アイドルじゃなくて姪っ子

──「VICTORY YEAR」で行うライブのタイトル「5年目、5公演、5万人」は、出囃子の「人間50年 アイドル5年、尾張名古屋にしゃちほこあり」というフレーズから来てるそうですが、「アイドル5年」とはつまりどういうことだと思ってますか？

秋本帆華　5年目で辞めるものってことですよね？

伊藤千由李　うん。終わると思ってたよね。

咲良菜緒　もうすぐ5年目に入るからいよいよ「もうしゃちほこの活動も終わるなあ」って思ってました。

伊藤　でも実際はうちらが勘違いしてただけだけど（笑）。

──あはは（笑）。要はアイドルの旬は5年もすれば過ぎるという意味だと思うんですが、実際はどんどん人気が増して4年も続けてきたわけですよね。

咲良　うちらってアイドルなのかな？

──え？

咲良　私、自分のことをアイドルだと思ってなくて。

秋本　うんうん。帆華はアイドルってあやや（松浦亜弥）みたいなかわいい感じだと思ってたのに、うちらは全然普通の人だった。

──普通の人？

秋本　うーん、アイドルとして、かわいこぶる必要がなかったというか。素のまんまでいられた。

大黒柚姫　ね。アイドルやってるって感じじゃなくて、やるべきことをやってるって感じ。学校に通うのと同じ感覚。

坂本遥奈　うんうん。だからみんな超自然体ですね。

咲良　私は最初の頃のほうがアイドルになろうとがんばってたよ。今は素だけど。で、ちゆはどうなの？

伊藤　思い返すとどうだろう。ちゃんとアイドルだったのかなあ？

──世間一般で言うアイドルという存在になれていたかどうかということ？

伊藤　うん。いつの間にかアイドルになってたって感じがするんです。今まで自分がアイドルを観に行く側だったから、しゃちをやり始めてからも全然実感が湧かなくて。ほかのアイドルさんと競演して同じステージに立つことが増えて徐々に「自分はアイドルなんだ」って思うようになりました。

──今はアイドルだという自覚はある？

伊藤　んー……ちょっとだけ。

咲良　あるんだ。私はないよ。

大黒　うちもない。

秋本　帆華もない。

坂本　ないよね（笑）。

伊藤　え、1人だけなの？

咲良　そんな不安がらなくていいんだよ。うちら一応アイドルって括りだもん。

伊藤　じゃあちょっと変わったアイドル（笑）。ちゆの持ってるアイドル像はキャピキャピしててかわいくて、みんなに笑顔を届けるものだったから。なんかこれでもアイドルって名乗っていいんだって思ってた。

──お客さんはチームしゃちほこをアイドルだと思って観に来てると思いますよ。

坂本　たぶんみんな私たちのことを姪っ子みたいなものだと思ってるんですよ。自分のお姉さんの子供くらいのかわいがり方をしてくれる。

──ということはライブに来るっていうのは、親戚の子供の運動会や学芸会を観に来てる感覚ということですかね？

咲良　そうそう！ 「応援するぞ！」って感じがあふれてる（笑）。