ある意味鈴井くんも狂ってる(徳武)
──現実と言うわけではないですが、徳武さんは鈴井というキャラクターを通して狂っている人々に囲まれているわけで。視聴者よりももう一歩、物語に踏み込んでいる状況にいますよね。
徳武 鈴井くんとしてより踏み込んでいるからこそ、自分が鈴井くんの立場だったら間違いなく耐えきれないなと思いますね。鈴井くんは自分を守るために煩悩に理性というフィルターをかけようとしているけど、周りの人たちは煩悩剥き出しの状態で迫ってくるというハラハラ感がある。鈴井くんとしては物語の最初こそ、そのハラハラ感がすごく嫌なものだったと思うんですけど、煩悩剥き出しの夢子の隣にいる間に、そのハラハラする感覚もだんだん楽しんでいる部分があるんじゃないかなって思ったりもします。
──夢子を始め、周りが狂人ばかりなのでアフレコ現場の迫力もさぞすごいものになっているのではないかと思います。
徳武 本当にすさまじいですよ!
源光 ははは(笑)。
徳武 マイク前に立っているときもそうですし、マイク前にいないときでもそのすごさを感じていて。早見(沙織)さん演じる夢子が相手を追い詰めていくシーンとか、ブースの後ろで座って聴いているだけでも冷や汗が出るんですよ。「あああ……!」って、震えるくらい。
源光 鈴井くんの今のポジションは傍観者的ですよね。一番安全パイの位置にいて、自分がモロに傷付くことがない。夢子なんて、戦場の最前線にいるようなものじゃないですか。
徳武 自らそこに飛び込んでいってますからね。
源光 そのストッパー役ですよね、鈴井くんは。狂人ばかりが出てくるこの物語の中で、我々のようなリアルな人間の位置にいますよね。
徳武 鈴井くんがいないと、「賭ケグルイ」には狂人しかいなくなっちゃいますからね。だから鈴井くんは視聴者目線なんですよね。その分、普通の人であることを一手に引き受けて、冷や汗をかく役なんだと思います。
──周りに比べたら普通ではありますけど、それにしてもハートが強いと言いますか。たぶん本当に普通の人だったら、こんな学園耐えきれないんじゃないかなと思うんです。
源光 普通、学園を辞めちゃってますよね。
徳武 第1話の時点では、鈴井くんも(早乙女)芽亜里に負けて、借金もどんどん増えていってる状況だから学園を辞めようと思っていたんですよね。だけど夢子に「楽しいギャンブルができたから」とお礼に500万円をもらって。そのお金だって、本当に普通の人だったら「いらない」と断って、学園を辞めていると思うんです。だけどそれを受け取って、そのお金で自分のポチを解除して。そこだけ見ると、本当に普通の人からしたら、ある意味鈴井くんも狂ってるのかなっていうのは感じました。
源光 実を言うと、夢子もほかのキャラクターも、鈴井くんも、狂ってなんかはいないんです。彼らが狂っているように見えるものは、要は執着心なんです。人間っていうのは、絶えず何かに執着している。彼らの場合は、それがたまたまギャンブルだったというだけで。対象こそ次から次へと変わりますが、何かに執着しないと生きていられないのが人間です。仕事であれ趣味であれなんであれ、全部が執着なんです。
徳武 そう考えると、ここまでいろいろあったのに鈴井くんが夢子に付いて行くのって、「返すアテはないけど」って本人も言ってましたけど、「それでもどこかで返す」っていう執着心があるのかもしれないですね。
源光 そうかもしれないですね。人間はいつでも何かに執着しているわけですが、執着することがいけないという話ではないですよ。彼らはこの学園に来て、執着の賜物であるギャンブルに狂っているという。鈴井くんにも賭け事を始めるにあたり何らかの動機があったのかもしれないけど、それが夢子に対する執着に変容してきたのかなという印象があります。
徳武 夢子やほかのキャラクターが煩悩や感情を剥き出しにしている中で、鈴井くんだけが唯一普通の存在で。でも鈴井くんだってお金は欲しいと思っているし、自らポチに落ちたいわけではなかった。人並みに欲は持っていると思うんですね。ただ鈴井くんにはギャンブルの才能がなくて。周りが才能がありすぎるから、そこに揉まれているという役割なんじゃないかなと思います。
源光 実はギャンブルに才能っていうものはないんです。あるとしたら、仏教で言う縁、世間の皆さんが言うところの運でしょう。
──鈴井くんが自身の感情を剥き出しにしたら、夢子のように、その運さえも自分のものにできるかもしれないですね。
徳武 そうですね、先はどうなるかわからないですから。いつか覚醒する鈴井くんを見てみたいです!(笑)
徳武竜也のお悩み相談
悩める人々の“真夜中の駆け込み寺”になっているという坊主バー。毎日さまざまな来店者の悩みに答えていると言う源光に、徳武からも1つの相談が……。
