ナタリー PowerPush - Sweet Vacation
「Re;未来派宣言」が世界を変える? May&Daichi初のパーソナルインタビュー
音楽は音楽だけで楽しむものではないと思ってる
──ナタリーはSweet Vacationの活動を初期から追いかけさせてもらってるんですが、活動のスタイルはこの1、2年でずいぶん変わってきたなあという気がしていて。
そうですね。
──以前のSweet Vacationはインターネットを主にプロモーションツールとして使っていましたよね。でも今のSweet Vacationにとって、インターネットは完全にコミュニケーションツールになってると思うんです。単にMySpaceやTwitterを使ってネットを中心にプロモーションをしてるというだけではなく、ネットのコミュニケーションがもたらすさまざまな要素が作品自体に反映されるようになったんじゃないかと。
あ、そう思ってもらえるとすごくうれしいですね。そのとおりだと思います。やっぱりクリエイターの欲求として、自分の活動を作品にフィードバックしたいっていう気持ちはありますから。
──フィードバックできてるという手応えもあります?
うん、できてると思いますよ。今回のアルバムだと、例えば「アンバランス」という曲は、あらかじめ楽曲のパーツを公開してユーザーにそれを組みあわせてもらったりして。あと「TOKYO DAYS」っていうのはもともとiPhoneアプリ用に作った楽曲を改良する形で完成した曲ですし。
──でもそういう仕掛けってどうなんですか? 単純にいいメロディを作りたいとか、いいアレンジをしたいっていう音楽家としての欲求とはちょっと別の軸になるような気がするんですけど。
いや、そこは別ではなくて。僕は、音楽ってもともと音楽だけで楽しむものではないと思ってるんです。例えばロックミュージックにハマるっていうのは、アーティストのライブにおける存在感とかも含めて好きになってハマるわけですよ。あと今のリスナーって基本的には映像と一緒に音楽を楽しみますよね。だから音楽っていうのは本来そういうものなんだって僕はすごく思っていて。僕は映画音楽やゲーム音楽もすごく好きなんですけど、あれはその世界観と引き合うことによって音楽がもっと輝くっていうことだと思うんです。で、その引き合う相手が今はネットメディアにシフトしてる。そういうふうに考えてるんです。
──Sweet Vacationは、TwitterやUstream、セカイカメラなどの新しいテクノロジーをいち早く効果的に活用してきたグループだと思うんですが、その中で特にうまくいった事例はありますか?
最近ではUstreamの番組、「USTバケイション」というのを週に1回やってるんですけど、あれを実際やってみて、こんな小さなやり方でもメディアが作れるようになったんだなあってことは強く思いますね。やっぱりTwitterとUstreamはすごく象徴的で、誰でもメディアを作れる時代になったというのはすごいことだと思う。
──それらのテクノロジーは楽曲にどういう形で反映されてるんでしょうか?
うーん、それはケースバイケースですけどね。でも直接的なものじゃなくても、そういうテクノロジーがもたらすイマジネーションが僕の中で「すげえ、これ未来だ、面白れえ!」みたいなワクワク感を生み出して、そのテンションで曲を作るってことはもちろんあります。それはテクノロジーが作品にフィードバックされてるってことですよね。
アーティスト自身がメディア化する時代
──今のこの状況っていうのは、Sweet Vacationを始めた頃から想定してたものなんですか?
いや、だいぶ違うと思います。正直MySpaceとか、その前のWEBは、20年前から見えてたWEBのスタイルとあんまり変わんないっていうか予想の範囲内で。TwitterとかUstreamが登場して、人がメディアになったりコンテンツになったりして、それが有機的に絡まっていく姿が見えた時点でずいぶん変わってきた。それはホントここ1年で実感するようになった感じですね。
──それによってSweet Vacationというプロジェクトのあり方も変わっていきますか?
