「ドロ刑」福田秀×石田明(NON STYLE)対談|関係性を愛することで深まるコンビの魅力

週刊ヤングジャンプ(集英社)にて連載されている福田秀の「ドロ刑」は、窃盗やひったくりなどの捜査を行う刑事部捜査三課に属する新米刑事の斑目勉と、伝説の大泥棒・煙鴉(けむりがらす)と目されるアラフィフの男性・ハルトが織りなすバディもの。ひょんなことからコンビを組むことになった斑目とハルトは、2人でさまざまな事件を解決することになる。

コミックナタリーでは単行本1巻が発売されたことを記念し、福田が会ってみたい人として挙げたNON STYLE・石田明との対談をセッティング。福田と石田はマンガと漫才に“関係性”という共通点を見出し、「ドロ刑」に登場する斑目とハルト、そしてNON STYLEの2人が持つコンビの魅力について語り合った。

取材・文 / 宮津友徳 撮影 / 石橋雅人

作品紹介

ドロ刑

窃盗やひったくりなどの捜査を行う、最も身近な刑事とも言えるドロ刑こと警察の刑事部捜査三課。すべての犯罪の中で検挙率ナンバーワンを誇り、捜査のスペシャリストと言われる捜査三課に配属された新米刑事の斑目勉は、鮮やかな手口で宝石を盗んでいく大泥棒・煙鴉を追っていた。

そんな中斑目は別件の捜査中に、煙鴉と思しき男性・ハルトと遭遇。最初は男性のことを敵視し、「捕まえてやる」と意気込む斑目だったが、ひょんなことから2人はコンビを組んで動くようになり……。

斑目勉(まだらめつとむ)
「ドロ刑」第1話より。斑目は煙鴉が現場に残した煙草臭と、ハルトが吸っている煙草の匂いから、ハルトが煙鴉だと断定するが……。
盗犯捜査を行う捜査三課に所属する新人刑事。ガサツな一面はあるものの、正義感が強く規格外の体力と嗅覚を持つ。ハルトのことを煙鴉であると断定し、彼を捕まえようと意気込む。
ハルト
「ドロ刑」第2話より。斑目にドロ刑の本質を説くハルト。
神出鬼没なアラフィフの紳士。掴みどころのない性格で、斑目のことを翻弄しつつも彼の捜査に協力する。甘いものが好きで子供に優しい一面も。

福田秀×石田明(NON STYLE)対談

マンガと漫才の共通点

──本日は福田さんたっての希望で、おふたりの対談を実施することになりました。

石田明

石田明 まずお伺いしたいのが、なんで僕だったんですか? (相方の)井上(裕介)のほうにオファーがあるならわかるんですよ。あいつはTwitterにマンガの感想をちょくちょくアップしているから。

福田秀 去年の2月くらいだったと思うんですけど、後輩芸人のニューヨークさんのラジオに石田さんがゲストでいらっしゃっていたんです。そのときにお話をされていた芸人のコンビ論というのが、マンガ創作に通ずるところが多すぎて、一度お話を伺ってみたいと思っていたんです。

石田 えー、ニューヨークのラジオって、めちゃくちゃ深い時間にやっているやつですよね。よく聴かれていましたね(笑)。

福田 作家にとって深夜はお昼みたいなものなので(笑)。

石田 そのときどういう話をしていましたっけ。

福田 ニューヨークさんがM-1グランプリで準々決勝とか準決勝まではいくんだけど、なかなかそこから先に進めないと悩んでいて。うろ覚えで申し訳ないんですが、石田さんが「今の若手の人たちは漫才はうまいんだけど、漫才の面白さだけでやっているとそのうち飽きられてしまう。自分は漫才の中でコンビの関係性を楽しんでもらえるものを作るようにしている。関係性で楽しんでもらえれば、そのコンビの漫才は長く愛される」とおっしゃっていたんです。

「ドロ刑」第3話より。「僕らきっと良いチームになるよ!」とハルトから言われての、斑目の一言。

石田 言いましたね。関係性があれば、なんならウケないようなものでも見てられるって。

福田 マンガでもお話はもちろん大事だけど、キャラクターが重要っていうのはよく言われていて。関係性を楽しんでもらうっていうのは一緒だなと感じたんですよ。もちろんNON STYLEのおふたりの関係性も、互いに愛に溢れているなと思うのですごく好きです。

石田 僕は井上のことあんまり好きじゃないですけどね(笑)。実は今日の対談の前、井上と一緒の現場だったんですけど、「このあと集英社で『ドロ刑』の作者の方と対談する」って言ったら、「えっ、俺じゃないん?」って悔しがってましたよ。

福田 井上さんにはよくTwitterで話題に上げてもらっているので、なんだか申し訳ないです(笑)。

これドラマ化ですやん!

