「復讐の毒鼓2」原作 Meen× 作画 Baekdoo|「10年先の展開まで考えています」2人で描く、重く荒々しい復讐劇のこれから

なんでも食べるところとか、気が合うんです(Baekdoo)

──今やMeen先生とBaekdoo先生のタッグが手がける「復讐の毒鼓」シリーズは、“Meen・Baekdooユニバース”の総称で人気を博しています。

Meen 作品の面だけでなく、Baekdoo先生とはいろいろな面で気が合うんです。2人ともシーフードよりも肉が好きなところとか。

Baekdoo なんでも食べるところとかね(笑)。

──(笑)。おふたりの共通点として、日本のマンガが好きというところもあるそうですね。「復讐の毒鼓」シリーズにおいて影響を受けた作品はありますか?

Baekdoo 髙橋ツトム先生の「爆音列島」や、沙村広明先生の「無限の住人」の激しくもラフな絵に影響をかなり受けましたね。

Meen 僕は「SLAM DUNK」や「DRAGON BALL」をよく読んでいて。「復讐の毒鼓」と直接的な繋がりはさほどないのですが、ストーリー部分で無意識に影響を受けていると思います。そのほかにも「復讐の毒鼓」の世界観を徐々に拡大して構築していった部分は、松本零士先生の影響です。幼い頃、「銀河鉄道999」でキャプテンハーロックが登場したときの驚きは今でも忘れられません。

驚く僕を見て楽しんでるみたいです(Baekdoo)

──「復讐の毒鼓」シリーズを通して、反響の大きかったエピソードを教えてください。

「復讐の毒鼓」第86話より。

Meen 個人的には、「復讐の毒鼓」の第86話で雷藤仁と風見愛が拳を合わせる場面だと思います。今まで実力を隠していた彼らが、親衛隊にようやく本気を見せつけたシーン。

Baekdoo 確かに、そのシーンは読者の反応が一番よかったですね。大勢の親衛隊を相手に勇が戦っている中、助っ人として雷藤仁と風見愛が登場するという。主人公たちの不利な状況を逆転させる場面だったので、自分自身も作業しながらもスカッとする場面でした。

Meen あとは「復讐の毒鼓 REWIND」の最後で描かれた勇と仁のケンカシーンでしょうか。ここはBaekdoo先生が、自分の予想以上にかなり上手く表現してくれました。

「復讐の毒鼓 REWIND」メインビジュアル

──Meen先生のストーリーに、Baekdoo先生が意見されることはあるんですか?

Baekdoo たまに話し合うことはありますね。その話し合ったことを忘れた頃にストーリーとして出てくる場合もありますし、出てこないこともあります。まあ、ほとんどは反映されないんですけどね!(笑) 原作を読んで「こうくるか!」と思わされることが毎回で、驚く僕を見てMeen先生も楽しんでるようです。ただアクションシーンなどは自分が直接演出したいので、ストーリー上で特に重要な部分でなければ設定を決めさせてもらってます。

Baekdoo先生のアドバイスで、イケメンな悪党が誕生したわけです(Meen)

──一方、Meen先生が作画に関して注文なさることはあるんですか?

Meen だいたいの見た目や身長のイメージを伝えて、あとはBaekdoo先生にお任せですね。

Baekdoo はい、基本的には自由にやらせてもらっています。キャラクターが初めて登場したときの行動を見て性格を考えるなどして、今後の展開に差し支えのない範囲で設定を作ってます。ストーリー上、重要なキャラクターはデザインの大体の方向性を先に話し合って決めてから始めるという感じです。

──主人公の勇はどのように作り上げていったのでしょう。ケンカが強いだけでなく、冷静沈着でかなり頭が切れるというキャラクターです。

Meen 伝説の不良と言われ、中学校も退学になった勇はいわば社会的弱者の象徴です。権力や力のない人間であるため、慎重に扱わないといけないと考えていました。ただ、弱者ゆえに最後の最後には打ち勝てるエネルギーを持っているはずと考え、強さと慎重さを兼ね備えたキャラクターが生まれました。

──なるほど。ナンバーズの会長・早乙女零はどのように生み出されたんですか?

常に戦略的で冷静な判断を下す早乙女零。

Meen 早乙女零のキャラクターに関しては、Baekdoo先生の意見をもとに最初の設定から変更したんです。零は自分でイメージしたときはイケメンではなかったのですが、Baekdoo先生のアドバイスがあってイケメンでクールな悪党が誕生したわけです。今となれば、変更して正解だったと思います(笑)。

──最大の敵役ながら人気のキャラクターですもんね。ただ「復讐の毒鼓」シリーズは男性キャラクターがほとんどなので、作画に関しては描き分けが大変そうです。

Baekdoo おっしゃる通りです。読者の皆さんが一番簡単にキャラクターを区別する方法は髪の色らしいのですが、作中に出てくる人物たちのほとんどが学生なのでリアリティを追求するとほとんどが黒髪になります。そうするとキャラクターの区別がつかなくなるという点が今の悩みです。今後、努力を重ねていかないといけないと思っているところですね。

「復讐の毒鼓」の展開は10年先まで考えています(Meen)

──それでは「復讐の毒鼓2」について聞かせてください。1作目と比べ、意識して変えているところはありますか?

