話まででした。続きが知りたくなる魅力は、どのあたりにあったのでしょう?

誰にスポットライトを当ててもしっかり成立するくらい、キャラクターが立っているところですかね。別のキャラクターにフォーカスされている間、ほかのキャラクターにもちゃんと時間が流れている感覚を覚えるというか、生きている感じがするんです。あまり二次元という感じがしないんですよね。

植村あかり
植村あかり

──なるほど。確かに「神之塔」の魅力を語るうえでは、個性豊かなキャラクターの魅力は外せないですよね。植村さんが特に好きなキャラクターは誰ですか?

うーん、すごく悩みますね……。今の気分でお答えしてもいいですか? 2人いるんですけど、ファリョンとウレック・マジノです。

──男女それぞれ挙げてくださいましたが、まずはファリョンから。FUGのメンバーである案内人で、クールなキャラクターです。

とにかくカッコいいですよね! 大人っぽいビジュアル面も好きです。潔い性格や、試すような言葉をかけて挑発するところも、お姉さん感があって大好き。でも人情味もしっかり垣間見えるんですよね。ファリョンを見ていると、私もこんな落ち着きが欲しいし、声のトーンがこんなに素敵だったらいいなあと憧れちゃいます。

ファリョン。かつてはカレンとして夜たちに接触していた塔の案内人。ビオレも所属する塔の犯罪組織・FUGのメンバーでもある。

ファリョン。かつてはカレンとして夜たちに接触していた塔の案内人。ビオレも所属する塔の犯罪組織・FUGのメンバーでもある。

──ファリョンも含め、「神之塔」に出てくる女性キャラクターは凛として自立した人が多いですよね。

そうなんですよ! きっと心構えをしっかり持っていないと、塔の中を渡り歩いてこられなかったんだろうな。エンドロシは、「この世界にもアイドル的な存在がいるんだ!」と、なんだかうれしくなりました(笑)。

エンドロシ。かつてクンや夜とともに塔を登っていた女性。ザハード家の姫であり、アイドルという顔も持つ。

エンドロシ。かつてクンや夜とともに塔を登っていた女性。ザハード家の姫であり、アイドルという顔も持つ。

──王野とダンが熱狂している描写もありましたね(笑)。一方、マジノはどういう部分がお好きですか? 上半身裸で自信家の、強烈なキャラクターですが……。

初登場のときから「おやおや……!?」と思うくらい、インパクト絶大でした(笑)。自分の目的がしっかりと決まっていて、それ以外のことは「面白ければなんでもいい」という強メンタルなところがとても好きですね。あと、マジノさんは自由を象徴している方だと思うんですけど、私もJuice=Juice時代に、“自由”という言葉をモットーに掲げていたんですよ。

ウレック・マジノ。「この塔でもっとも強い存在のうちの一人」と言うほどの自信を持ち、塔内ランキングでは4位に位置する。常に上裸で背中には自身の名前のタトゥーを入れている。

ウレック・マジノ。「この塔でもっとも強い存在のうちの一人」と言うほどの自信を持ち、塔内ランキングでは4位に位置する。常に上裸で背中には自身の名前のタトゥーを入れている。

──植村さんがリーダー時代に「自由」を掲げていたのは、確かメンバーそれぞれが枠にはまることなく、個性を出してほしいからだと、ブログに綴っていましたよね。

はい! リーダー時代はオリジナルメンバーが私だけだったので、せっかくなら新しいJuice=Juiceの形を見せたいと思って。メンバーにはよく「既存の曲でも少し違う歌い方をしてみよう」「もっとアレンジしてもいいよ」という話をしていました。

──植村さんは1期と2期の放送の間に「神之塔」にハマったわけですが、原作を追ってから2期の放送を迎えて、マンガとアニメで印象が変わったキャラクターはいますか?

声の印象は大きいですよね。「わあ、こういう声なんだ!」と新鮮だったり、「ああ、やっぱりこの人はこんな声だよね」と耳馴染みがあったり。グストアンはタバコをふかしながら初登場しましたけど、意外と高い声で驚きました。もっと渋くてシャープな声を想像していたんですよね。でも「これはこれで、想像が膨らむな」と、今後に待ち受けている激戦が楽しみになりました!

潔く、同情させないラヘルの雰囲気は塔にふさわしい

──ちなみに……物語のキーとなるのは夜とラヘルですが、ラヘルは1期のラストで、夜を裏切る展開が衝撃的でした。植村さんはラヘルについてどう思いますか?

うわあ……これは難しい質問ですね!(笑) ラヘルはずっと夜の近くにいて、自分にないものを夜が持っていることを目の当たりにしているんですよね。普通ならあそこで塔の頂上を目指すことを諦めると思うけど、そこで諦めずに、自分を思ってくれる夜を切り捨ててでも“星を見る”ことを選ぶのは、ある意味ラヘルの能力だなって。「私にはこれしかないんだ」と心を決め、まっとうする人。気づいたら裏切りの場面には必ずラヘルがいるような存在になっていますけど(笑)、潔くて、同情させないところには、むしろ塔にふさわしい雰囲気を感じます。……でもやっぱり、あの裏切りのシーンはつらかった! 直前までは夜に優しい言葉をかけてたのに……ひどいよ!

ラヘル。主人公・夜が塔を登るきっかけになった女性。アニメ第1期の終盤で自身を慕う夜を裏切る。

ラヘル。主人公・夜が塔を登るきっかけになった女性。アニメ第1期の終盤で自身を慕う夜を裏切る。

──大女優ですよね。歩けないフリをするのもうまいですし。

確かに、演技派!(笑) 最初は夜とラヘルは恋愛関係になるのかと思ったけど、全然違って、依存というのか、正しく執着している感じというか……。“この人には自分しかいない”と過信している関係性が鮮烈でしたね。

──キャラ同士の関係性もそれぞれに見どころがありますが、好きな組み合わせはありますか?

1期のザハードの姫たちの絡みはすごくよかったですね。あとは工房戦になってからのクンと王野成。同じ目的に向かって仲を深めていく感じが熱くて好きです。カサノと虎助さんもそうですが、男性陣の絆にも惹かれます。

名門一族の出身で夜がもっとも信頼を置く友人・クン(左)、「塔の王になる男」と自称する王野成(右)。王野は夜を再び仲間にしようとするクンと共闘することになる。

名門一族の出身で夜がもっとも信頼を置く友人・クン(左)、「塔の王になる男」と自称する王野成(右)。王野は夜を再び仲間にしようとするクンと共闘することになる。