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予想外の再始動!? オーケン&NARASAKIが見た「5年後の世界」

「曲順で悩まないの?」「いや別に? 慣れるやろ」

──もうちょっとアルバムの話を聞かせてください。今回のアルバムは過去の特撮、絶望少女達、そして現在の特撮といろんな要素が入ってますが、通して聴いたときにちゃんと統一感が感じられるんです。曲順含め、そのあたりは意識したんですか?

大槻 それはちょっとナッキーに聞きたいな。どうでしたか?

NARASAKI 曲順ですか? まぁ、できてしまえばこんなもんかという。

──あははは(笑)。

インタビュー風景

大槻 あるミュージシャンに「曲順で悩まないの?」って訊いたら、「いや別に? 慣れるやろ」って返されて(笑)。いやぁそれ核心突いてるよね。すごいわ。

NARASAKI 俺、アルバムは完成したらあんまり通して聴かないですよ。後で練習するときに聴き返すくらい。

大槻 そうなの(笑)。あと、いろいろ曲順を考えてるときに「今はみんなシャッフルで聴きますからね」って言われてガックリした(笑)。僕はいまだにコンポのシャッフル機能がわからなくて、CDはちゃんと頭から聴いてるよ。そういう人だっているんだから!

NARASAKI うん、いると思う。カセットで聴いてる人もいると思うんですけど。おばあちゃんとか。

大槻 いやそれは……カセットで出てないし(笑)。

──ちょうどアルバムのど真ん中になる7曲目にインスト曲「追想」があって、そこを軸にアルバムの世界が広がっていく感じがしました。

大槻 「追想」を「霧が晴れた日」の前奏かエンディングにしたら、プログレ世代としてはすごく楽しいんだけど、ちょっと長かった(笑)。じゃあ「ヌイグルマー」の前に、例えば映画「ヌイグルマー2」があったとしたら、「追想」の部分で「ヌイグルマー1」のダイジェストを流してもらって、ストーリーを振り返れるな、そんなふうにしてもらえたらなと思ったんです。あと、女の子のコーラスがたくさん入ってる曲があるから、それをどこに配分するかということは考えましたね。

他人の歌詞っていうのはビックリすることばかり

──新曲「Dead or Alive」ではARIMATSU(Dr)さんが作詞にチャレンジしてますが。

NARASAKI 大槻さんが、「ありまっちゃん、歌詞書いてみない?」の問いに「あっ別にイイっすよ」ということで。

──大槻さんから見たARIMATSUさんの歌詞はどうですか?

大槻 ホントに僕には書けない歌詞ですよね。やっぱり歌詞には書いた人の色が出るので、他人の歌詞っていうのはビックリすることばかりで。カバー曲を歌うときは大概その曲が好きでやることが多いので、全然知らない新しい歌詞を歌うっていうのは新鮮ですよ。

──5年前だったら、ARIMATSUさんが歌詞を書こうかな、なんて感じになってなかったかもしれないですし。

大槻 彼はこの5年間、VAMPSやいろんなバンドに参加して世界何十カ国を飛び回って、いろいろ経験して思うところがあったんじゃないですかね。

5年後の目標は青山のブルーノートで歌う人になりたい

──そしてアルバムのタイトル曲「5年後の世界」ですが、非常に意味深い歌詞ですね。

大槻 「5年先はどうなってるんだろう」っていうことで。5年後、僕は50歳ですけどね(笑)。

インタビュー風景

NARASAKI もう特撮は無理じゃないですかね(笑)。

──あははは(笑)。

大槻 体力がね。あ、でも5年後の目標があるですよ。青山のブルーノートで歌う人になりたい。

NARASAKI じゃあ特撮でジャズ?

一同 (爆笑)

大槻 「ブルーノート特撮」っていうのを作ってですね。

NARASAKI わかりました、じゃあちょっとがんばります。

大槻 青山のブルーノートを拠点に活動していく。

──演奏もブルーノート仕様でやるんですか?