Meen 「復讐の毒鼓」は強者と弱者がわかりやすい作品だとすれば、「復讐の毒鼓2」は弱者同士の対立に焦点を合わせました。ですので「復讐の毒鼓」よりも暗くて焦れったい雰囲気にしたかったのと、勇たちの上にいるビッグブラザー的な存在について言及したいと思っていました。

Baekdoo 作画に関してだと、勇や仁の場合はもう少し崩した姿を見せたいと思っていました。ただ彼らの人生が苦難の連続だったので、オシャレもカッコつけも思いっきりとはいかず控えめに……という感じですが。一方、大学生になった愛はもう少し端正で落ち着いた雰囲気にしたいと考えていました。

──今作では早乙女零の兄・尚がメインの敵として登場しますね。零もかなりの強敵でしたが、尚はどのようなキャラクターになりそうですか?

「復讐の毒鼓2」より、早乙女尚。スピード違反で交通事故を起こし、父親に1年間自粛しているフリをするよう命じられた。

Meen 尚はサイコパスなエリートというイメージを落とし込んで作り上げました。勇が家庭の事情で自分の進路がもつれたと思っている中、その弱みにつけこんで彼を踏みにじろうとする。しかし直接手を下すよりも、背後から対立関係を助長させるようなキャラクターです。

──今後、掘り下げていく予定のキャラクターがいれば教えてください。

Meen 白戸智基に対してはもう少し出番を増やすことを考えています。ただ基本的に登場人物は全員、どんなキャラクターなのかを読者が自由に想像できるぐらいに留めておきたいですね。

──ちなみにMeen先生は、今後の展開についてどれくらい先まで考えていらっしゃるんですか?

Meen 10年先まで考えています(笑)。

──ええ、随分先ですね! ちなみに「復讐の毒鼓2」のラストは……。

Meen 「復讐の毒鼓2」の最後はすでに決まっています。もうすぐ見られるので、もうしばらくお待ちください。

「復讐の毒鼓2」より、母親の前では秀のふりをしている勇。

──「復讐の毒鼓2」が完結しても、“Meen・Baekdooユニバース”の展開を楽しみにしてるファンは多いと思います。最後に、今後おふたりで新たな作品を描くとしたらどんなものになるか教えてください。

Meen 壮絶なノワールは一度やってみたいですね。

──ノワールというと裏社会を描くものも多いですが、「復讐の毒鼓」シリーズを超える壮絶なものも見てみたいです。

Baekdoo 僕もMeen先生と描くとしたらノワールですね。余計な付け足しなしに、淡白ながらもしぶといワルがいっぱい登場する作品を描きたいです。

原作:Meen 作画:Baekdoo「復讐の毒鼓2」

いじめによって双子の兄を殺された弟・勇を描く「復讐の毒鼓」の続編。勇の母親は息子と夫を1日にして亡くしたショックから、病にかかり家から出て行ってしまった。ようやく見つかったものの、母親は末期がんを患っており余命1年足らずという状態。さらに勇のことを優秀な兄のほうだと思い込み、存在を認めてくれようとしなかった。そんな母親との約束で、勇は高校へ通うことに。しかし入学先は、因縁の相手・早乙女の兄が理事を務めており……。家庭崩壊敵の原因となった敵同士の対決が再び始まる。マンガアプリ・ピッコマで、毎週月曜日に新エピソード公開。

マンガ・小説アプリ「ピッコマ」
配信中 / Kakao Japan Corp.
マンガ・小説アプリ「ピッコマ」

iOS

App Store

Android

Google Play

話題作やオリジナル作品が毎日無料で楽しめる電子マンガサービス。アプリ版「ピッコマ」は累計1300万ダウンロードを突破! 「シティーハンター」や「クズの本懐」といったメディア化された作品から、「捨てられた皇妃」「六本木クラス」「掃除屋K2」などの独占・先行配信作品まで4000タイトル以上の充実なラインナップが楽しめる。

Meen(ミーン)
Meen
「復讐の毒鼓」シリーズの原作担当。小説家として活動し、2001年よりマンガのストーリーを手がける。2011年、韓国コンテンツ振興院主催のストーリーコンペで優秀賞を受賞。初期には「天罰」「エンジェル」「チェスヨン」「魔鬼」を発表し、「復讐の毒鼓」「頭」「Blood Rain」などの世界観を総称する“Meen・Baekdooユニバース”で広く知られるようになった。
Baekdoo(ベッドゥ)
Baekdoo
「復讐の毒鼓」シリーズの作画担当。青江文化産業大学の漫画学部を卒業後、巨大企業を素材にした「総帥」を発表。以降、Meenとともに「復讐の毒鼓」「頭」「Blood Rain」といった“Meen・Baekdooユニバース”を確立させる。濃い水墨画のような男臭い絵柄と、豪快なアクション演出が特徴。