「地獄少女 宵伽」|8年ぶりに復活した閻魔あい 能登麻美子と和多田美咲が新たな“怨念バラエティ”を語る

12年後の「宵伽」もまた観てくれる……奇跡!(能登)

能登 美咲ちゃんは、観ていた当時どういうところが面白かった?

和多田 それまでアニメというと「プリキュア」や「おジャ魔女どれみ」の印象だったんですが、「地獄少女」でガラッと変わって、「こういうアニメもあるんだ!」って思ったんです。斬新でしたし、新鮮でした。深夜0時にだけアクセスできるサイトってリアルにありそうだと感じてしまうところとか、これまで見たことない世界観とかが人を惹き付けているんじゃないかなと思います。

──「地獄少女」放送時、0時に地獄通信を検索した人はたくさんいるでしょうね。

0時にのみアクセスできる「地獄通信」。恨んでいる人物の名前を書き込んで送信すると、地獄少女が現れて憎い相手を地獄に落としてくれる。

和多田 しましたしました! 「(地獄通信が)出る?出る?……出ない!」みたいな(笑)。その当時観ていた大人も子供も、この2017年にまた「地獄少女」を観られる喜びや懐かしいという気持ちがあって、新作も楽しく観てくれるんじゃないかなって思います。

能登 当時私はこのお仕事を始めて数年……という状況でしたけど、「地獄少女」みたいなアニメーション作品ってやっぱりあまり観たことがなくって。とてもエンタテインメントなんだけど、キレイなことだけじゃないし、勧善懲悪なわけでもないし、不条理なこともたくさんある。閻魔あいと四藁たちのキャラクターも個々で立っていて、毎回1話で完結する形式が観やすかったのもよかったのかな。いろいろな要素が重なって、今までにない作品ができあがり、世代や男女を超えて幅広い方が観てくださったんだろうなって印象です。

和多田 マンガもなかよし(講談社)で連載してましたよね。

講談社より刊行された「地獄少女」1巻。まんが/永遠幸 原作/地獄少女プロジェクト

能登 そうだね。アニメよりもうちょっと下の年齢層の女の子たちも、それで「地獄少女」を知ってくれたんだろうね。

和多田 私、なかよしを買っていたんですが、マンガ版はちょっと怖くて……(笑)。

能登 テイストがまた少し違うよね。アニメやマンガでたくさんの層が「地獄少女」を知ってくださって、そのときに抱いてくれた面白いっていう感覚から、1期から8年後に放送された「三鼎」、12年後の「宵伽」もまた観てくれる……奇跡(笑)! そういえば、当時友達からメールをもらって。「今喫茶店にいるんだけど、隣の席にいる中年くらいのおばさまたちが『地獄少女』について語ってるよ!」と。

和多田 すごい! アニメファンとかを超えてる気がしますね。

能登 ね! 今までアニメと距離があった世代も含めて、幅広く届いていた作品なんだなあって思う。

──ダークなエピソードも多かったですが、原案のわたなべひろしさんをモデルにしたキャラクターがあいを呼び出す回もありましたよね。

能登 エスパーわたなべ! ちょいちょいお遊びもあるんですよね(笑)。ただ「宵伽」は、今までの2クール編成とは違って新作エピソード6話とコンパクトな構成なので、あんまりお遊び要素はないんです。

閻魔あいから渡される藁人形。紐を解くと、あいとの契約がなされ、復讐が始まる。

和多田 1話1話がすごく濃くて。人間の嫌なところがすごく出てたり、心に響く内容だったり、とっても細かいですよね。「こんなこともアニメにするんだ!」って思っちゃうくらい。人間の味みたいなものが出てます。

能登 業みたいなものがね。ベースはミチルのストーリーなんですが、それぞれの地獄流しのエピソードがそれはもう濃密で、「30分でここまで描けるんだ」と毎話思いました。それにけっこうタイムリーに、そのときの社会現象とアニメのエピソードがシンクロしているようなときも多々あって。キャストや監督、プロデューサーさんやスタッフさんも含めて、アフレコ現場のロビーで「今回の話数はさ……」と話していた記憶があります。

「地獄少女」は「怨念エンタメバラエティ」(能登)

──1期と「二籠」、そして「宵伽」の監督を務めた大森さんは、「地獄少女」のことを「復讐バラエティ」と表現していたと伺いました。

和多田 ぴったりですね!

「地獄少女 宵伽」より、ミチル。

能登 大森監督うまいなー。監督の真意はちょっとわからないですけど、「地獄少女」は復讐自体も、復讐に至るまでの過程もかなりバラエティに富んでいますよね。「宵伽」も台本を読んで「来た!地獄少女だな!」と思うくらい、バラエティ豊かで、残酷で……。

和多田 そうですね。今回は愛情が絡んでいるエピソードも多くて、けっこうヘヴィだったり切なかったり。本当に現実にありそうだなって思いました。

──もしおふたりが「宵伽」を一言で表現するとしたら?

