「ブレイド&バスタード」コミカライズ連載がDREコミックスで始動!蝸牛くも×so-bin×楓月誠インタビュー (3/3)

小説2巻の見どころは、大きくて大きい子

──so-binさんは気に入っているキャラクターはいらっしゃいますか?

so-bin 誰だろう。アイネですかね。

蝸牛 そうだ、2巻のアイニッキの挿絵、すごくよかったです(笑)。

so-bin ああ、あれですね(笑)。もともと、ニコニコしながらメイスを持っている……っていう設定だったんですけど、僕がそのメイスにトゲを生やしちゃったんです。アイネって、どこか異常者っていうイメージがあって(笑)。トゲを付けたほうが誇張できていいかなって。

蝸牛 イラストがあまりにもよかったんで、「これしかない!」って気持ちになって、文章のほうも後からトゲ付きに変えたんです(笑)。当人はそんなつもりはないんでしょうけど、傍から見ると狂信者みたいなところありますよね。アイネさんはプリーストだって言い張っているけど、もしかしたら違うかもしれない(笑)。

──その小説2巻は6月9日に発売されたばかりです。見どころはどんなところでしょう。

蝸牛 2巻は表紙に出てくるベルカナンっていう少女が、竜を退治するためダンジョンに潜っていく話が軸です。「ウィザードリィ」の初期3部作って、基本的に道中のボスはほぼいないんですよね。なので彼女が自分で目標を見つけて始めた冒険だという点で、それを見届けていただきたいのがまず1つ。もう1つ、昔あった「ウィザードリィ」の作品の中に、自分の好きな小説があるんですけど、それのオマージュになっています。もしご存じの方がいたら「蝸牛くもとか言うやつ、またこんなの描いているよ」と温かく見守っていただけたら幸いです。

小説「ブレイド&バスタード」2巻。左がベルカナン、右がララジャ。

小説「ブレイド&バスタード」2巻。左がベルカナン、右がララジャ。

so-bin ベルカナンすごくいいキャラですよね。魔法使いなんですけど、剣を持ってるんですよ。

蝸牛 あんまりしゃべってもネタバレになるので、読んでくださいっていう感じですけど、一応こういうキャラメイク……というか、育て方ができるという前提のもとで書いています。面倒くさいし、やる意味があるのかは別として。

so-bin すごく大きい子で、それもいい。ボクっ娘なのも刺さりました。

蝸牛 大きくて、大きい子です(笑)。ガーベイジもそうなんですけど、あんまりこういうキャラが小説では出てこないんですよね。でも自分は好きだから、自分で出してしまったようなところがあります。

so-bin 全体を通して成長物語になってるんで、そこらへんもストレートに面白かったです。弱い奴らが修行してデカい敵を打ち倒す。そうは言ってもけっこう、容赦なくボコボコにされるんですよ。そういう戦闘の、ギリギリのやり取りがいい。

蝸牛 これは「ゴブスレ」でもそうですけど、攻撃を受けるってことはただHPが減るだけじゃないよねっていうのを、意識して書いているので。ステータスの数値がピコピコ上がったり下がったりするだけではないよねっていう感じで書いてはいますよね。

so-bin ちゃんと苦しそうなのが伝わってくるんです。そういえば1巻でも、イアルマスが捨て身で敵に挑んでいくようなところがあったじゃないですか。あれが衝撃で、あそこを読んで「この仕事、受けよう」と決めたんですよ(笑)。早くマンガでも読みたいシーンがいっぱいありますね。

蝸牛 マンガでどうなるのか楽しみですね。楓月さんにプレッシャーをかけてしまいますが(笑)。

楓月 がんばります(笑)。

「ブレバス」の魅力を1人でも多くの人に届けられたら

──では改めて、マンガの今後に向けた意気込みをお聞きできますか。

楓月 そうですね。「ブレバス」の魅力、「ウィザードリィ」の魅力。自分が原作を読んで感じたこととか、「ウィザードリィ」のゲームをプレイしてイメージを広げていったところ、解像度を上げていったところをうまく落とし込んで、この「ブレバス」の魅力を1人でも多くの人に届けられたら最高だなと思っています。作画コストがめちゃくちゃ高そうなところもこの先あるかもしれないですけど、1ページ1ページ大切に描かせていただければなと思っていますので、どうぞよろしくお願いします!

マンガ版第2話より。

マンガ版第2話より。

蝸牛 ありがたいですね。「ゴブスレ」とかほかの作品をやってきて思うのは、小説だけだとやっぱり読者さんの反応はそこまで見られないんですけど、コミカライズが始まると反応してくれる人の数が多くなるので、そういう意味でもマンガにしていただけるのはありがたいですね。どうしても絵のほうが、情報量と言うか……伝達力が高いなって感じますし。

so-bin どちらも違った魅力がありますから。小説は小説の界隈があって、マンガにはマンガの界隈があって。両方の人たちが喜んでくれたらいいんじゃないかなって思いますね。

──マンガをきっかけに小説を手に取ったり、小説を読んでからマンガも楽しんだり、はたまたゲームの「ウィザードリィ」に触れるきっかけになったり。そういう、いい循環が生まれるといいですね。ちなみに今は何話を取り掛かられているんですか?