大槻 普通にスタンダードを英語で歌いたい。

──あはははは(笑)。

大槻 大人のデートのBGMになるようなものを、これからは作っていきたいなと。

NARASAKI 俺も5年後は、やっぱり座って演奏したいです(笑)。

大槻 でも先輩バンドの方々とか、まだ現役でやってらっしゃいますよね。すごく痩せたボーカルの方なんかは、ボエーって歌って微動だにしないから、おじいさんが固まっちゃったみたいな(笑)大丈夫かなっていう。どなたとは特定しないですけども、本当に心配になっちゃうバンドもいっぱいありますよね。庭の枯れた梅の木みたいな感じで、渋いですよ。「俺たちの時代を」みたいなこと言うんだけど、明治かなーみたいな(笑)。

──梅の木になることは、極力避けようと?

大槻 でもまぁ、梅の木ロックっていうのもいいですよね(笑)。ミック・ジャガーなんて動く梅の木みたいな感じじゃないですか。梅の木に糸を通して、こう動かす感じで。キース・リチャーズがギターを弾く姿も、手だけ糸で動かしてね(笑)。僕たちもああなってくのかなぁ。

NARASAKI いや、ストーンズはまだやれるだろうけど、特撮はキツいですね。

大槻 未来にはさ、超人になってるかもしれないじゃないですか。空飛んだりしながら歌ったり。

NARASAKI 別に空飛べなくてもいいですけどね。

ライブが終わったら特撮としての予定は何もない

──7月のライブはこのアルバム中心でいくんですか?

NARASAKI そうですね。

大槻 でもないよ?

NARASAKI えっ、そうでしょ?

大槻 懐かしい曲をたくさんやりたい。

NARASAKI このアルバムにも懐かしい曲は入ってますから。

大槻 でも、このアルバムから意外にやらないかもね。

NARASAKI まぁ結構この中からやるんじゃないですか。

──今後の活動も、このライブが終わってみないとわからないと。

大槻 そうですね。

NARASAKI いずれにせよ、ライブが終わったら特撮としての予定は何もないし。どんな締め方なんだって話ですよね(笑)。

──じゃあレコード会社から「次も」って言われたら、続けていくと?

大槻 スタチャフェスとか、ああいうイベントに呼ばれたときにどうしようっていうことですかね(笑)。でも、面白い話があれば。

──その都度その都度で。

大槻 うん。アニメとか一切関係ないところからでも、これは面白いっていうお話があったら。それこそいわゆるロックフェスであったり、そういう話が来たら僕は出るのやぶさかではないですからね。

NARASAKI もちろん自分も全然やぶさかではないですよ。

インタビュー風景

ニューアルバム「5年後の世界」 / 2011年6月29日発売 / 3000円(税込) / スターチャイルド / KICS-1675

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CD収録曲
  1. 5年後の世界
  2. オム・ライズ(011)
  3. 林檎もぎれビーム!
  4. 霧が晴れた日
  5. 人として軸がぶれている
  6. 空想ルンバ
  7. 追想
  8. ヌイグルマー(オーケンVo.ver)
  9. ロコ!思うままに
  10. かってに改造してもいいぜ(オーケンVo.ver)
  11. Dead or Alive
  12. メビウス荒野~絶望伝説エピソード!
  13. ルーズ・ザ・ウェイ(011)
特撮(とくさつ)

2000年、筋肉少女帯を脱退した大槻ケンヂ(Vo)がNARASAKI(G/COALTAR OF THE DEEPERS)、三柴理(Piano, Key)、ARIMATSU(Dr)、内田雄一郎(B/筋肉少女帯)と結成したロックバンド。当初は「パンクチーム」としてスタートし、同年1月にシングル「アベルカイン」でデビューを果たす。翌2月に1stアルバム「爆誕」をリリース。これに伴う全国ツアーも大成功を収めるが、ツアー終了後に内田が脱退。以後、サポートベーシストを迎えて活動を継続する。2006年まで作品とライブを重ねるが、大槻の筋肉少女帯再加入を機に活動休止。以後、それぞれソロやバンドなどで活躍する。大槻とNARASAKIは活動休止中も「大槻ケンヂと絶望少女達」名義で作品を発表。レコーディングには特撮メンバーも参加していた。2011年4月、ライブツアー開催を突然発表。そして、大槻ケンヂと絶望少女達のシングル「メビウス荒野~絶望伝説エピソード1」と、「水木一郎と特撮」名義のシングル「かってに改造してもいいぜ」を同時発売し話題を集めた。同年6月には約5年ぶりとなるニューアルバム「5年後の世界」をリリース。