才能がある人は何をやっても成立する

──現在はアフレコの真っ最中とのことですが、今作は生徒役を務めるキャストの豪華さでも話題を呼びましたね。特に妹の純音役を演じられる松井玲奈さんは、TVアニメの声優は初挑戦ということですが。

玲奈ちゃんとはラジオでお会いしたこともあるんですが、以前からアニメやマンガが大好きだということを公言してくださっていて。そういった文化を純粋に好きでいてくれている人が、いざ作る側に回るというのはいろいろな苦労があるんだと思うんですよ。ただ彼女に関してはやっぱりものすごい才能を秘めている人だと思うので……。どこに行っても恐らく成功するんだろうな、と思います。

──ものすごい才能と言いますと。

どんな世界に身を置いていたとしても、ちゃんと彼女の魅力が伝わるようなパフォーマンスができるっていうことですね。ステージ上で歌を歌ったり、ダンスを踊ったり、ラジオでトークしたり……そういうタレントとしての活動はもちろん、声優という初めての仕事であっても、彼女らしい魅力を放っている。初めてのことなので当然慣れない部分はあると思うんですが、それをまったく感じさせないくらいにキャラクターとして声が生きているんですよ。

──初めての声優業で、神谷さんにそこまで言わしめるとはすごいですね。

やっぱり才能がある人っていうのは、何をやっても成立させてしまう力があるんだなということを見せつけられました。

──なるほど。ほかの生徒たちも豪華なキャストが勢揃いしていて、今からどのようなクラスが出来上がるか興味深いです。

そうですね。どんなアニメ雑誌やメディアでも、必ず目に留まるような方々が出演されているので。そのヒロインたちが一堂に会したとき、どういう作品ができあがるかっていうのは僕もすごく楽しみにしています。

純音のような背中を押してくれる人が欲しい

──本当にこの作品には、さまざまなヒロインが登場しますよね。神谷さんが原作を読まれて、特に好きになったキャラクターはいますか？

(c)東毅 / 小学館・読売テレビ・
A-1 Pictures 2015

うーん……やっぱり妹の純音でしょうか。僕は性格的にまったく能動的な人間ではないので、彼女みたいに無理やりにでも背中を押してくれるタイプの人間がいてくれたら楽だろうなと。

──確かに迷っているところで背中を押してくれる妹っていうのは、どんな男性にとっても理想ですよね。

まあ妹である必要があるかはさておき（笑）。そういう存在としてそばにいてくれて、「やんなよ」って言ってくれるというのは、やっぱり兄の才能を認めた上での行動だと思うので。純音の場合かなり無理矢理なところがありますけど、「兄ぃなら絶対できる！」という思いについては、すごく信頼できますよね。

──アニメ版で松井さんが演じられる「兄ぃ」の演技は全「電波教師」ファンが楽しみにしているかと思うんですが、神谷さんからお聞きになっていかがですか。

いろんなヒロインが登場する中で、彼女は彼女なりのアプローチで純音を演じてくれていて。誰の声ともケンカしないで、正しい妹像を作り上げてくれているので、僕はすごく好ましく聞いています。

ドーナツを差し入れに持ってきた原作者

──今後これからアフレコしていくにあたって、楽しみなシーンやキャラクターはいますか？

実はアニメは原作とは違う展開をするところも多く、ちょっとしゃべりにくいんですが……。まあでも、どのキャラクターもすごく楽しみです。やっぱり僕ももういい大人なので、紙の上でキャッキャしているヒロインたちをどう捉えればいいのか、わからなくなるときがあるんですよ……もちろん全員かわいいんですけどね（笑）。でもそれがアニメで動いて、演じている人の人となりが出ると、途端に魅力的に見えたりするので。僕の中でそれがどう変わっていくか、今は楽しみです。

──なるほど。ちなみに、原作者の東毅先生と話はされたりしましたか？

しましたよ。いやー、ここでは書けないエピソードばかりですけどね（笑）。僕のラジオを聴いてくれているみたいで「神谷さんはミスタードーナツがお好きと伺ったので、差し入れに」って、ニヤニヤしながらドーナツを持って来てくれました。

──（笑）。

ただちゃんと原作者として責任を取るというか、しっかり見届けるつもりではあるとおっしゃっていて。それぞれのヒロインの演技について、方向性が固まるまではアフレコにも足を運びたいと。

──サンデーで週刊連載をしながらアフレコにも行かれるというのは、なかなかハードそうです。

ええ。あれだけキャラクターも多く、密度の高い作品を週刊ペースで作っている人なので、さすがに毎週来られるのは大変だと思うんですが。でも原作者の方に来ていただけるとやはり僕らの気合も違いますし、ありがたいですよ。まあ、来られる際にはまた差し入れを期待していますということで（笑）。