楓月 今は第3話と第4話を、同時並行で。僕は原作だと、ララジャがイアルマスたちの前で初めて宝箱を開けるシーンが好きなんです。彼らがパーティになったんだなという感じがした。冒険といえば宝箱。その宝箱を開けるという象徴的なところで、パーティ感を感じられたのがすごくグッときまして……。ちょうどそのあたりを取り掛かっているんで、近いところで言うとそこを一生懸命描きたいと思っています。

──so-binさんとくもさんからも、改めてひと言ずついただけますか。

so-bin 早く売れてもらって、みんな幸せになってくれればなと(笑)。

蝸牛 (笑)。がんばって面白い話を書きます。

so-bin 1000万部とか行けばみんな幸せになれると思うんで、そこを目指してがんばっていきたいと思います(笑)。

蝸牛 1000万部かあ……。自分からは、「ウィザードリィ」を知っている人は「蝸牛くもとかいう奴がこんなん書いてるよ」って温かく見守っていただければなと。知らない人には、こういう作品があって面白いんだよということが伝わればいいなって感じで書いています。これからも精一杯がんばっていきますのでどうかよろしくお願いします、ってところなんですが、1000万部……(笑)。差し当たっては3巻をこれからがんばって書きますので、楽しんでいただけたら幸いです。

作品を広げるためにがんばってくださっている。すごくありがたい

──最後にもう1つ伺わせてください。「ブレバス」のマンガ版は、ドリコムさんが本格的にマンガ事業を始められる、DREコミックスの第1弾作品として展開されます。作家としてドリコムさんとお仕事されていて、何か感じていらっしゃることはありますか?

蝸牛 「ブレバス」はやっぱり「ウィザードリィ」を扱わせてもらっているので、「ウィザードリィ」のゲームも作っていらっしゃるドリコムさんが監修をしっかりやってくださるのはありがたいですね。自分の原作はもちろんですが、コミカライズだったり挿絵だったりと広がっていく中で、もし1人で全部チェックしないといけないとしたら大変すぎるので(笑)。そういう意味ではすごく安心して書けるなと感じています。

──くもさんは現在募集中の小説コンテスト「ドリコムメディア大賞」で、最終選考委員も務められますよね。受賞作は書籍化はもちろん、コミカライズ、PV・ボイスドラマ化といった展開を積極的にしてくれるということですが。

蝸牛 割と自分がアマチュア気分でいるので、審査とかしていいのかな?みたいなところもあるんですけど(笑)。結局、面白い話を書けたとしてもそれ単体ではなかなか広がっていかないんです。それを広げていくことをやってくださっているのがドリコムさんであり、ドリコムさんを通じてお仕事をさせていただいているso-bin先生だったり、楓月先生だったりする。そういう意味で、作品を広げていくためにがんばってくださっているのがすごくありがたいですね。

──so-binさんはお仕事していて、こういうところがやりやすい、あるいはやりにくいとかあります?

so-bin すごくやりやすいですよ。甘やかしてもらっているというか、スケジュールもわがままを聞いてくださって、本当にありがたいことです。嫌だなって思ったことがないんじゃないかな、今のところ。たまにあるんですよね、全然連絡が来ないところとか(笑)。

──(笑)。こういう言い方は失礼になってしまうかもしれないですけど、ドリコムメディアさんはブランドが立ち上がってから、まだ日が浅いじゃないですか。小説コンに応募を考えている人にしても、読者としても、どんなところなのかイメージが湧きづらいんじゃないかと思う部分があったんです。でも作家さんが伸び伸びやれていらっしゃる、「つらい」「しんどい」じゃなく、楽しくお仕事されている環境なんですね。聞けてよかったです。

so-bin 一緒にお食事させてもらったりとか、顔を見ながら仲良くさせてもらったりしてるんで、安心して仕事できますね。なんかあったらこっちも素直に言えるので。

蝸牛 自分の担当さんは昔の知り合いというか、関係者というか……なので、そのへんは信頼していますね。

マンガ版第2話より。

マンガ版第2話より。

──楓月さんはどうですか?

楓月 僕らが第1弾ってことで、実際にどういう形でマンガが載るかとか、本が発売されたらどうなのかってところは、まだちょっとわからないんですけど。でも担当編集さんといろいろ内容について詰めているときに、「小説のここの設定どうなってるんだろう」って話をしたら、「ちょっと待ってね」「ノベルの担当さんが後ろにいるから聞くわ」みたいなやり取りがあって(笑)。社内の連携がすごい密だなって感じたんです。それがこっちとしてはすごくありがたいし、電話口から感じる社内の雰囲気も仲良さそうみたいな。そんなイメージはありましたね。とてもやりやすいです。

so-bin マンガ版はどのくらいのペースで連載するんですか?

スタッフ 月2回更新です。1話を分割して掲載していく形で、第1話の①・②、第2話の①・②と進んでいきます。

楓月 もっといっぱいのページを描ければいいんですけど、なかなかペースがあがらなくて……。そのぶん迫力がある見せ場を作ろうって話を担当編集さんともしているので、楽しみに待っていてください。

蝸牛 ゆっくりでいいんですよ……!

so-bin あんまりペースを上げてもらっても追いつかれちゃいますもんね?

楓月 ははは(笑)。もし追いついたら夏休みをいただいて「ウィザードリィ」のゲームをやり込もうと思います!

一同 (笑)。

DREコミックス グランドオープン!
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DREコミックス公式サイト

プロフィール

蝸牛くも(カギュウクモ)

ライトノベル作家。代表作に「ゴブリンスレイヤー」など。

so-bin(ソービン)

イラストレーター。代表作に「オーバーロード」など。

楓月誠(フウゲツマコト)

マンガ家。コミカライズを手がけた作品に「君は死ねない灰かぶりの魔女」「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」「Re:ゼロから始める異世界生活 第二章 屋敷の一週間編」など。