アニメ「神之塔 -Tower of God-」特集 |「とにかく1回読んでほしい!」アニメだけではもったいない、マンガ 「神之塔」の魅力を夜役・市川太一が語る

LINEマンガにて連載中の「神之塔」(作:SIU)は、現在までに28カ国語に翻訳され、全世界累計閲覧数が45億回を突破している人気の冒険ファンタジー作品。少女を追いかけて“塔”に飛び込んだ少年・夜の成長を描く物語で、4月よりTVアニメも放送されている。

ナタリーでは全3回にわたって、TVアニメ「神之塔 - Tower of God-」の特集を展開してきた。最後を飾る本稿では、原作マンガにフォーカスを当て、アニメで主人公・夜役を演じている市川太一にインタビューを実施。出演をきっかけに原作マンガを読み込み、「神之塔」の虜になってしまったという彼に、世界中の読者を魅了している本作の魅力を聞いた。

取材・文 / はるのおと

物語序盤の人物関係を整理!キャラクター相関図

夜(CV:市川太一)。選ばれた者だけが入れる塔に、自分で扉を開けて入った“非選別者”。ラヘルのことを何よりも大切に思っており、彼女を追って塔を登り始める。
ラヘル(CV:早見沙織)。夜の前に、ある日突然現れた少女。暗い世界にうんざりしており、青い空や夜空に浮かぶ星を見るため、塔の頂上を目指す。
クン・アゲロ・アグネス(CV:岡本信彦)。名門とされる“10家門”の1つ、クン一族出身の少年。夜にとっては、塔の中で初めて得た友人。
ラーク・レクレイシャー(CV:三宅健太)。誇り高く、自信に満ち溢れた戦士。当初は夜とクンのことを“獲物”とし、戦いを仕掛けてきたが、成り行きから3人1組でチームを組むことに。
ユリ・ザハード(CV:本多真梨子)。“ザハードの姫”の1人。“非選別者”の中でも特異な存在である夜に興味を持ち、伝説の武器「黒の三月」を彼に貸すことになる。
アナク・ザハード(CV:関根明良)。トカゲのような緑色の肌としっぽを持つ少女。“ザハードの姫”にしか与えられない伝説の武器「緑の四月」を持っている。
シビス(CV:江口拓也)。ジャージ姿の青年。戦闘力こそ高くないが、冷静に状況を分析する頭脳と、ここ一番で見せる度胸が武器。
ハツ(CV:深町寿成)。武士道を重んじる家で育った二刀流の剣士。「誰よりも高く飛ぶ剣」と「誰よりも低く飛ぶ剣」を使い分ける。
エンドロシ・ザハード(CV:末柄里恵)。“ザハードの姫”の1人。容姿端麗だが、プライドが高く気が強い。夜たちとは異なる試験を、試験官を驚かせるような成績で突破してきた。
ヘドン(CV:大塚芳忠)。塔の1階の管理人。塔を登る“選別者”を選出する役割も担っている。

市川太一(夜役)インタビュー

1日1話ずつ読むはずが、先が気になり過ぎて……

──市川さんは普段、どんなジャンルのマンガを読まれているんですか?

少年マンガですね。特にスポーツ系の作品。最近だと「アオアシ」とか、あと「あひるの空」や「弱虫ペダル」も大好きです。

──スポーツ系でも部活ものがお好きなんでしょうか。

そうですね。自分が学生時代に経験したことと重なるところがあったりして、青春を振り返ることができるような作品をよく読んでいます。特に「あひるの空」は、学生時代から読んでいるので思い入れが強いです。最近はマンガを読む量は減りましたが、当時は「ONE PIECE」や「HUNTER×HUNTER」をはじめ、たくさん読んでいました。

──そんな市川さんが夢中になっているという「神之塔」。最初に読まれたのはオーディション時ですか?

