「撃てましぇーん！」って言ってないから（内山）

──続いて、自身のキャラクターがメインのシーンで印象的なシーンやセリフを教えてください。

内山　俺はepisode 4「重力の井戸の底で」が好きなんですよ。前半で砂漠を歩いて、後半でロニと戦って。

浪川　リディが撃っちゃうシーンね。

──暴走するロニをバナージが止めようとするシーンですね。結局ロニを撃つことをためらうバナージを見かねたリディが、ビーム・マグナムをユニコーンガンダムから奪ってロニごとシャンブロを撃破するという。

内山　ロニを前にして言う「撃てません！」を、当時、舞台挨拶で浪川さんに毎回イジられて。懐かしいです。

浪川　「撃てましぇーん！」。

藤村　「しぇーん」とは言ってない（笑）。

浪川　ちょっと（武田）鉄矢さん風に言っちゃいますよね。

内山　ロニ役の伊瀬茉莉也さんは、この途中のエピソードでいきなり「ＵＣ」の現場に入って大変だったと思うんです。でもすごく熱く演じてくれたことが素晴らしかったし、それもあって少しピリッとした雰囲気が流れて、収録が楽しかった覚えがあります。

浪川　でも、できあがったら「撃てましぇーん」ってなってた。

内山　だからなってないって（笑）。

──そこはファンのみなさんに今回のBlu-ray BOXで見返して確認してもらいましょう。藤村さんはいかがですか？

藤村　最後の出撃前のバナージに言う「自信があるのでしょう？ やってみせなさい。そして必ず帰ってきて。約束を違えることは許しません」。このセリフは「女として、母としての要素を入れてくれ」とディレクターに言われたので、伴侶のような感じで言ったんですよ。

浪川　でも「約束を違えることは許しません」って、すごい伴侶だよね。

藤村　尻に敷く、かかあ天下なんですよ（笑）。「受け止めなさい、バナージ」とかもそうですけど。

──ガルダのハッチでリディを振って、すぐさま身を投げてバナージに助けられるというシーンですね。

浪川　「受け止めなさい、バナージ」。そっちなんだ。リディに対する「さようなら、あなたのことは忘れない」じゃなくて？

藤村　そこからの流れ、ってことですよ。あのセリフ、私が家で練習していたときはそこまででもないと思っていたけど、当日に監督の古橋一浩さんと話す機会があったときに「あそこはリディを振るシーンだから。完全に拒絶してください」と言われて辛辣に演じました。

浪川　こっちは、見事にそんな感じで聞こえてたよ。

舞台挨拶でずっと謝ってまわった（浪川）

浪川　大体、あそこでバナージが来なかったらどうするつもりだったの？

藤村　（笑）。2人にとってドラマチックでリディにとっては本当につらい、残酷なコントラストでしたよね。

浪川　僕が選ぶ名シーンは、まさに藤村さんの話を聞いていた今の気持ちですよね。「手加減してるっていうのか……？ お前はどれだけ俺を惨めにさせたら気が済むんだ！」。

内山　それはどこのシーンでしたっけ？

浪川　episode 7「虹の彼方に」でリディはNT-Dを発動させようとしているのに、バナージが発動を抑えようとするシーン。リディはその前の話からずっと怒ってる。

内山　血みどろのリディの顔のアップで終わるエピソード（episode 5「黒いユニコーン」）もありましたよね。本当にいいキャラだと思いますよ、リディ。

──ファンからもすごくイジられているし、美味しいキャラですよね。

浪川　ありがとうございます。あとはマリーダさんをやっつけちゃったシーンもよく覚えてる。

──思念の共鳴現象に翻弄されたリディが、攻撃の意思を捨てたマリーダの乗るクシャトリヤを一撃で撃破するあの場面も、彼を語るうえで外せないシーンですね。

浪川　舞台挨拶でずっと謝りながら全国を周って。

内山　誰も「謝れ」なんて言っていないのに浪川さんが勝手にやっていただけじゃないですか。

藤村　謝罪行脚（笑）。

浪川　「マリーダファンの皆様、どうもすみませんでした」から挨拶を始めてました。

──そのマリーダをはじめ、3人が演じられるキャラクター以外にも「ＵＣ」は印象的なキャラクターが多いです。

藤村　先ほどオーディオコメンタリーで観たときに思ったんですけど、アルベルトさんも実は人のいいおじさんなんですよね。「大を生かすために小を……（見捨てるなんて）男の論理を否定し続けてきたあなたが！ なぜ！」とマーサに掴みかかるところとか。

浪川　ジンネマンもいいこと言ってますよ。「男の一生は、死ぬまで戦いだ」。カッコいい。

藤村　マリーダさんに対して「赦す」と言ったシーンとか、ボロボロ泣きました。