ナタリー PowerPush - Sweet Vacation
「Re;未来派宣言」が世界を変える? May&Daichi初のパーソナルインタビュー
ネットは正直でもあり残酷でもある
──で、Sweet Vacationはそういうネットメディアの活用にすごく積極的に取り組んでるグループだと思うんですが、やろうと思えば誰でもできることですよね。そういうアクションって。
そうですね。
──Sweet Vacationはそこにおいて頭ひとつ分リードしてるというふうに見えるんですけど、自分たちがアドバンテージとして持ってるものって何があると思います?
そこに関しては、クオリティで戦ってるつもりはけっこうあって。
──なるほど。
正直エレクトロ系でSweet Vacationみたいな、こんな感じの音楽たくさんあるでしょう。で、その人たち横並びでみんなMySpace持ってるんです。なんならUstreamもやるし、Twitterもやってる。でもそこから頭ひとつ抜けるのは最終的にはクオリティなんです。やっぱりクオリティによる淘汰って相当でかいですよ。
──それは、ネットがない頃からずっと活動しているDaichiさんの底力みたいなものが、今のSweet Vacationを支えてる部分もあるんですかね。
うん、やっぱり自分は作曲とか音楽作りに関してはすごく自信持ってやってますから。で、間違っちゃいけないのは、メジャー感があることとクオリティが高いということは違うことなんですよね。
──メジャー感=クオリティではない?
例えば僕の音楽とアマチュアの人が作った音楽を比べたときに、音質とかはこっちのほうがずっと良かったりするんだけど、それとは別に、リスナーが求めてるクオリティってのがあって、それを踏み外さないようにしたいなっていうのは意識してます。例えば「この曲いいね」って感じるのも「この曲すごいクセになるよね」って思うのも、クオリティに反応してるっていうことだし、「これすげえバカだから聴きなよ」ってのもクオリティに反応してるんだと思う。でも逆にすごくきれいに丁寧に作られたものには反応がなかったりする。そこを間違わないようにがんばりたいと思うんですよね。
──今はリスナーの反応が直に見える分、考えることは多いですよね。
そういう意味でネットは正直でもあり残酷でもあり。YouTubeの再生回数みたいな数値に、僕らはシビアに向き合うことになるんですね。例えば、今までアーティストの価値とか人気とかってなんとなくあいまいなものだったんだけど、今はmixiコミュの人数を見るとだいたいわかるっていう(笑)。あいつらすごそうだけど実はそうでもないとか。
──でもそういう反応、90年代とかには良くも悪くも知らずにいられたものが、今はアーティスト本人に見えてしまう。それはしんどいことじゃないですか?
しんどい人はしんどいのかもしれない。でももうそういう時代だし、アーティストがメディア化する以上その覚悟は必要だし。僕はやっぱりTwitterとかやっててファンと直接話すことを前提にやってるし、もうまったく普通になっちゃってますよね。だからある意味僕には非常に有利な時代だな、やりやすいなってすごく思ってるんですけど。
──アーティストの中には例えば「2ちゃんねるは絶対見ない」とか「ネットで言われてることは耳に入れないで自分の創作に没頭するんだ」っていう人もいますよね。
全然いるし、それは正しいことだと思いますよ。
──でもそういう人にとってはやりづらい環境になってきているのかもしれない。
ただメディア化するにはいろんな方法があると思うんで、その人たちはそういうやり方を模索するべきだと思うんですよ。あと、Sweet Vacationが面白いのは、僕はファンの人たちとはTwitterとかいろんな部分で対峙してるけど、Mayはしてない。それはむしろいいなと思ってて、だからなんかそういう神秘的な部分も多少残すことは大事なんじゃないですかね。そういう意味では非常にいいパートナーだなと思ってます。
音楽の喜びをまずメロディに置いている
──ちょっと音楽自体の話もしたいんですけど、さっきDaichiさんもおっしゃったように、Sweet Vacationみたいな音楽って決して珍しいものではないですよね。でもSweet Vacationは、そういうものの中でも特に自由度が高い気がするんです。東京的な感じも薄いし、かといって地方都市から生まれた感じでもない。
ああ、なるほど。東京的な緻密さは確かに薄いかもしれないですね。緻密さっていうとちょっと変なんだけど、僕は音楽の喜びをまずメロディに置いてるんです。そこはあんまり東京っぽくないなと思っていて。
──音楽の喜びをメロディに置いてる、というのは?