第1話より。アニメで市川が演じる夜は、ともに育ったラヘルを追って、頂上に行けば願いが叶うという神之塔を登り始める。

はい。オーディション前に「どういう作品なんだろう」と思って読み始めました。ただその際は触り程度しか読んでなかったんです。だから「夜役に決まりました」というご連絡をいただいてから続きを読み始めたんですけど……LINEマンガって1日1話ずつ無料で見られるじゃないですか? それでコツコツ読み進めていたんですけど、14話から始まるクラウンゲームの辺りから、先が気になりすぎてどんどん読んじゃいましたね。

──クラウンゲームというと、アニメの3話から5話にあたる話ですね。確かにその辺りから、いろんなキャラクターが登場してきて、面白さが加速したと感じます。読んでいた当時は「神之塔」が世界的に人気なものだとご存じでしたか。

いえ、アニメの放送前にインタビューを受けた際、スタッフさんから教えてもらいました。韓国で生まれた作品という認識はありましたが28カ国語で展開しているとまでは知らなかったので、改めてすごく背筋が伸びるというか。多くの人に期待されている作品に出演させていただいているというプレッシャーを感じましたね。

──「神之塔」は縦スクロールで読む全編フルカラーというスタイルの作品ですが、そうした作品を読んだことはあったのでしょうか。

初めてでした。だから画面をスクロールしてマンガを読み進めるのが新鮮だったし、ページをめくる動作が不要だからスラスラ読めてしまいます。でも読みやすいからと言って決して話が軽いわけではなく、1話ごとに読み応えもありますよね。

読み返したときの満足度が高い「神之塔」

──「神之塔」のどんなところに魅力を感じますか?

読み返したくなるような話の構成や人間関係でしょうか。最初は謎や明かされていないことが多いんですけど、ストーリーが進むといろいろとわかっていく。それで読み返してみると「この場面はそういうことだったのか」と理解できて、知識欲みたいなものが満たされるんです。

第28話より。原作ではラークの好物はバナナだが、アニメではチョコバーに。このような細かい変更点も多く存在する。

──確かに、アニメで先の展開を知ったあとに原作を読み返すと気付くことが多かったです。市川さんはアニメ放送中も原作を読み直されていますか?

読んでいますよ、アニメの進行に合わせて台本と原作を照らし合わせながら。アニメと原作では、けっこう違いますよね。アニメは初めて「神之塔」に触れる方でもわかりやすいよう、ある程度内容を整理しているので、より深く作品を知るという点では情報量が多い原作は欠かせないと感じます。だからアニメで初めて「神之塔」に触れて、興味を持ってくれた人には、ぜひ同じ部分を原作でも読んでほしいです。

──少し話が逸れますが、繰り返し読むのが楽しい作品だからこそ、個人的には「神之塔」は単行本が欲しいなと思っちゃいました。

わかります。あとLINEマンガだと、1回購入しても8日間過ぎると(※)読めなくなってしまうのが悲しい(笑)。だから「神之塔」みたいな何度も読みたくなる作品は買い切りできたらうれしいです。

※閲覧期限は作品により異なる。

第33話より。夜が塔に登るための試験を受ける中で知り合ったアナク・ザハードとエンドロシ・ザハード。ザハード家の因縁はのちのちまで重要な設定となる。

──今後そういう買い方もできるようになるといいですね。作品の魅力の話に戻しまして、「神之塔」は夜の成長物語を軸としながら、ほかのキャラクターの話も重厚に描かれるのがいいですよね。

はい。キャラクターごとにしっかりストーリーがあるというのは特徴ですね。第1部の範囲だとラヘルの思いとか、アナクとエンドロシが絡んだザハード家の話だとか。いろんなキャラクターの心情やバックボーンがしっかり描かれるので、多くの人がいずれかのキャラクターに感情移入できるんじゃないでしょうか。

──特に80話から始まる第2部より後は、その特徴が顕著に思います。

本当にそうですよね! 第2部からはいろんなキャラクターの思惑がそれ以前より絡み合って、先が気になる展開がずっと続きます。