アニメ「神之塔 -Tower of God-」特集 |「とにかく1回読んでほしい!」アニメだけではもったいない、マンガ 「神之塔」の魅力を夜役・市川太一が語る

アニメの話はまだ序章、第2部もマンガでぜひ読んで

──第2部からは驚きの連続でした。

あの展開の切り替わりはすごいですよね。第1部までは世界観の説明をしている、いわば序章にすぎなかったんだと気付かされる。第2部からは、より本格的に「神之塔」という世界が広がるんです。今回のアニメは第1部を冒頭からていねいに描いているので、アニメを観た人にはぜひ原作マンガで、その先も読んでいただきたいです。

──詳しいネタバレは控えますが、第2部では夜が、それまでとは違った形で登場します。アニメで夜を演じられる際、その点は意識しましたか?

最初に役作りする際に少し。第2部では夜も成長して登場するので、その違いを出せるよう、今回のアニメでは少し幼めの芝居にしました。

第59話より。塔の中でできた仲間とともに、最後の試験である“潜魚狩り”に臨む夜。そこで彼は大きな転機を迎える。

──アニメのキャスト発表時のコメントで、市川さんは夜を「ラヘル一筋な純真無垢で真っ直ぐな少年」と紹介されていました。第2部以降の彼を紹介するならどうコメントしますか?

難しい質問ですね(笑)。夜はけっこう、根本的な部分が変わるじゃないですか。塔に登る理由も変化し、自分の目標ができて……なんというか不器用なんですよね。ただその一方で基本的に仲間思いなところは変わっていないですし。うーん、やっぱりネタバレなしでは難しい。

──もし第2部の夜を演じるとしたら、第1部の夜はもちろん、これまで市川さんが演じられてた「カブキブ!」の来栖黒悟や「デュエル・マスターズ!」のキャップなどともまた違った路線になりそうですね。

第58話より。日和見主義で情けない言動の多いパラキュル。第2部以降も、彼の活躍(?)を長く楽しめるという。

これまで快活なキャラクターを演じることが多かったですが、アニメの夜はわりと冷静で落ち着いている感じを出せたと思います。第2部の夜は重たい運命を突きつけられるので、彼の冷たいところをより出す必要がありますよね。でもやっぱり夜が持つ優しい心は表現したい。もし演じるとしたらそういう部分を意識できたらと思っています。

──第2部では夜以外のキャラクターも気になる動きを見せます。クンとラヘルが一緒にいたり。

クンが夜の意志を継いで、ラヘルを守っているんですよね。でもクンらしく、まだラヘルの腹の底を探っていて。彼らだけでなく、たくさん登場する新キャラクターもそうですが、いつ誰が裏切るかわからない展開が続くので、毎回ワクワクしながら読んでいました。

──第2部からは群像劇感がグッと増しますよね。

そうですね、パラキュルなんかもいまだにちょこちょこ出てきますし(笑)。

いったい、いつピークを迎えるんだろう

第13話より。勢いのままに夜と手を組んだクンとラークだったが、徐々によきチームとなっていく。

──第2部以降の物語で、特に印象に残ってるシーンはありますか?

それまでずっと別行動をしていた夜とクン、ラークが再会するところです。「これまですれ違っていた3人がようやく揃った!」という感動があって。その辺りのバトルもカッコよくて、印象に残ってます。

──現在、440話以上が配信中です。最近のエピソードも読まれていますか?

はい。最近もけっこう熱い展開で、敵だと思っていたキャラクターと共闘したり、死んだと思っていたキャラクターが新しい力を身に付けて蘇ったり……10年以上連載しているのにまだ加速度的に展開が盛り上がっているし、まだまだ夜の出生についてわかってないこともたくさんある。いったい、いつピークを迎えるんでしょうね。

──そんな壮大な話を、神之塔という1つの舞台を中心に展開し続けているのもすごいと感じます。

そうですね。しかも夜以外のキャラクターを中心にした話もいくらでもできそうだし、第1部と第2部の間にある余白の話も見たいし。そういったところを深く描いたスピンオフも読んでみたいです。

第440話より。第1部が描かれていた頃と、絵のタッチが大きく変化している。

──すごく単純な話ですが、最近のエピソードは絵のタッチが大きく変わってますよね。

最初の頃と比べると全然違う作品に見えるくらいです(笑)。おかげでシリアスなシーンとコメディチックなシーンにメリハリが付いて、読みやすいですね。

──では最後に、「神之塔」という作品をマンガもアニメも見ていない友人に対して勧めるとしたら、その魅力をどう伝えるかを教えてください。

もう「とにかく1回読んでくれ」としか言えないです。いろいろと展開を教えてしまうと、初めて読んだときの感動を薄めてしまう気がするので、内容についてはなるべく触れずに観てもらうしかないです。

──基本的にはバトルがメインの作品だけど、そうではない部分も大きな魅力なだけにネタバレなしには伝えづらいですよね。

そうなんですよ。戦いだけでなく日常のやり取りの中にもいろいろと仕掛けがあって。それが読み進めると紐解けていく。あの感動はあまりほかの作品では味わえない気がします。だから読み終えたあと友達がいたら、一緒に話したり情報共有したりしたいですね。