石田 そもそもどうして「ドロ刑」で捜査三課を舞台にしようと思ったんですか? 窃盗犯専門の部署が舞台になるのって、結構珍しいですよね。

「ドロ刑」第1話の見開き扉ページ。

福田 ずっとネームにOKがもらえない時期が続いていて、「マンガの作り方を変えなきゃいけないかも」と思ったことがあったんです。それまではキャラクターから作っていたんですが、担当さんから「まずはキャラクターの職業を決めるところから始めるのがいいんじゃないか」と言われて。もともと刑事ものっていうのは頭の中にあったんですけど、もう世の中に溢れているし、今さら自分がやるネタはないだろうと思っていたんですね。そんなときにテレビのバラエティでいろんな部署の刑事さんが出演される討論番組を観たんです。それで捜査三課の方たちが「自分たちは警察の中で一番事件を解決しているのに、全然マンガやドラマにならない」って訴えていらして。

石田 そのときに「これだ!」とバチンときたと(笑)。実際、三課はマンガとかドラマになってないんですか。

福田 ないことはないんですが、メインのテーマが窃盗犯ってなるとやっぱり数は多くないですね。

「ドロ刑」第1話より。殺人事件などを扱う一課に所属する同期の刑事から「ドロ刑」と揶揄される斑目。

石田 でもなんなら「ドロ刑」がすぐドラマになりそうですよね。読んでて「これドラマ化ですやん!」って思いましたもん。

福田 ありがとうございます(笑)。連載を始める前から、「刑事ものは映像化されやすい」とは聞いていたので、なればいいなとは思っているんですけど。

石田 ドラマになったら犯人役で俺を使ってくださいよ(笑)。やっぱりこういう作品って刑事さんのところにいろいろと聞きに行ったりするものなんですか?

福田 もちろん取材もしているんですけど、最初は自分で調べた知識とかで作品を作り始めましたね。今は監修の方にも入っていただいていて、できあがったお話に対して間違った部分があれば、「ここがちょっと事実と違う」と指摘してもらっています。

「ドロ刑」第2話より。女性宅に侵入し、ベッドに残っていた髪の毛を口に含む泥棒。

石田 取材してるってことは、お話の中に出てくる窃盗犯ってホンマにおった奴だったりするんですか? 女性宅に侵入して勝手にシャワー浴びたりベッドの髪の毛食べたりする奴とかめちゃくちゃ怖いじゃないですか。

福田 あれよりえげつない人とかいますね。

石田 えー! まだライトにしてるほうなんですね。

福田 ライトにしつつも、なるべく気持ち悪さは引き出せるようにがんばっているんですけど(笑)。資料を読んでいると、トイレに流すべきものを人様の家のリビングでする人がいたりとか、旅行中の家族の家に忍び込んで、しばらく居住してしまったというケースもあるみたいです。石田さんは泥棒に入られたこととかありますか?

石田明

石田 僕は貧乏な家庭で育ってきたんでないですね(笑)。でもこの前後輩が泥棒に入られたらしくて、家に帰ったら部屋に知らん人がおったらしいんですよ。

福田 えっ、大丈夫だったんですか?

石田 「何やってんねん!」って怒鳴ったら、「お邪魔しましたー!」って逃げていったらしいです(笑)。無事捕まったみたいですけど。

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「捜査のすべては、ドロ刑に始まりドロ刑に終わる」
ホシは、全犯罪で一番多い窃盗犯。検挙率第1位の盗犯捜査のスペシャリスト、それが警視庁捜査三課刑事、通称《ドロ刑》。
新米ドロ刑・斑目が出逢ったのは、伝説的大泥棒・煙鴉だった!? 手練手管の職業泥棒、煙のように捉えどころのない怪盗紳士。果たして彼らを捕まえることはできるのか……!?
盗られたモノは捕り戻す! 《泥棒×刑事》、異色の《相棒》捜査線! 明日から試せる防犯テクニックも充実の第1巻!!

福田秀(フクダシュウ)
埼玉県出身。ミラクルジャンプ2014年11月号(集英社)に、読み切り「JUMP OUT」が掲載されデビューを果たす。その後週刊ヤングジャンプ2016年1号(集英社)に「ハイヒール」が掲載され、同誌2018年5・6号より「ドロ刑」を連載している。
石田明(イシダアキラ)
石田明
1980年2月20日生まれ、大阪府出身。中学、高校の同級生である井上裕介と結成したNON STYLEではボケとネタ作りを担当しており、2000年にプロデビューを果たす。2006年に行われた第4回MBS漫才アワードで優勝し、以後多くの漫才コンクールで新人賞を獲得する。2008年には活動拠点を東京に移すとともに同年のM-1グランプリで優勝し、4489組の頂点に輝く。近年は漫才、テレビ出演のほか、舞台や映画の脚本、演出なども手がけている。7月14日から16日にかけて東京・有楽町のオルタナティブシアターにて、ザ・プラン9の久馬歩とともに脚本・演出を担当した舞台「モニタリンGood!~それが大事~」が上演に。さらに作・演出を手がけ、自身も出演する「ももたろう」を題材にしたヒーローショー「幼児・小学生・戦隊ファン向け 夏休み企画 ももたろう」が、東京・ルミネtheよしもとにて7、8月に公開される。いずれのチケットもチケットよしもと、チケットぴあ、ローソンチケットにて販売中。