コミックナタリー PowerPush - ヒバナ
高木ユーナ「ドルメンX」×野田彩子「いかづち遠く海が鳴る」×長田亜弓「椿と罪ほろぼしのドア」
次元なんて関係ない!私たちの愛すイケメン放談
3月6日に発刊される新たな青年マンガ誌・ヒバナ(小学館)では、「不死身ラヴァーズ」の高木ユーナ、「わたしの宇宙」の野田彩子、「のうけん」の長田亜弓が新連載をスタートさせる。奇しくも同年代の3人は、ヒバナでの作品が連載2作目。「男も女も惚れるキャラクター」をコンセプトに掲げるヒバナで、一体どんな新作を展開するのだろうか。
コミックナタリーでは、高木、野田、長田の3人に集まっていただき、女子会風鼎談をセッティング。それぞれが推すイケメンの魅力を語るとともに、それが自作のキャラクターにどう活かされているかを聞いた。彼女たちの定義する“イケメン”とは何なのか。若手イケメン俳優からくたびれたオッサンまで、三者三様の萌え語りをお楽しみあれ。
取材・文/坂本恵 撮影/安井遼太郎
ジャニーズが世に言うイケメン
──お三方とも、ヒバナの掲載作品が連載2作目になります。前作から変えようと意識しているところはありますか?
長田 私は前作の「のうけん」で女の子をメインに描いていたので、次は男の子をいっぱい出したいと思ってます。
野田 そうそう、長田さんの新作(「椿と罪ほろぼしのドア」)を読ませていただいたら、男の子がめちゃめちゃかっこよくて。女の子をかわいく描けるのに、男の子もいけるのか!とびっくりしました。なんというか、頭身がぐっと伸びましたよね。
長田 (笑)そうなんです。実は「のうけん」を連載していた頃は、足を長く描けなくて苦労したんですよ。私の絵柄って、あんまり足が長くないバランスだったことに気が付いたんですよね。女の子の足も、むちむちしてるのが好きで。でも今回はそういうのじゃなくて、シュッとした細いイケメンを描きたいと思って、がんばりました。あと主人公はタレ目にしてみました。
──タレ目はイケメンの属性なんですか?
長田 属性と言われると、王道を意識しているというか……やっぱりジャニーズの方々の顔が、世にいうイケメンなのかと思いまして。テレビとかでよくよく見てたらいつの間にか私の好みの要素が加わり、細身のタレ目になった感じです。でも基本はやはり、王道な感じの美少年を目指してみました。
愛せる欠落を出したほうが逆に魅力的に見える
野田 なるほど。いや、ホントかっこいいです。シュッとしたイケメンって、描くの難しいですよね。
高木 難しいですねー。
野田 自分の手とか見ながら描いてるので、長い指が描けないんですよ。でも細長いでっかい手ってイケメンの要素ですよね。
高木 そうですね。かっこいい人は手が魅力的な人が多いなと思ってるんですけど、私も手を描くのが苦手で……。私の次の作品(「ドルメンX」)はイケメンを描かなきゃならないんですけど、正直描けなくて。前作の「不死身ラヴァーズ」でも、主人公の親友の田中は、周りに「イケメン」と言わせることでイケメンと認知させるという手法を取るしかなかったんです。誰もがそのキャラを見て手放しで「あ、イケメンだな」って言えるキャラには落とし込めなくて。だから今作でも、主人公の隊長はイケメンって周りに言わせてます。あ、これ前と変えてるところじゃなくて、同じところですね(笑)。
野田 高木さんの作品読ませていただいて、このアイドルを目指す男の子たちが「みんな顔はいいんだけど頭はイマイチ」って自分で言ってるのかわいいなと思いました。
高木 キャラクターは魅力的な部分を前面に出すより、愛せる欠落を出したほうが逆に魅力的に見えるのかなって思うんです。最近よく聞く「残念な美人」「残念なイケメン」って、すごく端的に魅力があるってことを示したワンワードだと思ってるんですよね。だから自分で「ここが残念だ」って言わせちゃうのがかわいいかなと思って、そんなセリフを入れてみました。
野田 この前テレビで「VS嵐」を観てたんですけど、ジャニーズWEST(アイドルグループ)が出てて。それぞれ一番最初に名乗り口上をあげるんですけど、そのうちのひとりが「奇抜チビ」って名乗ってて(笑)。
