カチCOMI特集 SHOOWA×雲田はるこ|私たちはなぜ、アウトローBLの魅力に抗えないのか

「男の子同士ならでは」の極致を堪能できるジャンル

──あらためてヤンキー・アウトローBLの魅力とは一体、なんでしょうか?

SHOOWA まずアウトローものの良さは、現実ではやってはいけないことが、そこでは思いっきりできる良さですかね。読むほうもだし、描くほうも。

──「フィクションだからこそできること」の極み、ということでしょうか。

SHOOWA そうです。ヤンキーもヤクザも、普段の生活では絶対関わりたくもないし、そういう世界に行きたくないけれど、フィクションなら大歓迎ですよね。

雲田 拳銃とか、普段の生活に出てこないですからね(笑)。

──「アウトレイジ」を観る心理ってそこですよね。歯医者で器具を使って凄惨なヤキを入れられるシーンのような、怖いもの見たさとか。アウトローBLはそこにエロも加わるわけで、「やってはいけないこと」「やりたくてもできないこと」をやればやるほど喜ばれるジャンルなのかもしれないです。

SHOOWA 安全な立場から「どんどんやってくれ!」と言える良さですかね。ストレス発散にも近いと思います。それに、アウトローであるがゆえに、エロさが増すという良さもあるかもしれない。

雲田 それに加えヤンキー・アウトローBLって、「男の子同士ならでは」をすごく楽しめるというか。ほかのBLにはけっこういるような、女の子っぽい受けがあんまり出てこないですよね。攻めも受けも、どちらも男らしい。そこが好きです。10代の子が出てきても、ヤンキーは粋がっているから、あまりショタという感じでもないし。そういうのが好きな人にはもうたまらないでしょうね。

SHOOWA 啖呵を切っているシーンも多いから、なんでも思い切りがよくて気持ちいいですよね。「お前とタイマンだ!」なんてね。

雲田 うん、威勢がいい。ヤンキーBLで、元気な子を見て、元気を分けてもらいたいです(笑)。

SHOOWA原案・雲田はるこ作画のマンガ、実現なるか?

──もし雲田さんが原案で、作画をどなたかにお願いするという話があったとしたら、どんなドリームを叶えたいですか。

三浦しをんの同名小説を雲田がコミカライズした「舟を編む」上・下巻。

雲田 いつも1人で描いているので、共同作業は楽しそうですよね。でも私、ネームはあんまり好きじゃないので(笑)、どちらかというと作画のほうがしたいかもです。絵を描くほうが楽しいなと。少し前に、三浦しをんさん原作の「舟を編む」をマンガで描かせていただいて、それもすごく楽しかったんですね。やっぱり確固たる原作があるので、「ストーリーをどうしよう」と迷わずに済むし、それをどう表現するかというところに注力できるので。

──作画と演出だけに集中できるということですね。

雲田 はい、原作を信じて描けばいいというのがすごく頼もしかったです。

SHOOWA 逆に不安を感じることもありましたか?

雲田 自分ならこう感じる、ということを好きには描けないので、「自分のマンガだったらこう言わせちゃうかもしれないな。でも、三浦さんの言いたいこととズレていくからやめよう」と踏みとどまることは何回かありましたね。

SHOOWA 描いていると、やっぱりそう思うこともありますよね。

雲田 やっぱり人はどんなに気が合う人でも、違う生き物なんでそういうことが生まれるのはしょうがないんですよ。でも、「舟を編む」ではそういうことはほとんどなく、自分の考えを書けないことにモヤモヤしたことはゼロだったので、すごく自由に描かせていただいて、楽しかったです。だから、原作付きとか原案付きもまたやってみたいですね。SHOOWAさんの原作でやってみたいという気持ちも強いです(笑)。

SHOOWA いえいえ、もうとんでもないですよ! そんな、勘弁してください(笑)。

──BLファンたちが萌え死にます……。すごく濃い作品になりそうです。

SHOOWA 私が雲田さんファンにタコ殴りにされますよ!

雲田 いやいや、私こそSHOOWAさんファンにタコ殴りですよ! けど、絶対楽しいなという確信はありますよ。

SHOOWA でも、雲田さんの絵で自分のお話が動くって、予想がつかなくて面白いです。もし雲田さんが作画で入ってくださるとなったら、むやみに猫とか子どもとか出しちゃいそう。自分が見たいものを出しすぎて、本筋を曲げてしまいそうです(笑)。

雲田 私もSHOOWAさんに描いていただけるとなれば、そういうことをしちゃうかもしれないです。SHOOWAさんのマンガはとにかく男子が男子らしくてカッコよくて色っぽいので、いろんな見たい男子をいっぱい出してしまいそう。村山さんとかコブラちゃんみたいなキャラを職権乱用でぶっこんでしまうかも(笑)。

──豪華なコラボレーション、実現を心から楽しみにしています。