徳武 僕自身も鈴井くんみたいに、小心者というかビビリなところがあるんです。緊張もするタイプで、そのこと自体は悪いことではないと思っているんですが、一歩前に出ようとする、考え方のコツがあれば教えてほしいです。
源光 人生には次から次へと、絶えず初体験が迫ってくる。それもまさに“賭け”です。仕事もそうだし、趣味もそう。何かをやらなければいけないという現実に対して、自分が打って出る。私もこの店を立ち上げたとき、経営なんて初めてだったので、それも怖かったんです。
徳武 それも1つの挑戦ですもんね。
源光 ビビリながら始めましたよ。でもなんでも立ち上げはそういうものじゃないのかなって。徳武さんも10年後は偉大な声優になっているかもしれないし、ひょっとしたら転職しているかもしれない。未来のことはわからないですよね。それまでの自分が経験したことがないものが目の前に来たとき、そこにチャレンジするかしないか。しようと思うとビビるわけですよ。ビビリたくなければ、その現実から逃げるなり、辞退するなりすればいい。その代わり、自分の次のステージが開けてこない気がしますよね。
徳武 ビビりながらでも、次につなげるために挑戦するというわけですね。次のステップを踏むためにと思ったら、挑みやすくなる気がします。
源光 ええ、大いに挑んでください。徳武さんは再チャレンジが可能な年齢ですから。私のこの歳になると、「どうせやり直し効かねえから」ってヤケクソになれますけどね(笑)。
今回お邪魔したのはこちら
- 坊主バー
- 〒164-0001
東京都中野区中野5-55-6 ワールド会館2F - 営業時間:月~土19:00~26:30(ラストオーダー)、日曜18:30~24:00(ラストオーダー)
- 定休日:火曜日、年末年始
- テレビアニメ「賭ケグルイ」
- 放送情報
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MBS:毎週土曜26:38~
TOKYO MX:毎週土曜22:00~
テレビ愛知:毎週水曜27:05~
RKB毎日放送:毎週水曜26:30~
BS11:毎週日曜26:00~ - 配信情報
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Netflix:毎週日曜配信
- スタッフ
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原作:河本ほむら・尚村透(掲載 月刊「ガンガンJOKER」スクウェア・エニックス刊)
監督:林祐一郎
シリーズ構成:小林靖子
キャラクターデザイン:秋田学
音楽:TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND
制作:MAPPA - キャスト
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蛇喰夢子:早見沙織
早乙女芽亜里:田中美海
鈴井涼太:徳武竜也
皇伊月:若井友希
西洞院百合子:奈波果林
生志摩妄:伊瀬茉莉也
夢見弖ユメミ:芹澤優
豆生田楓:杉田智和
黄泉月るな:鵜殿麻由
五十嵐清華:福原綾香
桃喰綺羅莉:沢城みゆき
©河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・「賭ケグルイ」製作委員会
- アプリ「賭ケグルイ チーティングアロード」
- 配信元:エイベックス・ピクチャーズ
テレビアニメ「賭ケグルイ」がスマートフォン向けゲームアプリで登場! 基本プレイ無料にて、描き下ろしのイラストやオリジナルのギャンブルを楽しめる“アドレナリン分泌系ギャンブルアプリ“だ。目下事前登録を受け付けており、登録者数に応じてアプリ内で使えるアイテムがゲットできる。アプリはApp Store、Google Playにて、今秋配信予定。
- 「賭ケグルイ」Vol.1
- 2017年10月13日発売 / エイベックス・ピクチャーズ
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- 尚村透、河本ほむら「賭ケグルイ⑦」
- 発売中 / スクウェア・エニックス
- 斎木桂、河本ほむら「賭ケグルイ双⑤」
- 発売中 / スクウェア・エニックス
- 柊裕一、河本ほむら「賭ケグルイ妄①」
- 発売中 / スクウェア・エニックス
- 徳武竜也(トクタケタツヤ)
- 長野県出身、9月15日生まれ。主な出演作に「アイドルマスター SideM」(九十九一希役)、「スタレボ☆彡 88星座のアイドル革命」(双木テラ役)、「デュエル・マスターズ」(サメジマ役)など。ツキクラ、&6alleinのメンバーとしても活動中。