ナタリー PowerPush - SAWA
1stフルアルバムはトンデモ小宇宙 秘境“Sa-World”の謎を徹底解明
2008年のインディーズデビュー以来、コンスタントに5枚のミニアルバムを発表してきたSAWAが、ついに初のフルアルバム「Welcome to Sa-World」を完成させた。
作詞のみならず、作曲・編曲にも自身が携わることで、SAWAというアーティストのパーソナルな部分が大きく反映された本作。ナタリーPower Pushでは、このSAWAの作り上げた世界=“Sa-World”がどのようにして誕生したのか、彼女の心の奥にひそむ真の“Sa-World”を探るべく話を訊いた。
取材・文/臼杵成晃 イラスト/SAWA
庭にはバラが咲いていました
──今回のアルバムは、タイトルにも“Sa-World”とあるとおり、これまで以上にSAWAさんのパーソナルな部分が前面に押し出された作品だなという印象を受けました。その結果……非常にストレンジなアルバムに仕上がっていますよね。
アハハハ。そうですか?
──SAWAさんのmixi日記をいつも読んでいるファンや、これまでのインタビュー記事もチェックしている人ならきっと「どうもこの人は普通ではないらしいぞ」と感じていると思うので(笑)、いったいどのような過程を経てこの“Sa-World”が形成されるに至ったのかを細かくお聞かせいただければと。それから、今日はスケッチブックも用意していますので、こちらも自由に使ってください。まずは子供の頃からたどっていきたいのですが、今でも覚えている一番古い記憶ってどのようなものですか?
んーと……お菓子を食べるとき、引き出しみたいなところに入って食べてましたね。
──引き出し?
ちょっと絵に描かないとわかんないかも(さっそく描きだす)。こういう棚がありまして。
ここは普通に本棚みたいになってて、一番下がちょっと広めのスペースで。ここにお菓子を持ち込んで、貯蓄して食べてましたね。
──完全にリスの行動ですね(笑)。それは「狭いところが落ち着く」という心理的なものなんでしょうかね?
んー、お菓子を横取りされないようにしてたんじゃないですか。「ここに入ってるときは取っちゃダメ!」って、自分なりのバリケードを。
──男性の場合はよく、子供の頃に「基地願望」があって、ダンボールなどで自分たちのすみかを作ったりするんですが、そのリスのような行動はどういう感覚なんだろう……。
外敵から身を守ってたんじゃないですかね。子供の頃はそういうケチくさいところがありました。
──今パッと訊かれて思い出したのがその風景ですか?
そうですねー。あとは……こういう機械があって、ここに切り込みがあって(ふたたび描きだす)。
こうカードを通すと、たとえばリンゴが描いてあるカードだと「アポー」(Apple)って音が鳴るんです。この遊びを延々とやってましたねー。アポー。アポー。アポー。
──これ、幼児の頃から英語を学ばせる教育用の玩具ですよね。もしかして、結構良いとこのお嬢さま?
あー、どうなんですかねぇ。
──自己分析すると、どういう性格の子供でしたか?
普段は明るかったと思うんですけど、嫌いなバイオリンをやらされて反抗期になっちゃって。でも子供だから反抗できることって限られてて、バイオリン教室に行くとき、電車の網棚の上にバイオリンを乗せて降りるとか、そういうことしかできなくて。
──ピアノも幼少の頃から習っていたと聞きましたが、それはバイオリンや「アポー」と同じ時期?
ピアノはもうちょっと遅くて、10歳ぐらい。
──ピアノ、バイオリン、英会話……と要素だけ取り上げると、やっぱり典型的なお嬢さまの生活スタイルですよね。
フフフ。そうですね。庭にはちゃんとバラが咲いていました。
──ピアノは自発的に?
はい。バイオリンが嫌いだったから、それに対する反抗で。「親がクラシックが好きだから私はハードロックやってやる!」みたいな意味合いでピアノを始めたんです。10歳ぐらいからずっとやってて、合唱コンクールのピアノ伴奏もしてました。あと、ラジオ体操の音楽が全部弾きたくて、ずっとそればっかり練習してました。
──お嬢さまだけど、目標がラジオ体操(笑)。ラジオ体操のどこに惹かれたんでしょうか。
「なんてすばらしいメロディなんだ!」って。抑揚があるし、短い組曲みたいだし、最初のキャッチーなところからいろんな展開があってすごいなって思ったんですね。
──じゃあ“ルーツミュージック”を掘り下げると「ラジオ体操」になるんですか?
ルーツというほどではないです(笑)。ピアノで弾きたかっただけだもん。
とにかく司りたかった
──では「音楽への目覚め」について答えるなら、どのアーティストを挙げますか?
目覚めはSPEEDですね。SPEEDが若くしてデビューしたことに、すごくイラッときてた(笑)。
──ははは。「そんな自分と変わんないような子供が活躍しやがって」みたいな?
