コミックナタリー PowerPush - カヅホ「カガクチョップ」×犬犬「深海魚のアンコさん」

「キルミーベイベー」のカヅホ最新作 カヅホの過去を知る犬犬とのマンガ談議

「カヅホは『キルミーベイベー』の2人を殺したくて仕方ない」

犬犬 カヅホ先生の「カガクチョップ」は「キルミーベイベー」では見られない、先生のマッドな一面を覗ける作品だと思っています。という意見は、ご本人は本意ではないかと思うんですが(笑)。先生はネットではアブない性癖の持ち主だと思われてるんですよね。

カヅホ 少女のキャラにひどい仕打ちをするような、ブラックなネタが多いせいだと思うんですけど。「カヅホは本当は『キルミーベイベー』の2人を作品の中で殺したくて仕方ないんだけど、担当さんに止められてる」とかいう噂もあったりして。

「カガクチョップ」より、ひどい仕打ちに遭う盛本さん。

犬犬 ははは。「カガクチョップ」の盛本(もるもと)さんがまさに、毎回ひどい仕打ちに遭うために存在するようなキャラクターで、僕大好きなんですよ。毎回自らすすんで危険な発明の実験台になる子で、名前からしてもう、盛本さん=モルモットさんですからね。

カヅホ 楽しんでもらえてうれしいです。盛本さんのどんなところが好きかとか、聞いてもいいですか。

「カガクチョップ」より、盛本さんの内心が描かれたシーン。

犬犬 普段は何を考えてるかわからないんですけど、たまに実験を嫌がったりすると、ふと普通の女子高生らしく見えてグッと来るんですよね。「この子もこんな可愛いリアクションをとるんだ」みたいな。そうすると薄い本が作れそうな、イメージが広がるものがあるんです。

カヅホ マジですか、自分のキャラに女子高生らしさなんてまったく意識したことなかったですよ。性格とか全然考えてないんです。気にするとしたら造形的に可愛いかどうかだけ。

犬犬 えっ、そうなんですか。

カヅホ もっと内面とか考えないといけないですよね。そうか、それがキャラの表情とかに反映されるのかもしれない……あ、いまひとつ勉強した気がします。

「カガクチョップ」のコマ割りのほうが描き慣れてる

犬犬 それと「キルミーベイベー」は4コマですが、「カガクチョップ」はストーリー形式のコマ割りというのも特徴ですね。

カヅホ 僕からすると描き慣れているのは「カガクチョップ」のようなスタイルなんですけどね。犬犬さんはご存知ですけど、元々コミティアに出してきた作品はずっと普通の形式のマンガでしたから。

犬犬 ええ。

「カガクチョップ」第1話より。

カヅホ 「キルミーベイベー」を始めるまで4コマなんて描いたことなかったんですけど、それを言うと割と驚かれるんですよね。でも「キルミーベイベー」を始めてからは、商業でもストーリー形式のコマ割りで描いてみたいと思うようになって。

犬犬 こうして4コマも描かれてみて、どちらが得意・不得意とかありますか。

カヅホ 稚拙なところは多分にあるのでどちらも得意とは言えないですね。ただ4コマに関しては正直、好き嫌いの意識も特にないです。4コマのほうが固定ファンがいてくださってる分、安定感はあるかも知れません。すでにノリを理解してもらえているので、お約束のように展開できるネタもありますから。

「深海魚のアンコさん」はお魚が嫌いなお子さんにもオススメ

「深海魚のアンコさん」より。ベタの人魚とフグの人魚が、生態にちなんだ特技で威嚇し合う場面。

カヅホ 「深海魚のアンコさん」は深海魚の美少女擬人化ものですけど、魚の生態がキャラクターの特徴やストーリーにうまく絡んでいて面白いですよね。お魚が嫌いな小さなお子さんにもオススメできるマンガです(笑)。魚の豆知識がたくさん出てくるので賢くなれますし。犬犬さんは昔から深海魚に詳しかったんですか?

犬犬 子供の頃、図鑑が家にたくさんあったので、暇つぶしにするぐらいの感覚でよく読んでましたね。あと地元がすごい田舎だったので生き物と触れ合う機会が多かったことも関係しているかも知れません。深海魚に関しては自分では人並みぐらいの知識だと思っていたんですけど、編集さんの反応を見ていたら、普通の人はこんなに深海魚のこと知らないんだ、ということに気付きました。

「深海魚のアンコさん」より、主人公のアンコさん。

カヅホ ははは、じゃあアイデアに困らないんじゃないですか。

犬犬 ネタには困りますけど、キャラには困らないかも知れません。出したいキャラは正直いっぱいいすぎて、どれから手を付けていいかって感じです。

カヅホ 羨ましいですよ。僕は雑学好きなんですけど、マイナーな魚が出てくるとすごく嬉しくなります。ヌタウナギの女の子とか……。

「深海魚のアンコさん」より、安護先輩。

犬犬 はい、2巻の銭湯の回に出てきますね。体から大量の粘液を出すヌタさん。

カヅホ ヌタウナギは顎がない生物なのでそのまま描くとグロテスクになっちゃうと思うんですけど、「犬犬さんはこうデザインしたかー」とかひとりで唸ったり。

犬犬 元ネタが伝わるのは嬉しいですね。

カヅホ あとトビウオをモチーフにした、自称ヒーローの安護(あご)先輩も好きです。トビウオだから飛行能力を備えていて、まさにヒーローみたいに飛び回ってる。やっぱり特撮系のネタにはつい反応しちゃいますね。

カヅホ「カガクチョップ」1巻 / 2014年4月12日発売 / 616円 / ほるぷ出版

作品紹介

科学部部長の鈴園沙衣(すずぞの・さい)は、周囲の迷惑を顧みず、好奇心の赴くままに日々変な実験や発明をしているちょっとマッドサイエンティスト気質な女の子。そんな沙衣を注意できるのは、クラス委員長である長倉蓮(ながくら・れん)だけ。だが蓮は、委員長キャラでありながら人と少しズレている(要するに「バカ」)ため、事態はいつも変な方向に行ってしまい……。

犬犬「深海魚のアンコさん」2巻 / 2014年3月12日発売 / 617円 / ほるぷ出版

作品紹介

人魚の受け入れが盛んな町で暮らす、人魚好きの女子高生・若狭乙見(わかさ・おとみ)。そんな乙見がご執心なのは、チョウチンアンコウの人魚・アンコさん。誘引突起を光らせ、猫やツンデレ熱帯魚の人魚・ベタ子ちゃんを撃退するアンコさんが気になって仕方がない乙見は、 ひょんなことからアンコさんの秘密を知ってしまう。果たしてその秘密とは!?
個性豊かな人魚達が贈る新鮮ぴちぴち異文化交流コメディ!

カヅホ
カヅホ

2008年、まんがタイムきららキャラット(芳文社)にて「キルミーベイベー」でデビュー。2011年にはTVアニメ化を果たした。現在は「キルミーベイベー」のほか、WEBマンガサイト・COMICメテオにて「カガクチョップ」を連載中。

4月19日にSHIBUYA TSUTAYAでサイン会を開催!

犬犬(いぬいぬ)
犬犬

フレックスコミックスのマンガ新人賞にて「深海魚のアンコさん」で佳作を受賞。2012年、WEBマンガサイト・COMICメテオで「深海魚のアンコさん」の連載が開始され、マンガ家デビューを果たす。またプロの原型師としても活躍中。