炎炎ノ消防隊 大久保篤×宮野真守(「ソウルイーター」デス・ザ・キッド役)対談

数年ぶりの邂逅に友情の炎がほとばしる! アニメ「ソウルイーター」の裏話もきっちりかっちり完璧に

キッドに「思いっきり生きろよ」と教えられた

──印象に残っている、キッドのシーンはどこですか?

宮野 キッドが太陽に向かっていくシーンがあるんですよ。

大久保 幽霊船のところ?

デス・ザ・キッドが表紙を飾った「ソウルイーター」19巻(スクウェア・エニックス刊)。

宮野 そうです! 今だから言うと、その頃僕は20代中盤で、ちょっと調子悪い時期だったんです。でもキッドはすっごい調子よくやってるわけですよ(笑)。太陽に向かっていくシーンは、もう思いっきりやるしかないなって思って、声が裏返りながら「うわああああ‼」みたいな感じでやったら一発OKで(笑)。「ああ、芝居ってこういうことなんだ」と。キッドくんに「思いっきり生きろよ」と教えてもらった気がします。

大久保 じゃあ逆にキッドが憂鬱になっているシーンをやると、宮野くんが「ああ、もうダメだ……」ってなることもあったりして(笑)。

宮野 「もうダメだ、死のう……」って(笑)。

──アニメから原作への影響はありましたか?

大久保 例えばキッドのセリフは、アニメの後は影響を受けちゃって、宮野くんの言い回しっぽいセリフになってたりしますよ。

宮野 そういうことってあるんですか。

大久保 だって、面白いんだもん(笑)。アニメ観た後なんか、つい真似しちゃったりするから。

宮野 それはでも、うれしいですよね。担当させてもらった以上は「宮野でよかったな」って言ってもらいたいので、表現の上でもワンパターンには絶対なりたくないし。

「エクスカリバーの歌」の仕掛け人は大久保先生

──ハイテンションなアニメでしたが、アドリブはありましたか?

宮野 そうですね、必要に応じてですけど。エクスカリバー役の子安武人さんがアドリブに関する師匠でした。もう、天才的でしたね。

エクスカリバーが表紙を飾った「ソウルイーター」14巻(スクウェア・エニックス刊)。

大久保 ああ、そうだそうだ(笑)。

宮野 アドリブって難しくて、台本に(原作にないセリフが)書いてある場合もあるんですけど、現場で「ここで何か入れてください」って言われる場合もあるんです。台本にそう書いてあったときに、子安さんが「エクスカリバーの歌」を自作してきて……(笑)。しかもその歌がCM中にもずっと流れてるんですよ! で、歌が流れたままBパートが始まるっていう、ありえないことをやったんです。

大久保 ……実はあれ、僕が言ったんです(笑)。

宮野 えっ!?

大久保 ちょうど脚本会議に参加したときに、エクスカリバーのうざさを出して、Aパートがエクスカリバーの歌で終わって、Bパートになってもまだ歌ってるっていうアイデアが話し合われていたんですよ。それを聞いて、どうせならもっとうざさを出そうということで、スタッフさんに「それならCMの間も流せないですか?」って……。

宮野 うわ、ここに張本人がいた!! 犯人はあっくん!!(笑)

大久保 CMだから前代未聞だけど、調整すればやりようはあるって言っていただけて。……スタッフさんもノリノリでしたよ。

宮野真守

宮野 大人が本気でふざけると、すごいことができるんですね(笑)。アドリブをやるときも、本気でやるほうが面白いんですよね。

大久保 宮野くんだって、リハが一番面白いよね(笑)。

宮野 テストでは、自分の中で一番面白いものを出すんですよ。するとスタッフに「ちょっとやりすぎだよ」って言われて……。

大久保 「何言ってるかわかんない」って言われてたね。

宮野 そう、それ一番よく言われた(笑)。攻めてましたねえ。

──最後に、お互いにエールを送りあっていただければ。

大久保 応援も何もないですよ、最初に会ったときから宮野くんはもう光り輝いてたもん。スタッフさんも「今一番勢いある子ですよ!」って言ってたし。僕も「この子は売れますよ!」とか言って……もう売れてたのにね(笑)。これからもご活躍を応援しています。

宮野 僕から先生へのエールとしては……体を壊さないようにがんばってください、と。今日は僕も話をしながら「炎炎」のたくさんの魅力に気付けたし、「ソウルイーター」で忘れてたことも思い出したし……先生にも久し振りに会えたし、うれしかったです。この対談の読者にも、こんな僕らのたわいもない話を読んで楽しんでいただけたらうれしいです。それから、「炎炎ノ消防隊」という素晴らしい作品を、これからも楽しみにしててください。

大久保 発売中の6巻では、宮野くんもカッコいいと言ってくれた紅丸が大活躍します! アンケートでも人気の高い紅丸です(笑)。ぜひ楽しんでいただければ!

──ありがとうございました。

オフショット公開

大久保篤「炎炎ノ消防隊⑥」2016年12月16日発売 / 講談社
「炎炎ノ消防隊⑥」表紙
コミック / 463円
コミック 限定版 / 1404円
Kindle版 / 432円

桜備vs.紅丸! 大隊長決戦!! 狡猾な伝導者一味の能力により、誤解が誤解を呼び、衝突する両雄! 互いに譲れぬ対決の行方は!? 続々と解放される敵軍の能力に、浅草の町は大混乱! 燃え上がる町と白装束の猛攻に、第8は!? 第7は!? シンラたちに解決の術は──!? 現れる新たなる“焔ビト”! 目を覚ますシンラの深淵なる炎! 灼熱の浅草編、決着の時!! 6巻の帯には宮野真守&デス・ザ・キッドの推薦コメント掲載!

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大久保篤(オオクボアツシ)

2001年に「一善の骨」でデビュー。「ソウルイーター」は月刊少年ガンガン2004年6月号(スクウェア・エニックス)より約9年にわたり連載され、テレビアニメ化も果たした。その後、「ソウルイーター」の外伝である「ソウルイーターノット!」を同誌2011年2月号より連載し、2014年にテレビアニメ化。2015年より週刊少年マガジン(講談社)にて「炎炎ノ消防隊」を連載中。

宮野真守(ミヤノマモル)
宮野真守

1983年6月8日、埼玉県生まれの声優、俳優、歌手。7歳から劇団ひまわりに所属し、子役として活動を始める。声優としてのデビューは2001年放送のNHK海外ドラマ「私はケイトリン」グリフェン役。以降、アニメ、ゲーム、洋画吹替など幅広く活躍。また、歌手としても2008年にシングル「Discovery」で、キングレコードよりアーティストデビューを果たし、2016年は「HOW CLOSE YOU ARE」「SHOUT!」「テンペスト」「The Birth」と計4枚のシングルをリリース。また、自身最大規模となるライブツアーを行い、横浜アリーナにてツアーファイナルとなる2days公演を大成功におさめた。夏には東京・帝国劇場で上演されたミュージカル「王家の紋章」に出演し、新たな一面を見せた。