すごく好きな半面、そういう気持ちもあって。自分の中で両方の気持ちが闘ってましたね。それでダンスを習いに行って。
──自分から習いに行ったんですか? 結構アクティブですよね。
アクティブでしたよー。しかも私は茨城の田舎の中学生で、その辺りで東京に出入りしてる子っていうのはたぶん私だけだったと思うんです。そこにだいぶ優越感を覚えて「東京に行ってるんだぜ!」みたいな気持ちでした。でもそのスクールには、土日のレッスンのために沖縄から来てる子もいたし、岐阜とか北海道とか、全国から集まってくるようなスクールで。みんなの熱気でギラギラした感じ。弱肉強食の世界ですよ。
──スクール通いはいくつぐらいまで?
高1ぐらいまでやってました。ダンスをしつつ歌を歌いつつ。あとは英語が好きだったので、英語の音読を家でやったり、音を録ることも好きだったのでテープに録音したり。
──自分で何か表現する、アーティストとしての道を初めから目指していたのでしょうか。
そうですね。バイオリンの頃は弦楽団にいたんですけど、“個人”として扱われなかったことが悔しくて。第2バイオリンのうしろのほうなんて全然面白くないし(笑)。それで無意識に個人としてやれることを探していたような気がします。
──「目立ちたい」という気持ちもあった?
超目立ちたがり屋だったと思いますよ。目立つことはなんでもやったし。スキー実行委員長とか、そういう「委員長」の付くものは全部手を挙げてたぐらい。
──スキー実行委員長ってどういうことをやるんですか?
学校で行くスキー合宿を司る役目です。
──司る(笑)。どんなスキー合宿になりましたか?
特に仕事はしないですよね(笑)。
──スキー合宿の委員長になることが重要。
うん。とにかく司りたかったんですよね。放送委員長もやりました。放送ってある意味“ジャック”ですから。「CMっていいな」って思ってた時期があって、テレビからカセットテープに録り溜めていたCMの音を校内放送で流そうとしたんですよ。でも流そうとしたら「いや、ちょっと」って止められて、結局ボツになりました。
──文化祭ではバンドを組んだりはしなかったんですか?
バンドは1回もやったことがなくて。演劇みたいなものに出たことはあるんですけど……たぶん自分の中で大失敗だったから、マイナスの記憶がちょっと消えてしまって覚えてないです(笑)。それからは友達のダンスの振り付けをしたり。
──ああ、プロデューサーとして。
自分が損しないかたちでいこう、みたいな。「失敗しても君たちの責任!」って言える立場ですね。
CD収録曲
- Opening Ceremony ~Sa-Worldへようこそ~
- MerryGoRound
- Stars
- NightBus
- Chocolate Zone ~野生のSAWA~
- Throw him away!
- ManyColors
- I'm a President
- Danger Zone ~逃げろ!危うしSa-World!~
- Swimming Dancing
- Friday Night
- Planet-T
- Eat It All ~Live in Sa-World~
- I Can Fly
- あいにいくよ
- Dream about...
- Thank you for visiting ~My name is...~
初回盤DVD収録内容
- 「I Can Fly」「Swimming Dancing」「あいにいくよ」PV
- Sa-Worldの作り方(表ver.)
- Sa-Worldの作り方(裏ver.)
5iVE STAR -summer tour 2010-
ファッション誌で活躍する人気読者モデルが多数参加するファッションイベントに今年もライブゲストとして参加!
- 2010年7月3日(土)
北海道 札幌Sound Lab Mole - 2010年7月11日(日)
宮城県 仙台RIPPLE - 2010年7月17日(土)
福岡県 福岡BEAT STATION - 2010年8月1日(日)
東京都 LAFORET MUSEUM HARAJUKU - 2010年8月4日(水)
愛知県 名古屋DIAMOND HALL - 2010年8月5日(木)
大阪府 なんばHatch
LIVE GUEST:Astro / SAWA
出演モデル:青柳文子 / 池田泉 / 木野園子 / 瀬戸あゆみ / 武智志穂 / 田中里奈 / and more
※出演モデルは会場によって異なります。
※出演モデルは都合により変更となる場合があります。
SAWA(さわ)
2008年6月に半沢武志(FreeTEMPO)プロデュースのミニアルバム「COLORS」でインディーズデビュー。透明感のある歌声と独特のキャラクター、そして「元高校教師」という経歴が話題となり、クラブシーンを中心に大きな注目を集める。2009年7月には3rdミニアルバム「I Can Fly」でEPICRecordsよりメジャーデビューを果たし、2010年7月7日に初のフルアルバム「Welcome to Sa-World」を発表。また、ボーカリストとして多くの作品に参加しているほか、ファッションイベントへのライブ出演や、韓国での配信リリースなどさらに活動の幅を広げている。