ナタリー PowerPush - ねごと
「やっとここまでたどり着けた」2ndアルバムを巡る4人の葛藤と成長
前作「ex Negoto」以降のねごとが、バンド活動をする上で根本的な壁にぶつかっていたことは、ナタリーのインタビューでもメンバーの口からことあるごとに語られてきた。しかし、それでも彼女たちは制作とライブを重ねることで一歩ずつ前に進んできた。そして、ここに4カ月連続リリースのラストにして、大学卒業を控えたメンバーにとっての到達点となる2ndアルバム「5」(ファイブ)を完成させた。今回のインタビューでは蒼山幸子(Vo, Key)と沙田瑞紀(G)を迎え、本作に込めた特別な思いとバンドの迷いなき今に迫った。
取材・文 / 三宅正一 インタビュー撮影 / 上山陽介
お客さんと一緒に音楽で感動したくてバンドをやってる
──「5」は、大きな壁を乗り越えてバンドとして確信をつかんだ2ndアルバム、あるいは2枚目の1stアルバムのような側面も持っている作品だと思います。完成した率直な手応えはどうですか?
蒼山幸子(Vo, Key) やっとできたなという感じですね。ホントは去年の秋頃に2ndアルバムをリリースする予定があったんですけど、一度白紙になったんですね。その原因は、自分たちが一番大事にしているライブで悩んでいたことが大きくて。
──その葛藤についてはこれまでのインタビューでも語っていましたね。
蒼山 そうですね。今思うと、いいライブができなかったのは自分たちに自信がなかったからで。自信がないからMCで照れてしまったり、前に出るようなパフォーマンスができなかった。でも、なんで自分たちがバンドをやって、ライブをやるかといったら、やっぱりお客さんと一緒に音楽で感動したいんですよね。そのために4人はもっとひとつにならないといけないと思ったし、この1年半、試行錯誤しながらさまざまなトライを続けて。その過程でできた曲がこのアルバムには入っていて。だから1曲1曲に思い出があるし、すごく濃いアルバムになったと思います。やっとここまでたどり着けた。2枚目の1stアルバムのような、ここからまた新しく始まっていくワクワク感もあるんです。「5」というアルバムを作れたことがすごくうれしいです。
──沙田さんはどうですか?
沙田瑞紀(G) リスナーと強くつながりたいと思ってできたアルバムで。それがまず大きいですね。「5」というタイトルにしたのも、4人のメンバー+1という意味を込めていて。その+1は1人ひとりのリスナーであり、バンドを支えてくれるスタッフであり。でも、その+1を迎えるために、まず私たちがひとつにならなきゃいけなかったんですよね。
「5」には私たちの姿がリアルに入り込んでいる
──バンドがひとつになるためには何が必要だった?
沙田 やっぱりコミュニケーションが大事なんだなって思いました。まず、バンドがひとつにならなきゃって思ってから、メンバーで話し合いをする時間がどんどん増えていったんですね。
──それまでは話し合いをすることがあまりなかった?
蒼山 そうですね。私たちって昔から全然ケンカとかしないんですよ。
──しなそうだなあ。
蒼山 あはははは(笑)。今思うとメンバー同士が踏み込めてなかったなって。だから話し合いをする時間も少なかったし。もうお互いの性格はわかっているし、言葉にしなくてもいいと思い込んでいた部分がどこかであったんですね。でも、やっぱり言葉にしてみないとわからないことってたくさんあって。バンドで意思確認をして「ねごとはこういうことを提示したいんだ」って、ちゃんと言えるようになりたいなって思ったんです。当たり前だけど、1人ひとりが平行線で出すビームより、4人が一丸となって出したビームのほうが強いんだなってすごく思ったから。
沙田 うん、そうだね。いろんな葛藤を覚えて、一歩ずつ乗り越えてきたから。「5」に入っている曲には、私たちのそういう姿がリアルに入り込んでいるし、だからこそ迷いなくこのアルバムを出せるという思いがあります。
- ニューアルバム「5」/ 2013年2月6日発売 / Ki/oon Music
- 完全生産限定盤 [CD] / 3500円 / KSCL-2197
- 通常盤 [CD] / 3059円 / KSCL-2198
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CD収録曲
- greatwall
- トレモロ
- sharp ♯
- nameless
- たしかなうた
- 街
- 潜在証明
- メイドミー…
- Re:myend!
- そして、夜明け
- Lightdentity
- flower
- SEED with groove(ボーナストラック)
完全生産限定盤のみ収録
- nameless -instrumental-
- greatwall -instrumental-
- たしかなうた -instrumental-
ねごと
蒼山幸子(Vo, Key)、沙田瑞紀(G)、藤咲佑(B)、澤村小夜子(Dr)からなる4人組バンド。高校2年生だった2008年1月に結成し、春に開催された「閃光ライオット2008」に応募。予選を順当に通過し、8月に行われた決勝大会に進出。審査員特別賞を受賞する。同年11月に発売された「閃光ライオット2008」コンピレーションアルバムにも、大会で披露した楽曲「ループ」で参加する。その後勉強に専念するため一時ライブ活動を休止するも、2009年9月に本格活動開始。2010年2月より行っている自主企画「お口ポカーンフェス?!」も毎回好評を博している。2010年9月29日、1stミニアルバム「Hello! "Z"」をKi/oon Musicよりリリース。2011年3月発表の1stシングル「カロン」はau「LISMO!」のCMソングとしてオンエアされ、幅広い層から注目を集めた。同年7月、初のフルアルバム「ex Negoto」をリリース。2012年11月7日発売のシングル「nameless」から3カ月連続でシングルリリースし、2013年2月には2ndアルバム「5」を発表した。