2005年にオンエアされた深夜アニメ「地獄少女」は、第2期「二籠(ふたこもり)」、第3期「三鼎(みつがなえ)」と幾度も復活し、実写ドラマ化、舞台化も果たした人気作品だ。アニメと同時期になかよし(講談社)にて永遠幸によるマンガも展開され、恨みや怨念を抱える人間たちが地獄少女・閻魔あいを頼る復讐劇は、幅広いファン層に受け入れられてきた。
2009年に放送終了した「三鼎」以来、8年ぶりの新シリーズとなる「宵伽(よいのとぎ)」では、おなじみの閻魔あいと四藁らに加え、新たな少女・ミチルが登場。コミックナタリーでは、閻魔あい役の能登麻美子とミチル役の和多田美咲に、より濃密になった新生「地獄少女」の見どころを語ってもらった。また特集の最後には「宵伽」の「回顧録セレクション」一覧が。能登の一言コメントにも注目だ。
取材・文 / 三木美波
ミチルは「地獄少女」シリーズにはいなかったタイプ(能登)
──「地獄少女 宵伽」のアフレコは、かなり早いうちにすべて終わっていると伺いました。
能登麻美子 そうなんです。だから久しぶりだね、美咲ちゃん!
和多田美咲 お久しぶりです!
──約8年ぶりに「地獄少女」新作がテレビ放送されると聞いたとき、能登さんはどんなお気持ちでしたか?
能登 正直、すごく驚いたと同時に「またやれるんだ!」って本当にうれしくて! 「三鼎」が2009年に終わってから数年くらいは、キャスト同士で「次があったらうれしいね」と折々で話していたんですけど、さすがに近年はそれもなくなっていて。だから新作で、しかもテレビシリーズで、って聞いたときには感無量だったんです。美咲ちゃんは、ミチル役に決まったときどんな気持ちだった?
和多田 オーディションのお話をいただいたとき、どんなポジションの役なんだろう……という気持ちが大きくって。だからミチルに決まって、キービジュアルで(閻魔)あいの隣に座っている女の子だってわかったときには、すごく震えて……(笑)。
能登 「宵伽」のキーになるキャラクターだもんね。
和多田 はい。ミチルは11歳なんですけど、11歳ながらに自分の考えがあって、あいに突っかかっていく。物語の中で揉まれていって、成長している途中の女の子、というイメージです。
能登 冒頭から強い意志というか、1つの信念を持ってあいにぶつかってきてたね。
和多田 あいが地獄少女としてやっていることは正しいのか、ただ不幸な人を生んでいることなのか、地獄少女ってなんなのかという疑念を持っている子です。
能登 わりと、今までの「地獄少女」シリーズにはいなかったタイプだよね。「宵伽」を最後まで観ていただくと、ミチルの服装や容姿、1話の冒頭にも合点がいくようにストーリーが作られてる。
和多田 はい。あとミチルは悲しげなところもあって……えへへ、どこまで話していいんだろう(笑)。
能登 じゃああとは観てからのお楽しみに(笑)。
小学生のときに、初めて「地獄少女」を観た(和多田)
──和多田さんはオーディションを受ける前から「地獄少女」をご存知でしたか?
和多田 はい、「地獄少女」をすごく好きないとこがいて。小学生のときに、初めて「地獄少女」のアニメを観せてもらいました。
能登 おおお!? 小学生!
──1期は2005年放送ですからね。
能登 12年前ですからね。それは小学生も声優になりますね(笑)。
和多田 オーディションのとき、「いっぺん、死んでみる?」ってセリフを言ったことがすごく印象に残ってて。小学生のとき、一生懸命暗記したんですよ。自由帳に「闇に惑いし哀れな影よ 人を傷つけ貶めて……」とあいの口上を書いて覚えて。
能登 あはは(笑)。
和多田 「めちゃくちゃカッコいいわー! これ言いたいわー!」って。暗記して、友達に自慢するようにセリフを真似してました。だから能登さんとのアフレコで、テレビの画面で観てたあのセリフを生で聞けて……みんなにも生で聞いてほしいくらいで……あいがいて、そこに……! 「あいだ……!」みたいな……! 本当に感動でした。特に「いっぺん、死んでみる?」のセリフは魂を根こそぎ持っていかれそうなインパクトでバーン!とくるので。「あ、私、死ぬかも」って思いました。
能登 死なない! 美咲ちゃんは死なないよー!(笑) でも確かに、言葉として強いセリフだからね。今回、改めて閻魔あいを演じて、なんてスケールの大きいキャラクターなんだろうと思ったんです。新作アニメは「怨念」が1つのキーワードだと思っているんですが、ミチルは怨念に対してある種人間としての生々しさだったりまっすぐさだったりがある。でもあいは本当にいろんなことを超越していて。
──あいは400年以上前から存在しているので時間は超越していますし、捉えどころのないキャラクターですよね。
能登 演じるうえでは、その浮遊感や超越感を表すために、自分の感性であいに近づきすぎないようにしています。私から離れれば離れるほど、あいになれる。私が大事にしていることは、あいとものすごく距離を取ることなんです。
──それは「閻魔あいの感情を理解しない」ということでしょうか?
