音楽ナタリー Power Push - THE 夏の魔物

生身のロックバンド宣言!ニューシングルで見せる“核”とは

みずほ加入後の反響

──みずほさんは以前所属していたBELLRING少女ハートを卒業して、その直後にTHE 夏の魔物に加入したわけですが、実際入ってみてどうですか?

麻宮みずほ いつも新鮮です。毎回の活動が新鮮。

──どういうところに新鮮さを感じます?

みずほ まったく違うから。ベルハーのときと今の夏の魔物と。全然違うから楽しい。みんなでごはんに行くのとかも楽しいし、自分が楽しくライブできているのが楽しいです。

──でも加入前は不安も大きかったのでは?

麻宮みずほ

みずほ はい。やっぱりベルハーのヲタさんがどう思うのかなって。もうアイドルはやらないって言って卒業したから。

──かなりの反響があったと思いますが、好意的な声とそうじゃない声では……。

みずほ そうじゃないほうが多かったです。

──もうアイドル活動はしないと言っていたのに、ということ?

みずほ それもあるし、あと「なんでTHE 夏の魔物なの?」って言われました。

──そういう意見を聞いてどう思いましたか?

みずほ うーん、ライブを観に来てほしいなって思いました。たぶんTHE 夏の魔物のライブをちゃんと観てない人が言ってるから。

──それは今のライブに自信があるということ?

みずほ はい。

成田 そこ即答してもらえてよかった(笑)。

みずほ うん、そんな悪いバンドじゃないです。

一同 (笑)。

──ベルハーの卒業が決まってからTHE 夏の魔物に誘ったのに「成田大致が引き抜いた」と思ってる人もいるみたいですし。

茉里 しかも私もいるから「辞めたやつみんな誘ってんのかよ」みたいな(笑)。でも今みずほが言ってた話、まったく同じことを私も最初のインタビューで言ってるんです。

成田 いつも誤解されるんですけど、誰でもいいわけではないので。

茉里 しかも叩いてる人たちはみんなライブ観に来ないんですよ。で、みんなとりあえず成田さんを叩くっていう。

──それもさっきのみずほさんの話と同じですね。

茉里 あ、でも1つうれしいことがあって。私が魔物に入ってからライブに来なくなったファンの人がこないだライブに来てくれて「なんかみずほも入るし、もしかして悪くないんじゃないかと思って観に来てみたらよかった」って言ってくれて、それはすごくうれしかったですね。

──みずほさん自身が楽しくやれているなら、それが何よりですよね。

みずほ そうなんです。笑って楽しくライブしてます。

ロック色がどんどん強くなる

──これは成田さんに聞きたいんですが、みずほさんの加入と塚本さんの卒業によって、これからTHE 夏の魔物はどう変わっていくんでしょうか?

成田 今後、歌に関しては俺とチャン(泉茉里)のツインボーカルを軸にやっていきます。今、自分たちのことを「ロックンロールバンド、THE 夏の魔物です」って言ってるんですけど、ロック色はやっぱりより強くなっていくと思ってて。こうやって活動を続ける中で、チャンと出会って、るびいと出会って、舞ちゃんとの別れがあり、みずほちゃんが入って。アントンさんも大内さんもそうなんですけど、概念的な部分でロックを感じるメンバーが揃ったなって思ってるんですよね。

──塚本さんはこれまで魔物の一番キラキラした部分を担ってきて、その結果クロスオーバーユニットとしての絶妙なバランスが生まれていたと思うんですが、確かに塚本さんはいわゆるロックの人ではないわけで。だから塚本さんが抜けることで、おのずとロック色が強まっていくと。

成田 そうですね。ロックってことでいうと、みずほちゃんの加入はやっぱり大きくて、彼女は概念としてのロックを強く感じさせてくれる人なんで。この感じわかります? チャンはアイドルだし、アントンさんもプロレスラーだけど、みんな概念の部分でめちゃめちゃロックなんです。

