コミックナタリー PowerPush - 映画「アップルシード アルファ」

日本版「アップルシード アルファ」公開記念 荒牧伸志監督×中田ヤスタカ(CAPSULE)対談 SF映画に対する思いとは

余韻に浸る時間をいいものにしたい

──昨年の「スター・トレック イントゥ・ダークネス」公開時にJ.J.エイブラムス監督と対談(参照:中田ヤスタカ(CAPSULE)×J.J.エイブラムス 映画「スター・トレック イントゥ・ダークネス」対談)した際にも話していましたが、中田さんはもともとSF映画というジャンルそのものに思い入れがありますよね?

中田 単純に、誰かが想像した未来というのを観るのが好きなんです。

──「スター・トレック イントゥ・ダークネス」では劇中曲というか、実際にそのシーンの状況音として流れている楽曲を提供されましたが、今回はエンドロールのメインテーマということで、アプローチもかなり違ったのではないかと思うのですが。

中田 エンドロールっていうのは、本編で流れる音楽とは全然違って、これまで観てきた作品の余韻に浸ったり、その余韻の中でいろんなことを思い起こしたり、考えたりする時間だと思うんですね。だから今回は、その時間をいいものにしたいという思いで音楽を作りました。

──中田さんの近年の作品の中では、際立ってサウンドもヘヴィだし、BPMも遅い楽曲ですよね。

左から中田ヤスタカ、荒牧伸志。

中田 考えごとをしている時に、速いビートは合わないですからね(笑)。あんまり速いと、そっちに意識を持っていかれると思うので。

荒牧 途中で印象が変わっていくのがいいですよね。最初はヘヴィに始まるけど、途中でキレイな景色が見えてくるような。とても変化にも富んでいて、そこも素晴らしかった。

──映画の「アップルシード」では、これまでも電子音楽、エレクトロニカ系のミュージシャンが数多く参加してますが、そこには何か意図があるのでしょうか? それとも、結果的にそうなったということなのでしょうか?

荒牧 結果的に、と言った方がいいかもしれませんね。ただ、僕自身、よく聴く音楽がそういう音楽というのもあります。

──世代的には、やはりYMOですか?

荒牧 もちろんYMOもそうですし、もっと前のクラフトワークとか。作業をしながら流しているのは、そういう音楽が多いですね。

すごい性能を持ったマシーンを触ると、めちゃ興奮する

──今回の「アップルシード アルファ」ではメインテーマの制作でしたが、中田さんはこれまでドラマや映画で作品全体の音楽を手がけたこともありますよね。やはり、CAPSULE名義で自身の作品を作るのと、映画の音楽を作るのは、作業としても感覚としても全然違うものなのですか?

中田ヤスタカ

中田 もちろん違います。普通に音楽だけ作りますっていう時は、それがアルバムでも、やっぱり1曲1曲を単体で成り立たせなきゃいけない。それ自体がひとつの完成品じゃなくてはいけないわけですけど、映画の場合、映像と組み合わせた時に初めて完成すると思っていて。それは、作っていてとても楽しいですよね。普段の生活でも、自分はサントラ盤をよく聴くんですよ。特にポップスの場合、サビがあって、繰り返しがあってっていう基本的なフォーマットがあるじゃないですか。そういう音楽よりも、もっと自由に時間をかけて展開していくおもしろさがサントラにはあるので。本来はストーリーや演出に引っぱられて作った音楽だとしても、その音楽だけを取り出した時のおもしろさというのがあって。

──じゃあ、将来的には、また機会があれば映画音楽を作ってみたい?

中田 機会があれば是非。今でこそ、世間的には歌手の楽曲のプロデュースをしているイメージが強いかもしれませんが、もともと僕はインストを作るのが好きで音楽を始めた人間なので。でも、高校生の時に気づいたんですよ。「あ、ボーカルがないとデビューできないんだ」って(笑)。

──「アップルシード アルファ」を観て、中田さんが一番興奮したポイントはどこですか?

映画「アップルシード アルファ」より。

中田 いやあ、メカ好きにはたまらない作品ですよ。すごい性能のメカが出てきた時に、登場人物たちが「おお!」ってなるじゃないですか。その姿を観て、自分も同じように興奮するんですよ(笑)。普段の生活から、すごい性能を持ったマシーンが好きなんですよ。そういうものを触ったり、情報として知ったりするだけで、めちゃ興奮する。

荒牧 そういう気持ちって大事ですよね(笑)。

日本版「アップルシード アルファ」2015年1月17日(土)全国ロードショー
「アップルシード アルファ」

世界大戦後の荒廃したニューヨークで戦火を生き抜いた元SWATの敏腕女性隊員デュナンと、その相棒・サイボーグとなったかつての恋人ブリアレオスは未だ戦いの日々を送っていた。終わりの見えない戦いの中、人類が生み出した理想都市オリュンポスでの安息を夢見る2人の前に突如現れた1人の少女。オリュンポスから来たという彼女は謎の追手に追われていた。少女と行動を共にする中で、2人は彼女の身体に秘められた秘密を知ることになる。それは世界を、地球を破壊し尽くすほどの巨大な力の鍵だった。迫り来る更なる最強の追手、今、人類の未来は2人に託された。

キャスト

デュナン:小松由佳
ブリアレオス:諏訪部順一
アイリス:悠木碧
オルソン:高橋広樹
ニュクス:名塚佳織
タロス:東地宏樹
双角:玄田哲章
マシューズ:堀勝之祐

荒牧伸志(アラマキシンジ)

メカニックデザイナーとしてアニメーション界で頭角を現しその後、監督デビューを果たす。2004年には「APPLESEED」を発表。フル3DCG、トゥーンシェーディング、モーションキャプチャーという手法を用いた、画期的作品で日本のファンは元より海外でも称賛の声を集めた。2007年にはその続編「EX MACHINA」を監督し、高評価を獲得。2012年7月公開のハリウッド映画「スターシップ・トゥルーパーズ インベイジョン」の監督を務めている。2013年には映画「キャプテンハーロック」の監督も務め、日本のみならず世界でも支持されている。

中田ヤスタカ(ナカタヤスタカ)

2001年に自身のユニットであるCAPSULEにてCDデビュー。以降、Perfume、きゃりーぱみゅぱみゅのプロデュースをはじめ、アニメ映画「ONE PIECE FILM Z」オープニングテーマ曲や「LIAR GAME」シリーズのサウンドトラック、テレビ・ラジオ番組のテーマ曲制作など多方面にてに活躍中。昨今は日本人初のカイリー・ミノーグへのリミックス提供をはじめ、映画 「スター・トレック イントゥ・ダークネス」の挿入楽曲に携わるなどグローバルな活動が目覚ましい。その自由奔放かつ刺激的な楽曲群は音楽界のみならず、服飾や美容、映像などクリエイティビティを共有するシーンからも熱い支持を得ている。また自身のレギュラーパーティの主宰・メインアクトを務め、大型フェスやファッションショーイベントなどにも出演している。