「衛宮さんちの今日のごはん」×「Fate/Grand Order 英霊食聞録」TAa・十駒マコト・遠藤雅司のほっこり座談会|“Fate×料理” ジャンルに、期待の新作現る! 十駒マコトは、実は「衛宮ごはん」のあの人だった…?

「衛宮ごはん」時空?

TAa おふたりの話を聞いていると、「衛宮ごはん」はだいぶ楽といえるのかもしれないですね……。実際、ネーム(ストーリーの下書きのようなもの)も監修していただくのですが、修正することなどがほぼないので、毎回いいのかな?と思いつつも自由に描かせていただいてます。

「衛宮さんちの今日のごはん」7巻収録の第43話より。

十駒 いやいや、「衛宮ごはん」は「Fate」の原作設定をすごく拾っていてすごいですよね。7巻収録のエピソードだと、文化祭のエピソード(43話「さくさくホットサンド」)が楽しかったです。ネコアルクがいたりと、小ネタが背景に詰まっていて面白い。男女逆転のメイド喫茶で、凛が男装しているのも最高でした!

TAa ネコアルクは、原稿を手伝ってくれている妹がそっと仕込んでいました(笑)。凛の執事姿に関しては、最初は素直にメイド服の案もあったんです。でも原作や版権イラストで凛のメイド姿ってすでにありますし、見たことがないものを……と考え逆転させてみました。

──「衛宮ごはん」は「Fate」のコミック展開の中でも長いシリーズになってきました。お話の作り方に変化などはあるでしょうか?

TAa 料理面ではまことさんが季節ごとにいろいろなものを出してくれるので、料理というよりはお話のネタそのものに苦労するようにはなっています。もうハロウィンもクリスマスもやってしまったから、次の10月、12月はどうしようかというような悩みですね! あとは表紙カバーになるキャラクターは必ずその巻に出す、という自分なりの縛りがあって、このキャラクターだとこのシチュエーションがいいかなというのを考えるのがけっこう大変です。

──7巻はキャスターと小次郎がカバーに登場していますね。これまで、キャスターは宗一郎のために料理修行回、小次郎はサンドイッチ回や桜餅回などがありました。

「衛宮さんちの今日のごはん」7巻収録の第46話より。

TAa 小次郎は山門から離れられないので、移動するエピソードではなく、来てもらうエピソードになりますね。ですので7巻収録の46話(「冬の空とみぞれ鍋」)はカセットコンロでお鍋にしてみました。ツッコミどころはきっとたくさんあるのですが、原作の設定に沿って山門から離れるような展開はやめておこうと。原作の設定に沿いつつも、連載が続く中で衛宮ごはん独自の展開をしつつありますし、小次郎も……とはよく考えます。当初はここまで連載が長く続くとは思っていなかったので……。

──「衛宮ごはん」時空に救われた気持ちになっている読者もきっと多いと思います。7巻には収録されませんが、51話(「トウモロコシのごはんと天ぷら」)では、ライダーさんが免許証を取得していますね。ついに戸籍ができている……!

TAa 実は戸籍については「hollow」で凛がキャスターの戸籍を作っているエピソードがあったので、そういうことまでできるのか凛……!と入れてみました。冬木の管理者、とんでもない。

遠藤 51話のトウモロコシごはんがすごく美味しそうで。今年はたくさんトウモロコシをいただいたので、実際に作りました。美味しかった……。

「Fate」と料理の化学反応

──最後に、「Fate」シリーズと料理の組み合わせの魅力について、改めて皆さんからお聞かせいただきたいです!

TAa 初めて「Fateでごはんマンガ」と提案していただいたとき、ごはんマンガできるような原作だったかな!?とびっくりして。それまで読んだことのあるごはんマンガの数が少なかったのもありますね。でも原作ゲームでも調理シーンや食事シーンがたくさんあり、しかも士郎や桜や凛は料理できるキャラクターとして描かれていて、それぞれ和洋中と得意料理の設定もある。その点では確かに相性がよくて、受け入れられやすかったのかもしれないなあと今は思っています。

──原作の中に料理が外せないピースとして組み込まれている。

TAa そうですね。士郎は自分のためにしっかり作る人ではなさそうだと思っていて、藤ねえやセイバーのような“食べてくれる人”がいるからあれだけ料理するような人になったのかなと、性格の描写にもなっているんですよね。「衛宮ごはん」では、まことさんのおかげで「この料理はこう作るとより美味しくなる」の情報をかなり盛り込んでいるので、高校生の作る料理にしては手間がかかりすぎている……というところはありますが、「士郎ならやりかない」と受け入れてくれる読者さんの懐の深さと、いろいろと好きに描いてもOKを出してくれるTYPE-MOONさんの懐の深さ、2つに支えられています。

十駒 「食は人なり」という言葉がありますが、食のある場所には思い出と歴史が残るので。「衛宮ごはん」は現代のごはんで思い出を紡いで、「英霊食聞録」は過去のごはんで歴史を振り返るというふうに取り組ませていただけたらと思います。

遠藤 英霊たちが活躍していた時代と、その時代の料理と、サーヴァントたちの掛け合いが化学反応を起こせるのがFate×歴史料理の面白さ。「英霊食聞録」では、自分は黒子として資料をお渡しして下支えするのが仕事です。10送ったうち1でも使ってもらえたらうれしいです。ただ、使われなかった部分もムダにはならないと思っています。

十駒 そのエピソードで使えなくても、違うところで使えればと実はお話の中に仕込んでいたりもします。例えば1話と4話は少しだけ話がつながっていたり、「衛宮さんちの今日ごはん」「英霊食聞録」それぞれ別角度からの食についてのマンガですが、その別角度からのアプローチを楽しんでいただけたらと思います。皆さまの温かい応援、本当にありがとうございます。「衛宮ごはん」についてはアニメ・ゲーム・YouTubeの3分料理動画なども展開しているので、ぜひチェックしてみてください!

TAa(ター)
TAa
「Fate/stay night」のアンソロジーなどを執筆後、2016年にKADOKAWAのWebマンガサイト・ヤングエースUPで「衛宮さんちの今日のごはん」を連載開始する。イラストレーターとして「Fate/Grand Order」「三国志大戦」や小説「カンスト村のご隠居デーモンさん~辺境の大鍛冶師~」(ソフトバンククリエイティブ刊)などのイラストも担当。
十駒マコト(トコママコト)
十駒マコト
まこと名義で「Fate/stay night」「Fate/Grand Order」のアンソロジーなどを執筆。只野まこととして、「衛宮さんちの今日のごはん」の料理監修も行っている。2018年発売の「Fate/Grand Order カルデアエース VOL.2」に掲載された「ウルク飯」をきっかけに、2019年に十駒マコト名義で「Fate/Grand Order 英霊食聞録」を連載開始。
遠藤雅司(エンドウマサシ)
遠藤雅司
歴史料理研究家。世界各国の歴史料理を再現するプロジェクト・⾳⾷紀⾏を主宰し、多数の料理イベントを開催。著作は「歴メシ!」(柏書房)など。カワグチタケシ作画の「Fate/Grand Order-turas realta-」(講談社)の9巻収録「interlude19.5」の歴史料理監修や、2019年8月に開催されたアニメ「Fate/Grand Order- 絶対魔獣戦線バビロニア- 展Road to Uruk」の古代メソポタミア料理&バターケーキ作成なども手がける。