高木 奇抜もチビも、イケメン要素ゼロ(笑)。
野田 そうそう。でもそういうのが残念でかわいいし、キャラクターの要素なんだろうなって思いました。
イケメンとはタイミングである
長田 イケメンって顔よりも言動や気持ちで感じるもの、というか。男の人に限らず、女の人でもお年寄りでも、「あ、この人イケメンだな」って感じるのって、行動に一貫性があるときかなと個人的には思うんですよね。自信のある堂々としたふるまいや、信念に基いた行動に触れると、自分の中では「かっこいい! イケメン!」ってなります。
──「椿と罪ほろぼしのドア」の主人公も、主張が強いですね。
長田 ああ、そうですね。主人公は、容姿はいいけど性格はまだちょっと発展途上という設定です。彼がさっき言ったみたいな信念を持って、外見だけじゃなくて内面もイケメンになっていくような話を描けたらいいなと思ってます。
野田 まだイケメンじゃなくて、これからそうなっていくんですね。成長物語というか。
高木 うーん、私は内面的なものが出来上がってなくてもいいというか、イケメンはタイミングだと思ってるんです。
──イケメンはタイミング。
高木 いろんなものの環境と、周りの判断と、本人の行動が相まった瞬間にイケメンというものが発生するんです。だからすごくダメな堕落してる状況でも発生しうるものなのかなって。イケメンが出来上がるというか、その過程の部分がイケメン。だからこそ、見た目じゃないって思います。
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笑いたい、泣きたい、喜びたい、怒ってからスカッとしたい、シビれたい、憧れたい、惚れちゃいたい。
たった今の気持ちをたった今かなえてくれるキャラクターたち。
マックスになりたいテンションに「着火」する新しい青年コミック誌を、やります。
掲載ラインナップ
- 「雪花の虎」 東村アキコ
- 「アフターアワーズ」 西尾雄太
- 「コマさん~ハナビとキセキの時間~」 柴本翔
- 「しまなみ誰そ彼」 鎌谷悠希
- 「いかづち遠く海が鳴る」 野田彩子
- 「或るアホウの一生」 トウテムポール
- 「ドルメンX」 高木ユーナ
- 「椿と罪ほろぼしのドア」 長田亜弓
- 「461個の弁当は、親父と息子の男の約束。」 荒井ママレ/渡辺俊美
- 「スラップスティック」 青野春秋
- 「最近の赤さん」 とよ田みのる
- 「ロボッとうさん」 有永イネ
- 「三十路飯」 伊藤静
- 「ありごけ」 漆原ミチ
- 「ふたがしら」 オノ・ナツメ
- 「子連れ同心」 オノ・ナツメ
- 「あちらこちらぼくら」 たなと
- 「ロッタレイン」 松本剛
- 「ドロヘドロ」 林田球
別冊付録
「勇者たち」 浅野いにお
長田亜弓(ナガタアユミ)
2013年、「のうけん」で第60回月刊IKKI(小学館)新人賞・イキマンを受賞しデビュー。それが初連載作「のうけん」としてスタート。ネタを高密度に詰め込んだハイスピード学園コメディとしてアンケート上位を獲得。「まだまだ描けるネタたくさん!」ではあったが月刊IKKI休刊でやむなく終了、単行本全1巻(小学館刊)にまとまる。ヒバナ発刊にあわせ、以前より構想をあたためていた魔法物語を連載開始。
野田彩子(ノダアヤコ)
2011年、「鮫島さん」で第49回月刊IKKI(小学館)新人賞・イキマンを受賞しデビュー。初連載作品となる「わたしの宇宙」全2巻(小学館刊)は、刊行と同時に大きな話題となり、朝日・読売新聞コミック評のほか、週刊文春(文藝春秋)などでも取り上げられた。BL用の別名儀・新井煮干し子としても活躍中。「ヒバナ」では、満を持しての“超強力王道恋愛漫画”に挑戦する。
高木ユーナ(タカギユーナ)
2013年、別冊少年マガジン(講談社)掲載の「ケガ少女A」でデビュー。初連載作「不死身ラヴァーズ」全3巻(講談社刊)では溢れる熱量と疾走感で唯一無二の恋愛を描き、話題となった。ヒバナでは全力で“アイドル”を目指す男子たちを描く「ドルメンX」を連載。5月より携帯アプリ「マンガボックス」でも連載開始予定。