うん、つまりアーティスト自身がメディアになれるっていうことがすごく重要で。例えばアーティストがちゃんとメディア化に成功すれば別にテレビの歌番組に出なくてもいいんです。誰かに用意された10分間でなんかいいこと喋らなきゃとか、そういうことをしなくていいっていうのはやっぱりでかいですね。
──Sweet Vacationを始めたときはそういう状況は見えてなかったということですよね。
スタートした当初から新しい試みはたくさんやってたつもりだけど、ゴールはわりとオーソドックスだったんですよ。人気が出てライブにお客さんがたくさん入ってCDが売れて、みたいなオーソドックスなゴールを設定してた。だけどやっぱりなんか違うなあと思うようになって。で、今はまさにそこを模索しているところで、たぶん新しいゴールは僕ら自身がメディア化することだろうなと思ってますね。
──例えば従来のゴールが東京ドームでライブをやることだったとしたら、今はそれ以上の広がりが見えてきた?
うん、なんとなく。もちろんまだいろんなことが模索中だからなんとも言えないけど、でも自分の中でちょっと見えてきたかな。で、それに成功したらそのとき非常に楽しいだろうな、なんでもやりたい放題だなっていう気持ちはすごくある。
──そこに自覚的なのがSweet Vacationの強さだなっていうのはすごく感じます。
俺はね、なんかもう、日本でそのゴールに一番近いのはホリエモンじゃないかって思ってて(笑)。あの人、メディア化に成功していて、そこでまた小説書いたりして。それでいてやりたいことは宇宙開発って言ってるでしょ。すごく面白いですよ。
──Daichiさんが意識してるのは他のミュージシャンではなくてホリエモンなんですかね(笑)。
かもしれない(笑)。自分がミュージシャンだからって、「ミュージシャン」と「その他」を区別して考える必要はないと思うんですよね。
CD収録曲
- Futurhythm
- グッディグッディ
- ラブカメラ ~セカイが恋するメッセージ~
- TOKYO DAYS
- re-boot
- さよならBye Bye
- Tic tac
- アンバランス
- heaven’s discotheque
- ラブカメラ retweet
[Extra Track]
- I Feel So Good More (★STARGUiTAR RMX)
初回盤DVD収録内容
- グッディグッディ
- Mayのファッションチェック (グッディグッディ メイキング映像)
- 撮影風景 (グッディグッディ メイキング映像)
- Mayへの30の質問
- I Feel So Good More (LIVE 「E-TRiPPER 5」 Live at Shibya DUO -Music Exchange-2010.4.22)
- グッディグッディ (LIVE 「E-TRiPPER 5」 Live at Shibya DUO -Music Exchange-2010.4.22)
- MC (LIVE 「E-TRiPPER 5」 Live at Shibya DUO -Music Exchange-2010.4.22)
- TOKYO DAYS (LIVE 「E-TRiPPER 5」 Live at Shibya DUO -Music Exchange-2010.4.22)
- 遊びに行こうよ (LIVE 「E-TRiPPER 5」 Live at Shibya DUO -Music Exchange-2010.4.22)
- MC (LIVE 「E-TRiPPER 5」 Live at Shibya DUO -Music Exchange-2010.4.22)
- ラブカメラ ~セカイが恋するメッセージ~ (LIVE 「E-TRiPPER 5」 Live at Shibya DUO -Music Exchange-2010.4.22)
- あいにいこう ~I・NEED・TO・GO~ (LIVE 「E-TRiPPER 5」 Live at Shibya DUO -Music Exchange-2010.4.22)
Sweet Vacation 新曲フリーダウンロード実施中!
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Sweet Vacation(すうぃーとばけーしょん)
東京エスムジカのDaichi(サウンドプロデュース)とMay(Vo)によるハウスポップユニット。2007年夏にMySpaceで楽曲を公開して以降、まず海外のJ-POPファンを中心に口コミでアクセスが急増。日本国内でもネットユーザーを中心に注目を集め、インディーズでミニアルバム2枚(「Do the Vacation!!」「More the Vacation!!」)をリリースする。
2008年初夏にシングル「さよならマイデイズ」でメジャーデビューし、2009年8月に初のフルアルバム「pop saves the world!!」を発表。その後もクリエイティブコモンズを利用しての楽曲無料配信、オリジナルiPhoneアプリ「TOKYO DATE」の発売、Twitterフォロワー限定ライブの実施、Ustreamイベント「シークレット・バケイション」の開催など、他に例を見ない斬新な活動を次々と行い、ネットオリエンテッドな新世代ユニットとして各方面の注目を集める。2010年7月に2ndフルアルバム「Re;未来派宣言」をリリース。