TVアニメ「D4DJ First Mix」水島精二監督インタビュー&Photon Maiden(紡木吏佐、前島亜美、岩田陽葵、佐藤日向)インタビュー|DJって何やってるの?そんなあなたも大丈夫! 音楽を楽しむことへの初期衝動、絆を描く王道の青春ストーリー

「BanG Dream!(バンドリ!)」、「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」など、音楽を題材にリアルとキャラクターが交差するプロジェクトを展開してきたブシロード。そんなブシロードが2018年12月に発表した「D4DJ」は、その名の通り“DJ”をテーマにしたメディアミックスプロジェクトだ。現在Happy Around!、Peaky P-key、Photon Maiden、Merm4id、燐舞曲、Lyrical Lilyという6組の女性ユニットが存在し、斎藤滋、上松範康(Elements Garden)、水島精二といったアニメ・アニソン界の名だたるメンバーが、それぞれの音楽プロデューサーを務めている。キャストたちがパフォーマンスを行うライブをはじめ、CDリリースやアプリゲームも展開。そして待望のTVアニメ「D4DJ First Mix」が、10月30日にスタートする。

アニメの監督を務めるのは、自身も以前よりDJ活動を行い、「D4DJ」ではPhoton Maidenのユニット音楽プロデューサーでもあるベテラン・水島精二。コミックナタリーではアニメ放送を記念して、水島監督にDJへの思いや、3DCGスタジオ・サンジゲンとの制作について、またアニメの見どころについても尋ねた。後半はそのPhoton Maidenに焦点を当て、水島監督にPhoton Maidenの楽曲解説を行ってもらったほか、高いライブパフォーマンスを実現してみせる紡木吏佐、前島亜美、岩田陽葵、佐藤日向のキャスト4人に、「D4DJ」の魅力をたっぷりと語ってもらった。

取材・文 / 柳川春香

監督・水島精二インタビュー

音楽を楽しむことへの初期衝動

──水島さんはアニメ「D4DJ First Mix」で監督を務めますが、放送以前から「D4DJ」プロジェクトに携わり、ユニットの1つ・Photon Maidenの音楽プロデュースを担当していますよね。音楽プロデュースは初挑戦だったとのことですが、オファーを受けた際はどう思われましたか?

もともと音楽が好きで、作品内の音楽にはこだわってきたつもりなので、チャンスをいただけたことが単純にうれしかったですね。

──「D4DJ」にはPhoton Maidenを含む6組のユニットと、それぞれに斎藤滋さん、上松範康さんといった担当の音楽プロデューサーがいらっしゃいます。ほかのユニットや楽曲、音楽プロデューサーから刺激を受けることはありますか?

もちろんです。皆さんユニットの特徴を活かし、強い曲を出してくるので、負けられないなと。コンテンツ側からザックリとした発注は来るので、それをどう解釈しPhoton Maidenらしくするか、新人らしく、先輩方に挑むつもりで、よく考えて、迷わずフルスイングで作っています。

10月25日リリースの、スマートフォン向けリズムアプリゲーム「D4DJ Groovy Mix(通称:グルミク)」ビジュアル。Happy Around!は斎藤滋、Peaky P-keyは上松範康(Elements Garden)、Photon Maidenは水島精二、Merm4idは都田和志、燐舞曲は中山雅弘WITH eMPIRE SOUND SYSTeMS、Lyrical Lilyは中村航が音楽プロデュースを担当。

──アニメ監督としてはベテランの水島さんが、新人のつもりで挑まれているというのはすごく素敵ですね。ご自身でDJ活動もされていらっしゃいますが、DJを始めたきっかけはなんだったのでしょうか。

ニッポン放送の吉田尚記アナウンサーがアニソンDJをしていて、僕の音楽好きを知っていて、DJをやってみないかと誘ってくれました。軽い気持ちでやってみたところ、思った以上に楽しくて、その日のうちに機材を注文してしまいました。DJの楽しさはいろいろあると思いますが、僕は自分のおすすめの曲をどう繋いでフロアを盛り上げるか、選曲のストーリー作りに魅力を感じています。

──では、そんな水島監督から見て、DJを題材にしたコンテンツである「D4DJ」の魅力はどんなところにありますか?

「D4DJ」はライブ、ゲーム、アニメが同時展開するコンテンツです。それぞれがメディアの特徴を活かしていて、1つひとつでも楽しいけど、全部味わうとそのおいしさが倍増するところでしょうか。それぞれが意識し合い、刺激し合っています。

──2018年12月に発表され、CDリリースやキャストによるライブを重ねてきた「D4DJ」ですが、10月からはいよいよTVアニメが始まりますね。制作を手がけるサンジゲンと水島監督がタッグを組まれるのは2015年の「うーさーのその日暮らし 夢幻編」以来だそうですが、3DCGの30分アニメの制作ということで、新鮮に感じる部分はありますか?

「うーさー」は1話5分未満のミニアニメですから、作業の多さ、複雑さはだいぶ違いますね。まして、DJがテーマというハードルの高さで、従来のフローに加えて、DJや音楽制作の描き方、リアリティの出し方には専門的な知識も必要なので、監修を仰ぎながらも日々トライアンドエラーの繰り返しです。

──まだまだ走り出したばかりのプロジェクトなので、TVアニメのストーリーについて期待を寄せるファンも多いかと思いますが、ストーリーにおける見どころを教えてください。

ストーリーはHappy Around!を軸に進んでいます。音楽を楽しむことへの初期衝動。DJやトラックメイキングを通して、登場人物のつながり、絆を描く王道の青春ストーリーです。アニメならではの密度でキャラクターやパフォーマンスを描いていきます。毎回パフォーマンスシーンもありますし、面白くできている手応えがあります。明るく楽しいフィルムになっていますので、是非ご覧ください!

Photon Maiden楽曲解説 by 水島精二

プロデュースのこだわり

コンテンツチームからいただいたジャンルがEDM。イメージが、アンノウン、エネミー感だったので、そこを大事にアーティストとしての方向性を固めていきました。歌詞を紐解くと掴めてくる、徐々に変化するストーリーが重要で、それを楽曲に落とし込む匙加減には気を使っています。

Photon Melodies

Photon Maiden最初の曲なので、アンノウンな感じ、正体不明な感じをハードめなEDMと英語多めの歌詞で表現しています。作編曲の佐高陵平の作る箱鳴りのいいサウンドが、Photon Maidenのカラーを決定付けた1曲です。

Here's the light

「Photon Melodies」で作ったイメージ、ストーリーを引き継いで作った曲です。BPMを早くし、颯爽としたドラマチックな曲になっています。

“What” are you?

先の2曲からイメージを変え、世界観を守りつつも、かわいらしい、異種族へのラブソングを作りました。作編曲のfu_mouの、佐高とは違うアプローチの繊細なサウンドが、Photon Maidenのイメージをさらに拡張しています。


2021年3月12日更新