能登 うーん、「理解しない」とはまた別ですね。理解はするんですけど……自分で考えたり、彼女をこう演じようと思ったり、そういう思考の中に置かないというか。“遠くであいを演じる”という表現が一番近いかな。
和多田 あいを理解するけど、近づかない……。私から見てもミチルから見ても、あいはすごくミステリアスなキャラクターなんです。本当に自分の意思で地獄少女をやっているのか、宿命だと思って諦めているのか、「いっぺん、死んでみる?」のセリフをどんな思いで言っているのかとか。表情も全然変わらないし。
能登 変わらないねえ。
和多田 でもすごく好き。周りの四藁やきくりに「お嬢!」って慕われてるところもいいなあって思うし、黒髪ロングで前髪パッツンのビジュアルもすごく好みですし、セーラー服もかわいい。地獄少女になったときの、着物の和柄もキレイです。もう、ずっと観ていられる。
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12年後の「宵伽」もまた観てくれる……奇跡!(能登)
- テレビアニメ「地獄少女 宵伽」
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あらすじ
午前0時にだけアクセスできる「地獄通信」。
ここに晴らせぬ怨みを書き込むと、地獄少女が現れて憎い相手を地獄に落としてくれる……。若者たちの間で広がった都市伝説のような噂だったが、実は本当の事だったのだ。
少女の名前は、閻魔あい。依頼主の怨みの感情に共鳴した時、彼女は地獄少女として標的となった人間を地獄へと送り流す。
……だがそこには伝説には語られていない、少女との契約が存在した。「人を呪わば穴二つ。相手を地獄に送る代わりに、あなたの魂も死後地獄に行く事になるわ、それでもいいの?」
そして、ある時閻魔あいの前に、謎の少女・ミチルが姿を現すようになる。自分が誰なのか、なぜここにいるのかを思い出せない様子のミチルに、あいは語りかける。彼女は一体何者なのか?その秘められた過去を紐解いてゆく──。
- 放送情報
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- TOKYO MX:2017年7月14日(金)より毎週金曜24:00~24:30
- とちぎテレビ:2017年7月14日(金)より毎週金曜24:00~24:30
- 群馬テレビ:2017年7月14日(金)より毎週金曜24:00~24:30
- BS11:2017年7月14日(金)より毎週金曜24:00~24:30
- MBS:2017年7月14日(金)より毎週金曜26:55~27:25
- ファミリー劇場:2017年7月16日(日)より毎週日曜24:20~24:50
※7月19日(水)22:00より再放送あり
スタッフ
- 原案:わたなべひろし
- 原作:地獄少女プロジェクト
- 監督:大森貴弘
- キャラクターデザイン:岡真里子
- シリーズ構成:金巻兼一
- 音楽:高梨康治
- アニメーション制作:スタジオディーン
キャスト
- 閻魔あい:能登麻美子
- 輪入道:菅生隆之
- 骨女:本田貴子
- 一目連:松風雅也
- 山童:椎名へきる
- きくり:さかいかな
- ミチル:和多田美咲
- 「地獄少女 宵伽」上巻
- 2017年8月23日 / アニプレックス
-
[Blu-ray]
6804円 / ANSX-12541 -
[DVD]
5724円 / ANSB-12541
- 「地獄少女 宵伽」下巻
- 2017年9月27日 / アニプレックス
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[Blu-ray]
6804円 / ANSX-12542 -
[DVD]
5724円 / ANSB-12542
- 能登麻美子(ノトマミコ)
- 石川県出身。2月6日生まれ。主なアニメ出演作は「君に届け」(黒沼爽子役)、 「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない」(山岸由花子役)、「地獄少女」(閻魔あい役)ほか。「地獄少女」シリーズではエンディング主題歌も担当している。
- 和多田美咲(ワタダミサキ)
- 静岡県出身。3月16日生まれ。主なアニメ出演作は「バトルスピリッツダブルドライブ」(茂上健斗役、モフモフ役)ほか。