「アオアシ」INIの11人を登場人物に例えたら?愛読者・尾崎匠海&藤牧京介のにぎやか真剣会議

「アオアシ」は愛媛に暮らす中学3年生・青井葦人が、親元を離れ、東京のJユースチームでプロサッカー選手を目指していくサッカーマンガ。週刊ビッグコミックスピリッツ(小学館)にて連載中で、単行本の最新34巻が発売されたばかりだ。2022年にはTVアニメ化を果たしている。

コミックナタリーでは、「アオアシ」の大ファンというINIの尾崎匠海と藤牧京介にインタビューを実施。その愛を語り尽くしてもらい、INIメンバー11人それぞれに特性が近しい登場人物を考えてもらった。最後には作者・小林有吾から、2人へのサプライズもあるのでお見逃しなく。

取材・文 / 岸野恵加ヘアメイク / 髙徳洋史スタイリング / 石橋修一撮影 / 須田卓馬

尾崎匠海に絶対読ませたい師弟同士の胸熱シーン

──「アオアシ」は本格サッカーマンガとして読み応えのある作品ですが、個性豊かなキャラクターも大きな魅力です。そんな部分をもっと多くの方に知っていただきたく、今日はおふたりにお声がけさせていただきました。おふたりはアニメから「アオアシ」のファンになったそうですね。

尾崎匠海 もともとアニメが大好きで、クールごとにラインナップをチェックして観る作品を決めているんですが、たまたま「アオアシ」に出会って観始めました。スポーツアニメはこれまでもたくさん観てきたけど、「アオアシ」は少し違う印象を受けたんですよね。特殊能力が絡んでくるような作品も多いと思うのですが、「アオアシ」はそうではなく、とてもリアルで。戦術も含め、サッカーの大事な部分を教えてくれるし、とても見応えがありました。

藤牧京介 僕もスポーツマンガやアニメが好きで、放送されたら観るようにしているのですが、「アオアシ」はすごく面白くて一気に引き込まれたんです。アニメをリアルタイムで追っていたら我慢できなくなって、マンガも全巻買ってしまいました。

尾崎 あーわかる! 僕はずっと、原作を読むのは我慢していたんですよ。30巻超と長いのもあり、手を出したら止まらなくなってしまうと思って……。なので今回の取材を機に読ませていただいて、今18巻くらいまで進んだところです。

藤牧 まず衝撃だったのが、主人公のアシトが途中でFWからDFに転向すること。スポーツマンガって、主人公は一番目立つポジションであることが多いじゃないですか。サッカーだったらほとんどがFWやMFのイメージ。DFはチームを支えるポジションで、主人公になるイメージがあまりなかったので、そこでグンと引き込まれました。

世界一のFWを目指してきたアシトだが、6巻でまさかのDF転向宣告を受ける。福田監督はアシトに出会ったときから彼の能力を見抜き、サイドバックとして育てるつもりだった。

世界一のFWを目指してきたアシトだが、6巻でまさかのDF転向宣告を受ける。福田監督はアシトに出会ったときから彼の能力を見抜き、サイドバックとして育てるつもりだった。

──尾崎さんはサッカー経験者ですよね。そういう立場からも「アオアシ」の本格的なサッカー描写は見応えがありますか?

尾崎 はい、小・中学生の頃にサッカーをやっていました。見応えはすごくあります。「アオアシ」はずっと、「自分の頭で考えること」の大切さを教えてくれるところが好きなんです。アシトたちが考えて考えて、成長していく姿が描かれている。でも時には本能で動く瞬間もあって、そういう部分が、今自分がやっているアーティストという職業に重なるんです。僕たちも思考すること、そして自分が持っている感覚をとても大切にしているので。

──確かにアーティストのマインドに共通する部分はあるかもしれないですね。劇中には魅力的なキャラクターがたくさん登場しますが、おふたりが特に好きなキャラクターは誰ですか?

藤牧 僕は本木遊馬が好きです。彼はアシトと同学年の中でもずっと1人だけ上のクラスにいたり、異質な位置付けなんです。ほかの選手たちが福田監督から「言語化しろ」と言われる中で、遊馬は1人だけ「お前は言語化しなくていい」と言われたり。すごく野生の人。遊馬の過去やバックグラウンドはまだあまり深掘りされてないんですけど、それでもこれだけキャラクターが立っているのがすごいなって。彼が主役になるエピソードを、僕はずっと待ち侘びています!

