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片桐仁がeBookJapanからセレクト! 鬱屈した男子に希望を与える6作品

楳図かずお「漂流教室」

読み終わったときの“がんばろう感”

楳図先生だと「わたしは真吾」と「洗礼」、そして「漂流教室」がトップ3って気がするんですけど、その中でも「漂流教室」はストーリーがしっかりしていて、かつ楳図先生の妄想と現実がないまぜになってる感じがすごいなあと。子供たちが読んじゃったら「そうなんだ」って思わざるを得ない説得力がありますもん。

僕は大人になってから読んだのですが、当時読んでた小学生はどう思ったんだろうなあ……。子供同士が竹槍で殺し合いますからね! それを絵の力と強引なストーリーの力で読ませちゃう。いわゆるサバイバル系というか、最悪の状況から始まるマンガの系譜だと思うんですが、読み終わったときの“がんばろう感”みたいなものは直球なんです。これはやっぱり元気になりますよ!

  • 片桐仁
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小山ゆう「スプリンター」

荒唐無稽だけど圧倒的な展開に引き込まれる

始まりがもうすごい! お祭りで、町の人同士が揉めてるんです。今にも殺し合いが起こりそうな状況。そこにちっちゃい小僧が現れてチンコを出すと、みんなが「わはははー」ってなって、笑って収まっちゃう。そのシーンを見た大社長が「このガキ連れて帰るぞ!」って養子にしちゃうんです。圧倒的な展開でしょ? しかもここまでで使ってる枚数、6ページ! そんで次のページいきなり「12年後」ですから。

あとは主人公である光の圧倒的な才能。光はビジネスマンとしても天才なんだけど、その才能を捨てて走りのほうに行く。顔もカッコいいから、ブサイクでビジネスだけやってる兄弟たちに嫉妬されて邪魔されたりして。その才能たるや圧倒的なんですが、小山さんの熱量ある絵で読まされると、奇想天外だけど血肉の通った感じになるんですよね。短い話で荒唐無稽なんだけど、鬱屈していた自分にとっては、なんかグーッと惹き込まれる作品でした。

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平田弘史「薩摩義士伝」

武士の鬱屈はレベルが違うぞ!

これを選んだ理由は「武士の鬱屈はレベルが違うぞ!」ってことですね。「これに比べればあなたの鬱屈なんか大したことないですよ」と。平田先生は「どうせ死ぬんだから、どう死ぬかでしょ」という描き方をする人で、「漂流教室」もそうですけど、死の見せ方が今回のセレクトのキーポイントかもしれないですね。

「薩摩義士伝」は薩摩の武士たちの話なんですが、ほぼ実話なんですよ。薩摩って外様だから幕府からいろいろ無理難題を命じられて、鹿児島にいるのに木曽川の氾濫をせき止める工事っていうのを江戸から命令される。さらに武士の中にも上士と下士があって、その身分差別が半端なくて。その恨みの話から始まるから、まず全然木曽川に行かない(笑)。殺し合いや切腹でどんどん人が少なくなっていく様が残酷だし、最初はやだなーと思うんだけど、最終的に工事もうまく行って、地元の人に感謝されますし、なんか清々しいんです。

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土田世紀「編集王」

青春モノとしてたまらなくいい

「ブラックジャック創作秘話」とか「まんが道」みたいなマンガ家モノ、作り手側を描いた作品には目がないんです。そういったマンガを取り巻く「熱さ」をこの絵でやられちゃうと、これはもう青春モノとしてたまらなくいいんですよね。ペンのタッチが持つ呪力のような、1枚の絵が持つしつこさが土田世紀さんの魅力です。

あとマンガ家にはどうしてもいい作品を描ける寿命というか、“旬”みたいなものがあると思っていて。それを超えてまで描き続けるのは無様なようで、でもそこからもう1回別のムーブメントが生まれる瞬間っていうのもある。そういう姿を描いてるんですよね。そういった意味でも行き詰まった人に、ぜひ。

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片桐仁(カタギリジン)
片桐仁

1973年11月27日生まれ、埼玉県出身。多摩美術大学在学中に小林賢太郎とラーメンズを結成。以降舞台を中心に活動している。芸人、俳優業のかたわら、1999 年より粘土を用いた造形作家としても活躍。昨年2013年には東京、札幌、大阪で個展を開催した。8月14日からは関東のイオンモール4カ所で「出張ワークショップ 親子でねんど道@イオンモール 親子で靴箱貯金箱を作ろう!」を実施する。現在、東京・本多劇場にて舞台「鎌塚氏、振り下ろす」に出演中。