能登 「復讐バラエティ」がいいなあ(笑)。

和多田 本当にぴったりですよね!

能登 うん……どうしようかな。怨念がキーワードになっているから……「怨念エンタメバラエティ」?

和多田 うふふ(笑)。

能登 楽しいんだか怖いんだかちょっとわからないですけど(笑)。でもこの作品は見ようによってはすごく真面目にも、エンタメにも見れるから。

和多田 そうですね。内容や抱えている問題はけっこうリアルだったりしますけど、荒唐無稽でアニメな部分もありますし。

──では「怨念エンタメバラエティ」でいきますか?

能登 それにしておきますか!

──わかりました。これまでのシリーズを観てきたファンがうれしくなるような展開やネタはありますか?

能登 大人になったつぐみが出てきますよ。ミチルとつぐみは掛け合ってるよね?

「地獄少女 宵伽」より、きくり。

和多田 はい、水樹奈々さんと! あときくりと山童の会話がすごくかわいくて、今までのファンの方が観たら「またやってるな(笑)」って楽しいと思います。

能登 本当にそうだね。きくりが本当にもう、これまで以上にパワーアップしてて! 「元気がいい」っていう範囲を飛び越えて、きくりだけで1本観たいくらい……! 四藁さんたちの出番も多いのもポイントだと思います。

和多田 あと、「宵伽」ではスマホが出てきたり。

能登 そうそう! 「三鼎」まで閻魔あいと連絡を取る手段はパソコンでしたが、やっぱり今風にね(笑)。

──閻魔あいは絵馬だったり新聞だったりと、時代に適応して連絡手段を変えていますからね。

能登 適応能力、ありますねえ(笑)。それに「宵伽」では、今までになかった概念をミチルがもたらしてくれるんです。これはちょっと衝撃ですよ。

テレビアニメ「地獄少女 宵伽」

あらすじ

午前0時にだけアクセスできる「地獄通信」。
ここに晴らせぬ怨みを書き込むと、地獄少女が現れて憎い相手を地獄に落としてくれる……。若者たちの間で広がった都市伝説のような噂だったが、実は本当の事だったのだ。
少女の名前は、閻魔あい。依頼主の怨みの感情に共鳴した時、彼女は地獄少女として標的となった人間を地獄へと送り流す。
……だがそこには伝説には語られていない、少女との契約が存在した。「人を呪わば穴二つ。相手を地獄に送る代わりに、あなたの魂も死後地獄に行く事になるわ、それでもいいの?」
そして、ある時閻魔あいの前に、謎の少女・ミチルが姿を現すようになる。自分が誰なのか、なぜここにいるのかを思い出せない様子のミチルに、あいは語りかける。彼女は一体何者なのか?その秘められた過去を紐解いてゆく──。

放送情報
  • TOKYO MX:2017年7月14日(金)より毎週金曜24:00~24:30
  • とちぎテレビ:2017年7月14日(金)より毎週金曜24:00~24:30
  • 群馬テレビ:2017年7月14日(金)より毎週金曜24:00~24:30
  • BS11:2017年7月14日(金)より毎週金曜24:00~24:30
  • MBS:2017年7月14日(金)より毎週金曜26:55~27:25
  • ファミリー劇場:2017年7月16日(日)より毎週日曜24:20~24:50
    ※7月19日(水)22:00より再放送あり

スタッフ

  • 原案:わたなべひろし
  • 原作:地獄少女プロジェクト
  • 監督:大森貴弘
  • キャラクターデザイン:岡真里子
  • シリーズ構成:金巻兼一
  • 音楽:高梨康治
  • アニメーション制作:スタジオディーン

キャスト

  • 閻魔あい:能登麻美子
  • 輪入道:菅生隆之
  • 骨女:本田貴子
  • 一目連:松風雅也
  • 山童:椎名へきる
  • きくり:さかいかな
  • ミチル:和多田美咲
「地獄少女 宵伽」上巻
2017年8月23日 / アニプレックス
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「地獄少女 宵伽」下巻
2017年9月27日 / アニプレックス
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能登麻美子(ノトマミコ)
能登麻美子
石川県出身。2月6日生まれ。主なアニメ出演作は「君に届け」(黒沼爽子役)、 「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない」(山岸由花子役)、「地獄少女」(閻魔あい役)ほか。「地獄少女」シリーズではエンディング主題歌も担当している。
和多田美咲(ワタダミサキ)
和多田美咲
静岡県出身。3月16日生まれ。主なアニメ出演作は「バトルスピリッツダブルドライブ」(茂上健斗役、モフモフ役)ほか。