FWとして、弱みのない、絶対的な存在でありたかった遊馬。自分も言語化ができるようにならないと、この辺りで限界なのではと人知れず悩んでいた。
FWとして、弱みのない、絶対的な存在でありたかった遊馬。自分も言語化ができるようにならないと、この辺りで限界なのではと人知れず悩んでいた。

FWとして、弱みのない、絶対的な存在でありたかった遊馬。自分も言語化ができるようにならないと、この辺りで限界なのではと人知れず悩んでいた。

──共感するというよりは、憧れのような感情でしょうか?

藤牧 そうですね。遊馬は自分には似てないし、むしろ真逆かも。友達になりたいし、こういうやつになりたいとも思います。

尾崎 僕は冨樫慶司が好きです。元ヤンキーで一見荒っぽいけど、アシトの夜練に付き合ったり、すごく優しくて。そしてプライドを持ちながらも、自分の成長のためには「教えてくれ」と頭を下げて頼める。そんな姿に惚れました。

Aチームに昇格した冨樫だが、レギュラーメンバーとの差は歴然。福田監督に「余計なプライドが邪魔してるんなら今すぐなんとかしろ」と言われ、アシトに初めて教えを乞う。
Aチームに昇格した冨樫だが、レギュラーメンバーとの差は歴然。福田監督に「余計なプライドが邪魔してるんなら今すぐなんとかしろ」と言われ、アシトに初めて教えを乞う。

Aチームに昇格した冨樫だが、レギュラーメンバーとの差は歴然。福田監督に「余計なプライドが邪魔してるんなら今すぐなんとかしろ」と言われ、アシトに初めて教えを乞う。

──冨樫はとことんまっすぐなキャラクターですよね。では劇中で、特に好きなシーンを挙げるとするとどこになるでしょうか。

尾崎 アシトがDFに転向してからの武蔵野戦で、守備の楽しさを知るシーンですね。ダイアゴナルラン(斜めに走ること。敵のディフェンスラインを崩すことに有効)などに挑戦して、アシトが守備としての新たな自分の役割にやりがいを見出していく姿がとても印象的でした。

アシトはこの試合で、FWにこだわり続けるか、DFとして覚悟を固めるかの答えを出そうとしていた。

アシトはこの試合で、FWにこだわり続けるか、DFとして覚悟を固めるかの答えを出そうとしていた。

藤牧 僕はもう山ほどあります。まずここ(単行本27巻を指して)。……ほんっとすごい!鳥肌ものだから。あ、でも匠海はまだ読めてないか……。

尾崎 いや、いいよ! 話して! どのあたりが鳥肌ポイント?

藤牧 27巻に至るまでは、アシトがDFとしてどんどん覚醒しかけるけど、まだ覚醒しきれない、みたいな感じだったのね。でもここでついに……アシトが司令塔として覚醒します!

尾崎 うおおおお! 覚醒しちゃう!?

藤牧 対戦相手の青森星蘭高校の北野蓮は、アシトに似ているんですよ。同じように俯瞰でフィールドを見る力に長けている。そんな彼と戦うことでアシトが覚醒するのが名シーンすぎるし……あとはなんと言っても、阿久津です。

尾崎 ええ、阿久津!? 今のところすごい嫌い。アシトにひたすら厳しく当たるし、文句ばっかり言ってて。

藤牧 そう思うよね? でも……27巻で、絶対に阿久津を好きになります!

尾崎 マジか!

エスペリオンユースに入団するためのセレクションで、アシトは現役ユース生の阿久津に初めて出会う。

エスペリオンユースに入団するためのセレクションで、アシトは現役ユース生の阿久津に初めて出会う。

藤牧 どんどん過去が明らかになっていって、彼が背負っているものを知るにつれて、応援したい気持ちが絶対に生まれる。阿久津とアシトって、師弟関係でしょ? 青森星蘭戦では、そこが逆転したように、アシトがDFとして阿久津に指示を出すシーンがあるんですよ。もう感動的すぎて……。そして僕は気づいてしまったんだけど、アシトのこのポーズ(27巻130ページ)、過去の福田監督も同じポーズをしてたの。花は「アシトと監督は似てる」ってよく言うけど、本当に似てる!と、1本の線でつながった感じ。本当に胸熱すぎる。とにかくそこはしっかり読んで。

尾崎 わかりました(笑)。

2024年3月27日更新