このバンドには“プロデューサー”がいない

──メンバーの仲の良さはすごく伝わりますが、仲の良いバンドがみんな成功しているわけではないですよね。ONE OK ROCKにはきっと他を圧倒する力量があるのだと思いますが、自分たちの才能やセンスが優れているという自覚は特にないですか？

Taka　自分たちの作るものが一番カッコいいっていう自信はあります。ただそれは、単純に各々がやりたいことを出しきれてるだけなんですよ。例えばメンバーの1人が曲を作る場合、その人の考えるイメージがありますよね。僕も曲作りの段階で作りたいものとか追求したいものがあるんですけど、みんなはそれに対してすごく応えようとしてくれる。もしくは、良い意味でしっかりストップをかけてくれる。これは僕1人ではできないことです。さらに、出来上がった曲をみんなでカッコいいかどうか判断できる。そういうふうに作品を生み出せてることが、バンドとしてはすごく珍しいと思うんですよ。

──なるほど。1人ひとりを尊重する気持ちが共通してるんですね。

Taka　このバンドにはプロデューサーが1人もいないので、それも大きい気がします。バンドの中に1人はプロデューサーみたいな役割の人っていると思うんですよ。いないと逆にどんどん暴走していくような気もするし。でもうちはそうでもなくて。

──いないのに冷静な判断ができてる。

Toru　そうですね。

Ryota　基本的にパートは任せっきりだし。

Taka　個々が作ったフレーズに対しても、作り終わってから「ここのギターこうだったらな」とか「本当はこういうソロ弾いてほしかったな」とは思わないですね。それが逆にONE OK ROCKらしさになってるから。

──じゃあ音楽的な意見の食い違いで嫌なムードになることはあまりない？

Toru　例えば曲の方向性を話し合ったり、2つの候補フレーズでどっちにするかっていうときには、もちろん思ってることが違うこともありますけど、最終的にONE OK ROCKとしてひとつの作品を作るっていう目的が同じなので。いろんな選択肢があっても、ONE OK ROCKが全員の真ん中にあってそこに寄るっていう形でまとまりますね。

でかいとこでライブできるんだったらいくらでも

──先程伺った強みとは逆に、今のONE OK ROCKに課題があったら教えてもらえますか？

Taka　追求する気持ちをもっと高めることと、ライブをもっとよくすることかな。圧倒的なところまで登りたいし、その先にも行きたいですね。まだまだ全然遠いです。

──横浜アリーナよりも大きなところでライブをしたいと思います？

一同　はい。

Taka　もちろん。何十万人でも何百万人でも。これでいいってことは絶対ないんで。

──Takaさんは別のインタビューで「結成したときからいつか東京ドームとかアリーナでやれるバンドになりたい」とおっしゃっていましたね。

Taka　はい。一度ですからね、人生。でかいとこでライブできるんだったら、そんなもんいくらでもしたいです。だってそれがモチベーションに変わりますから。「ライブハウスじゃないと伝わらないから、それ以上の会場はやらない」ということではなくて、僕からするとちょっと違う感覚で「そこを伝えに行きましょうよ」「それを楽しいって言わせたら最高じゃないですか」と思うんです。

──大きな会場でライブをすれば、より多くの人たちがONE OK ROCKの音楽を聴くようになります。そうやって自分たちの手の届かないところで良くも悪くも消費されていくことに、抵抗はないですか？

Taka　ないですね。これからもっと音楽が自由になっていくような気がするんです。これも世代的に新しい考え方かもしれないけど、これまで偉大なバンドが東京ドームに立った当時の状況と、僕らが東京ドームでやりたいって思ってる今の状況と、いつか立ったときの状況ってそれぞれ違うと思うんですよ。そして自分たちの姿を見て、それを継承しつつ新しいことをする人がまた出てくると僕は信じてます。そうやって良い音楽をつなげて変わっていけたらなと思います。