──成田さん自身もフロントマンとして、そこに大きく貢献していると思います。

成田 ああ、だったらうれしいです。昔はいつも「自分はなんか違うな」って思いながら活動してたんです。やっぱりフェスとか主催してて、本物の人と触れあえば触れあうほど自分は本物のロックからは遠いなって感じてしまって。でも今このメンバーと一緒に音を出してライブをやってると、あの頃遠く感じてたロックが近くにある気がするんです。すごく不思議なんですけど。

──その結果、ライブの動員もどんどん増えていますね。

成田 魔物チルドレン(THE 夏の魔物ファンの総称)のみんなが、ちゃんと俺らの曲が好きで、ライブに来てくれてるんですよね。当たり前のことなんですけど今までの人生ではそんなことなかったから(笑)。ペンライトが振れるロックンロールバンドっていないと思うんで、そういうのも面白いなって思うし。

メンバーのために何かをしたい

──今はみずほさんの歌の担当パートはあまり多くないですが、もっと歌いたいという気持ちはありませんか?

みずほ 歌えたら歌いたいけど、音程とかとれないしヘタだから。

成田 でも今は準備期間みたいなものなんで。3月18日のツアーファイナルからはみずほちゃんもるびいもより戦闘モードに突入していくので、この先作っていく曲とかも含めて、その過程を見てほしいんですよね。

──今はボイトレにも通ってるそうですが、手応えは?

みずほ 初めてやったときよりは声出るようになってます。でも音楽的にもっとがんばらなきゃなって思ってます。

泉茉里

茉里 あ、でも「僕と君のロックンロール」のみずほの語り、めちゃくちゃよくないですか? 感動しちゃって。毎回あそこ聴くたびハッてなる。

みずほ ホントですか。イエイ!(笑)

茉里 自分には持ってないすごさを感じて。あと、るびいのシャウトもどんどんよくなってるし、だからメンバーみんな、こんなストレートな曲の中でも自分の色をちゃんと出してるんだなって。

成田 アントンさんと大内さんなんて、歌ってるとこはほんのわずかなのにめちゃめちゃ存在感ありますからね。

──今後、このメンバーの魅力を引き出していくのが成田さんの役割になりそうですね。

成田 そう思います。でも別に歌がうまくなってほしいとかっていうのはないんですよ。みずほちゃんはみずほちゃんらしさ、チャンはチャンらしさ。それをもっともっと出せるようになってほしくて、そのために俺ができることをやりたい。あんまり人のためにがんばりたいと思ったことがない人生だったんですけど、最近はメンバーのために何かしたいって、いつもそればっかり思ってます。

ライブ情報
THE 夏の魔物登場!!!TOUR特別編 ALL MY LOVE FOR YOU ~塚本舞卒業記念スペシャル~
2017年3月17日(金)東京都 新宿MARZ
<出演者> THE 夏の魔物 / and more
THE 夏の魔物登場!!!TOUR FINAL 6人体制初ワンマンGIG
2017年3月18日(土)東京都 新宿MARZ
<出演者> THE 夏の魔物
バンドメンバー:町田昌弘(G / 100s) / 大塚謙一郎(B / 曽我部恵一BAND) / 佐藤栄太郎(Dr / indigo la End) / ハジメタル(Key)
THE 夏の魔物(ザナツノマモノ)
THE 夏の魔物

2006年から青森県で毎年開催されているロックフェス「AOMORI ROCK FESTIVAL -夏の魔物-」の主催者である成田大致を中心に結成された7人組。メンバーは成田大致、泉茉里、塚本舞、麻宮みずほ、大内雷電、鏡るびい、アントーニオ本多からなる。前身となるグループ「夏の魔物」として、2015年8月にシングル「恋愛至上主義サマーエブリデイ / どきめきライブ・ラリ」でポニーキャニオンよりメジャーデビューを果たし、2016年9月には多数の作家陣が参加した1stアルバム「夏の魔物」をリリース。2017年1月をもって夏の魔物としての活動を終了し、1月6日より「THE 夏の魔物」としての活動をスタートさせた。同年3月には浅野尚志が作曲、只野菜摘が作詞を担当したニューシングル「僕と君のロックンロール」を発表する。