リスナーの人が引っかかって、その音楽を好きになるポイントですよね。音楽の喜びって本当はどこにあってもいいんだけど、でもそこに自覚的であることはクリエイターにとって大事だなと思ってて。「この曲の喜びはここだぜ」みたいなことははっきり口にできるぐらいじゃないと、俺はダメだと思う。
──それは楽曲のフックということ?
この場合はフックであるケースが多いけど、フックじゃなくてもいいんですよ。例えば「イントロのこのへんが喜びである」みたいなことはまず核として作っておく。そしたら基本的にすべてがうまくいくと僕は思ってるんです。
──それがリスナーにとって「キャッチーだな」と感じる部分なんですかね。
うん、僕はその喜びが見えるまでひたすらデモを作りまくってますからね。そこは偶然じゃない気がします。
CD収録曲
- Futurhythm
- グッディグッディ
- ラブカメラ ~セカイが恋するメッセージ~
- TOKYO DAYS
- re-boot
- さよならBye Bye
- Tic tac
- アンバランス
- heaven’s discotheque
- ラブカメラ retweet
[Extra Track]
- I Feel So Good More (★STARGUiTAR RMX)
初回盤DVD収録内容
- グッディグッディ
- Mayのファッションチェック (グッディグッディ メイキング映像)
- 撮影風景 (グッディグッディ メイキング映像)
- Mayへの30の質問
- I Feel So Good More (LIVE 「E-TRiPPER 5」 Live at Shibya DUO -Music Exchange-2010.4.22)
- グッディグッディ (LIVE 「E-TRiPPER 5」 Live at Shibya DUO -Music Exchange-2010.4.22)
- MC (LIVE 「E-TRiPPER 5」 Live at Shibya DUO -Music Exchange-2010.4.22)
- TOKYO DAYS (LIVE 「E-TRiPPER 5」 Live at Shibya DUO -Music Exchange-2010.4.22)
- 遊びに行こうよ (LIVE 「E-TRiPPER 5」 Live at Shibya DUO -Music Exchange-2010.4.22)
- MC (LIVE 「E-TRiPPER 5」 Live at Shibya DUO -Music Exchange-2010.4.22)
- ラブカメラ ~セカイが恋するメッセージ~ (LIVE 「E-TRiPPER 5」 Live at Shibya DUO -Music Exchange-2010.4.22)
- あいにいこう ~I・NEED・TO・GO~ (LIVE 「E-TRiPPER 5」 Live at Shibya DUO -Music Exchange-2010.4.22)
Sweet Vacation 新曲フリーダウンロード実施中!
アルバム「Re;未来派宣言」を代表するマニフェストソング「Futurhythm(manifesto version)」を期間限定無料配信。オフィシャルサイトで楽曲とブックレットがダウンロードできます。
Sweet Vacation(すうぃーとばけーしょん)
東京エスムジカのDaichi(サウンドプロデュース)とMay(Vo)によるハウスポップユニット。2007年夏にMySpaceで楽曲を公開して以降、まず海外のJ-POPファンを中心に口コミでアクセスが急増。日本国内でもネットユーザーを中心に注目を集め、インディーズでミニアルバム2枚(「Do the Vacation!!」「More the Vacation!!」)をリリースする。
2008年初夏にシングル「さよならマイデイズ」でメジャーデビューし、2009年8月に初のフルアルバム「pop saves the world!!」を発表。その後もクリエイティブコモンズを利用しての楽曲無料配信、オリジナルiPhoneアプリ「TOKYO DATE」の発売、Twitterフォロワー限定ライブの実施、Ustreamイベント「シークレット・バケイション」の開催など、他に例を見ない斬新な活動を次々と行い、ネットオリエンテッドな新世代ユニットとして各方面の注目を集める。2010年7月に2ndフルアルバム「Re;未来派宣言」をリリース。