ナタリー PowerPush - シド
待望のニューアルバムついに登場 メンバーが語る音楽への“こだわり”
シドのニューアルバム「dead stock」が2月23日にリリースされる。メジャー1stアルバム「hikari」から1年7カ月ぶりとなる本作には、「one way」「sleep」「レイン」「cosmetic」「乱舞のメロディ」といったヒットシングルを含む全12曲を収録。キャッチーなメロディと物語性の強い歌詞が凝縮された、聴き応えのある力作に仕上がっている。
今回ナタリーではシドのメンバー4人にインタビューを実施。ニューアルバム制作の話題のほか、日本の音楽シーンにおける自分たちの立ち位置やイメージについてなど、興味深い話を訊いた。
取材・文/西廣智一
将来価値の上がるアルバムになってほしい
──いつ頃からこのアルバムの制作に取りかかったんですか?
マオ(Vo) 去年の夏頃かな。それまでもシングルのレコーディングと並行して進めてはいたんですけど、本格的に始めたのはさいたまスーパーアリーナ公演(2010年7月31日)が終わったぐらい。
──その時点で、こんなアルバムにしようっていうイメージはありましたか?
マオ シングル曲が5曲あったので、新曲はいかにシングル曲にない感じを出すかがテーマで。あとはライブ感をすごく意識したアルバムにしたいと思ってました。
──なるほど。今回のアルバムタイトル「dead stock」ですけども、今までのアルバムタイトルとはちょっとイメージが違うなと感じました。このタイトルは誰が考えたんですか?
マオ 僕が考えました。「dead stock」って本来は「売れ残り」「長期在庫」みたいな意味だけど、自分的には価値が上がったものや希少価値のあるものという印象が強くて。このアルバムも将来そうなってほしいなっていうイメージで名付けました。
──時間が経つごとに曲の魅力が増していくような?
マオ そうですね。今って音楽が簡単に消費されている印象が僕にはあって。自分が音楽を聴き始めた頃は、アルバムを1枚買ったらずっと同じものを聴き続けてたので、そんな作品を今度は自分らで作りたいなと思ったんです。
いかにパッケージで音楽を届けるかを意識
──最近はCDが売れないという話もよく耳にしますが、音楽を制作する際にそういう面で意識することはありますか?
明希(B) ずっと世に残っていく音楽を作り続けたいっていう気持ちは強くあるんですけど。CDに関してはジャケットにもこだわっていて、デジタル配信の需要が増えていく中でいかにパッケージでも音楽を届けられるかを意識してます。僕たちのファンにはコレクター気質の子たちも多いので、その子たちを満足させられるような作品にしたいと思ってますね。
──今回のジャケットデザインもそうですけど、シドのアートワークって毎回すごく凝ってますよね。
マオ はい。ビジュアル面にもちゃんと力を入れたいっていう人たちでチーム組んで、同じ方向を向いてやっているので。
──デザインでこだわっている部分って具体的にどこでしょう?
マオ こういう人たちが演奏してる、歌ってるって知ってもらいたくて、アルバムの裏ジャケットにメンバー写真を載せることを徹底してます。最近は名前だけが先行して顔はわからないというアーティストもいるけど、そういうのは嫌なので。ちゃんとこの人がやってるっていうのが伝わるバンドでいたいですね。
──なるほど。ちなみに、これまでにほかのアーティストのもので強く感銘を受けたり印象に残ったりしてる作品ってありますか?
Shinji(G) GLAYの「REVIEW -BEST OF GLAY-」。青いCDケースまで含めてインパクトがありましたよね。僕らも、ジャケ買いしてもらえたり、手に取った人に「おっ!」って驚いてもらえるような作品を作っていきたいです。
新しいことをやりつつ軸がブレないようにする
──そしてアルバムを聴いて、まず1曲目の「NO LDK」でいきなりビックリしました。ダンサブルな4つ打ちリズムを取り入れたアレンジですが、ここまでじっくりダンスチューンを作り込んだのは初めてですよね。このインパクトあるオープニングは、最初から想定してたんですか?
ゆうや(Dr) 曲が上がってきた段階でその話はあったよね? みんな1曲目がいいんじゃないかと思っていて、そのつもりで録音したんです。
──じゃあ最初の段階で今のアレンジが見えていたと?
ゆうや すでに今の空気感はありましたね。そこから各パートをどんどんブラッシュアップしていった感じです。
──そのほか、制作の際にこだわった点はどういったところでしょう?
Shinji 今回は結構チャレンジだらけのアルバムだと思うんです。新しいことをやりつつ軸がブレないようにするのがシドのテーマでもあるので、楽曲制作でもいろいろ挑戦してます。例えば2曲目の「シェルター」は、最初のデモバージョンをバンドで一度ぶっ壊して新たに作り上げて。今回は久々にみんなで意見を言い合って作っていったんですけど、結果的にすごく良い作品ができたと思います。
明希 「シェルター」は誰も予想だにしなかったような仕上がりで、最初のデモから残ったのはメロディぐらい。最終的に全然違うテイストの曲になりましたね。
CD収録曲
- NO LDK
- シェルター
- cosmetic
- いいひと
- 乱舞のメロディ(ALBUM MIX)
- レイン
- dog run
- one way
- 2月
- ワイフ
- sleep
- Sympathy
DVD収録内容(初回限定盤Aのみ)
- シド 撮り下ろし!ドッキリ番組"CRY-MAX"SHOW 前編
DVD収録内容(初回限定盤Bのみ)
- シド 撮り下ろし!ドッキリ番組"CRY-MAX"SHOW 後編
DVD収録内容
「SID Summer Festa 2010」(さいたまスーパーアリーナ)と「YEAR END CLIMAX 2010」(東京ドーム)のライブ映像を収録。2010年のシドを網羅した豪華DVD2枚組。
シド
マオ(Vo)、明希(B)、Shinji(G)、ゆうや(Dr)からなる4人組ロックバンド。2003年に結成され、翌年1stアルバム「憐哀 -レンアイ-」をリリース。2005年には初の全国ツアーを開催し、全公演ともソールドアウトの快挙を成し遂げる。2006年には初の日本武道館ワンマンライブを敢行。2008年にリリースした4thアルバム「センチメンタルマキアート」はオリコンウィークリーチャート8位を記録した。同年10月、シングル「モノクロのキス」でメジャーデビュー。2009年7月にはメジャー1stアルバム「hikari」をリリースした。その後も精力的なリリースとライブ活動を繰り広げ、2010年7月にはさいたまスーパーアリーナ、12月には東京ドームでのライブも実現。2011年2月にはメジャー2ndアルバム「dead stock」を発表し、翌3月からは全国8都市で14公演におよぶホール&アリーナツアー「dead stock TOUR 2011」も行う。