LINEマンガにて連載中の「神之塔」(作:SIU)は、現在までに28カ国語に翻訳され、全世界累計閲覧数が45億回を突破している人気の冒険ファンタジー作品。少女を追いかけて“塔”に飛び込んだ少年・夜の成長を描く物語で、4月よりTVアニメも放送されている。
ナタリーでは全3回にわたって、TVアニメ「神之塔 - Tower of God-」の特集を展開してきた。最後を飾る本稿では、原作マンガにフォーカスを当て、アニメで主人公・夜役を演じている市川太一にインタビューを実施。出演をきっかけに原作マンガを読み込み、「神之塔」の虜になってしまったという彼に、世界中の読者を魅了している本作の魅力を聞いた。
取材・文 / はるのおと
市川太一(夜役)インタビュー
1日1話ずつ読むはずが、先が気になり過ぎて……
──市川さんは普段、どんなジャンルのマンガを読まれているんですか?
少年マンガですね。特にスポーツ系の作品。最近だと「アオアシ」とか、あと「あひるの空」や「弱虫ペダル」も大好きです。
──スポーツ系でも部活ものがお好きなんでしょうか。
そうですね。自分が学生時代に経験したことと重なるところがあったりして、青春を振り返ることができるような作品をよく読んでいます。特に「あひるの空」は、学生時代から読んでいるので思い入れが強いです。最近はマンガを読む量は減りましたが、当時は「ONE PIECE」や「HUNTER×HUNTER」をはじめ、たくさん読んでいました。
──そんな市川さんが夢中になっているという「神之塔」。最初に読まれたのはオーディション時ですか?
はい。オーディション前に「どういう作品なんだろう」と思って読み始めました。ただその際は触り程度しか読んでなかったんです。だから「夜役に決まりました」というご連絡をいただいてから続きを読み始めたんですけど……LINEマンガって1日1話ずつ無料で見られるじゃないですか? それでコツコツ読み進めていたんですけど、14話から始まるクラウンゲームの辺りから、先が気になりすぎてどんどん読んじゃいましたね。
──クラウンゲームというと、アニメの3話から5話にあたる話ですね。確かにその辺りから、いろんなキャラクターが登場してきて、面白さが加速したと感じます。読んでいた当時は「神之塔」が世界的に人気なものだとご存じでしたか。
いえ、アニメの放送前にインタビューを受けた際、スタッフさんから教えてもらいました。韓国で生まれた作品という認識はありましたが28カ国語で展開しているとまでは知らなかったので、改めてすごく背筋が伸びるというか。多くの人に期待されている作品に出演させていただいているというプレッシャーを感じましたね。
──「神之塔」は縦スクロールで読む全編フルカラーというスタイルの作品ですが、そうした作品を読んだことはあったのでしょうか。
初めてでした。だから画面をスクロールしてマンガを読み進めるのが新鮮だったし、ページをめくる動作が不要だからスラスラ読めてしまいます。でも読みやすいからと言って決して話が軽いわけではなく、1話ごとに読み応えもありますよね。
読み返したときの満足度が高い「神之塔」
──「神之塔」のどんなところに魅力を感じますか?
読み返したくなるような話の構成や人間関係でしょうか。最初は謎や明かされていないことが多いんですけど、ストーリーが進むといろいろとわかっていく。それで読み返してみると「この場面はそういうことだったのか」と理解できて、知識欲みたいなものが満たされるんです。
──確かに、アニメで先の展開を知ったあとに原作を読み返すと気付くことが多かったです。市川さんはアニメ放送中も原作を読み直されていますか?
読んでいますよ、アニメの進行に合わせて台本と原作を照らし合わせながら。アニメと原作では、けっこう違いますよね。アニメは初めて「神之塔」に触れる方でもわかりやすいよう、ある程度内容を整理しているので、より深く作品を知るという点では情報量が多い原作は欠かせないと感じます。だからアニメで初めて「神之塔」に触れて、興味を持ってくれた人には、ぜひ同じ部分を原作でも読んでほしいです。
──少し話が逸れますが、繰り返し読むのが楽しい作品だからこそ、個人的には「神之塔」は単行本が欲しいなと思っちゃいました。
わかります。あとLINEマンガだと、1回購入しても8日間過ぎると(※)読めなくなってしまうのが悲しい(笑)。だから「神之塔」みたいな何度も読みたくなる作品は買い切りできたらうれしいです。
※閲覧期限は作品により異なる。
──今後そういう買い方もできるようになるといいですね。作品の魅力の話に戻しまして、「神之塔」は夜の成長物語を軸としながら、ほかのキャラクターの話も重厚に描かれるのがいいですよね。
はい。キャラクターごとにしっかりストーリーがあるというのは特徴ですね。第1部の範囲だとラヘルの思いとか、アナクとエンドロシが絡んだザハード家の話だとか。いろんなキャラクターの心情やバックボーンがしっかり描かれるので、多くの人がいずれかのキャラクターに感情移入できるんじゃないでしょうか。
──特に80話から始まる第2部より後は、その特徴が顕著に思います。
本当にそうですよね! 第2部からはいろんなキャラクターの思惑がそれ以前より絡み合って、先が気になる展開がずっと続きます。
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アニメの話はまだ序章、第2部もマンガでぜひ読んで