コミックナタリー Power Push - ハレルヤオーバードライブ!

ゲッサン発、バンドマンガの最新型はツーバス美少女とのハイスクールラブストーリー!

タイトル変更は結果オーライで

実は自身もバンド経験者であった星野氏。

──そのネーミングについて、ちょっと聞きづらいのですが、ゲッサン創刊号の別冊付録に収録されたゼロ話にあたる読み切りでは「メタりか! Track 0 Heartbeat.」というタイトルでした。これが変更になった理由は、ファンも聞いておきたいと思うのですが。

星野 ご想像のとおりデリケートな話題ですが(笑)、まあマンガという別のジャンルですから本家本元(バンドのMETALLICA)と競合するわけでもないし、あまりにビシッと来てたタイトルだったので、高田先生はずっと心配していたんですが、僕の独断で企画段階のまま突き進んでみたわけです。

──まあ怒られない範囲だろう、と踏んだわけですね。

星野 ええ。でもやっぱり怖いから、念のため一応やっておくか、と思って調べ始めたんですよ。そしたらMETALLICAというのが異様に権利意識が高い人たちだということがわかってきまして。もう日本の商標とか、英字からカタカナだろうが平仮名だろうが、全部取ってあるんですよ。ここまで本気出してくる人たちとなると……。

──これは難しいかも、と。

星野 もうひとつにはですね、その頃に上がってきた第1話が想像以上に良かったんですよ。非常にイケる! これは化けるかも! と思ったんで、やっぱりやめておこう、と(笑)。もし話が大きくなってから問題になったのではシャレになりませんからね。「高田先生すいません」って謝って。

バックナンバーを手に当時の心境を語る高田。

高田 や、仕方ないですよ。ゲッサンが創刊した次の日に「タイトル変えましょう」って言われて、100個近く考えた末、今のに決めました。「ハレルヤオーバードライブ!」という言葉からは、いろいろな意味が感じられるんで、今後物語を進めていくうちに反映できたら面白いかな、と思ってます。

星野 なので結果的には何か、これで良かったねっていう。

高田 あと、タイトルのせいでメタルマンガだと思われてしまった節もあって。

──それは正直思いました。

高田 でも軽音部っていろんなジャンル好きな人が集まるじゃないですか。ハレルヤでもベースの子とかパンク寄りの格好してたり。僕はこの作品を「メタルマンガ」っていうより「バンドマンガ」にしたいんで、その意味でも変えてよかったって気はしてます。音楽のジャンルを軸にするんじゃなくて、バンドを組んで演奏するっていうところを軸にしたいというか。

音楽好きのハートをくすぐるディテールたち

ハルのスニーカーハルのスニーカー
高田 プレイしやすいとドラマー御用達のコンバース・オールスターです。連載予告カットではカート・コバーンモデルを履かせてみたんですが、あとで調べたら女物はないと判明して、以降は普通のを履いています。
タンポポのベースタンポポのベース
高田 ルックス重視で使いづらい、ギブソンのサンダーバード。ヘッドが重くてずり落ちてくる欠点があるんですが、演奏シーンではそんな姿も描いてみました。実は貼ってあるシールまで、僕が友人から借りてるベースまんまです。
ハルのドラムスタイルハルのドラムスタイル
高田 SLIPKNOTのJoey Jordisonを見ながら絵を作ったりしています。長髪を振り乱してオープンハンドっぽくシンバルを叩いてるシーンが多いのは、その影響が出ていると思います。何よりツーバスですし。
部室のCD部室のCD
高田 TRIVIUM、toe、SLIPKNOT、ONEDAY AS ALIONが並んでいます。なぜ雑多な並びにしたかと言うと、音楽系の部活って、趣味のバラバラな人たちが集まってやるものだと思ってるからなんですね。

高田康太郎『ハレルヤオーバードライブ!』 / 2009年11月12日発売 / 460円(税込) / 小学館 / ゲッサン少年サンデーコミックス / ISBN: 978-4-09-122103-2

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あらすじ

「君は音楽の魔法を信じるかい?」サクラ舞い散る新学期。新入生の朝桜小雨は“リベンジ”のため、軽音楽部への入部を決意! しかしその高校には軽音部が存在しないという衝撃の事実が!!
悩める小雨がその時、目にしたのは…!? ボーイ・ミーツ・ガールなハイスクールバンドラブストーリー!!

高田康太郎(たかだこうたろう)

10月25日生まれ 愛媛県出身。2006年「ポテトシくんのユウウツ」で少年サンデーまんがカレッジ佳作受賞。2008年、週刊少年サンデー超増刊にて「ハリケーンハリケーン」でデビュー。ゲッサン創刊2号にて、「ハレルヤオーバードライブ!」で連載デビュー。