今から15年前、「青の祓魔師」の連載を始めるにあたり、オカルトやホラーの造詣を深めなければと思い立った加藤。さまざまな作品を観て勉強したところ、怪談の魅力にすっかり取り憑かれ、今は職場でも怪談を流しながら作業しているほどのハマりっぷりだという。そんな加藤の発案で企画されたこの納涼怪談会。200人の定員に対し、約1130通もの応募が集まった。
まずオープニングでは、加藤の書き下ろしストーリーを岡本と怪談師が朗読。真夏の夜、初めての単独任務を任された奥村燐は指示された現場へと向かう。その任務内容とは、夜な夜な悪魔召喚の儀式をしているらしい不審な集団を解散させること。燐が現場に到着すると、蝋燭を囲み、何かを囁き合っている集団を発見する。「悪魔召喚をするのはやめろ!」と燐がライトを向けると、そこにいた4人は「なんのことですか?」とポカーン。話を聞くと、その集団は怪談師の集まりで、怪談を1話披露するごとに灯を1つずつ消していき、最後には暗闇にする“百物語”で遊んでいただけだった。勘違いだったことから燐が帰ろうとすると、怪談師から百物語に参加しないかと誘われ……。朗読に合わせ、加藤の描き下ろしイラストが紙芝居のようにスクリーンに投影された。
朗読劇が終わると、一旦トークパートへ。進行役の岡本が「怪談はちょっと苦手という方はいますか?」と観客に尋ねると、かなり多くの手が上がる。「霊が見える方はどれくらいいますか?」という問いには誰も手を挙げなかったが、岡本自身は霊媒師の知り合いが多くいるそう。「4、5年前に99人の生霊がついていると言われたことがあるんですが、最近見てもらったら120人以上いるみたいで。どんどん増えてるんです(笑)」と明かすと、それだけ人気が出たということだと怪談師にフォローされる。また岡本からは、この日登壇する怪談師のラインナップを見て、加藤がテンション爆上げだったらしいという裏話も。この後始まる怪談に向け、岡本は「この会場自体も事前にお祓いしてくれているそうなので安心してください。ここに来られる前にお隣の神田明神でお参りされた方もいらっしゃるかもしれませんが、心配な方は帰りにぜひ追いお参りを」と呼びかけた。
ここからの怪談パートでは、怪談師たちが「青の祓魔師」にちなんだお話を披露。吉田は、何かに取り憑かれた仕事仲間を救うため、見よう見まねでエクソシズムをしたという知り合いのお話「悪魔祓い」を語る。牛抱が選んだのは、10月放送予定の「青の祓魔師 雪ノ果篇」にも関する蛇のお話「ニエ」。その話は、なぜか結婚後から急に女性にモテ始めたという男性が、牛抱に相談の電話をしてくるところから始まる。夜馬が披露したのは、「青の祓魔師」でも描かれた学園七不思議にまつわるお話「屋上のミヨコさん」。自分の作り話が発端となり、教師を諦めることになった男性の恐怖体験を話す。村上は、ある男性がバンドメンバーを探していた中で不思議な女の子に出会うお話「特殊能力」を披露。4人は怪談を話し終えるたび、蝋燭の灯をそれぞれ消していった。
怪談の合間には、感想を言い合ったり、岡本の質問に怪談師たちが答える一幕も。村上が「何かに憑かれたとき、お塩を振るだとか、酒風呂に入るといいという話もありますが、それらがまったく効かない場合もある。そんなときの解決方法はたった1つ、別の人に憑けるということです。具体的には、50円玉以下の小銭をたくさん集め、それに憑きものを移し、道に撒く。すると、それを拾った人に全部憑いてくれるそうです。だから道に落ちてるお金は絶対拾っちゃいけないですよ」と教える。岡本が「小銭を拾って交番に届けたらどうなるんですか?」と純粋な疑問をぶつけると、村上は「お巡りさんに憑いちゃうんじゃないでしょうか?」と回答。夜馬が「呪術を跳ね返すには、枕の下に刃物を入れておくという方法もありますよ」と続けると、岡本は「泊まりに行った友達の家で枕に刃物を入れ出したら、僕帰るかもしれない……」と笑いを誘った。
怪談パートを終え、岡本は「僕が初めてメインで演じたのが『ゴーストハント』というアニメのエクソシストのキャラクターでした。『青エク』もエクソシストのキャラクター。僕自身もカトリックで、ひいおばあちゃんが“いいほう”の拝み屋だったので、なんだか縁づいているな、引き寄せられているのかなと思います」とコメント。エンディングでは再び、加藤書き下ろしストーリーの朗読劇が展開される。暑さもすっかり忘れてしまうほど百物語を楽しんだ燐。怪談師から「お気をつけて」「百物語をすると、『怪異』が起こりますよ」と忠告されたその直後、燐の背後で何者かが笑っていた。
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