音楽ナタリー PowerPush - MIYAVI

最新アルバム「The Others」セルフライナーノーツ

ロブ・ハーヴェイのロングトーンが魅力
08. Unite (feat. Rob Harvey)

──ゲストボーカルに元The Musicのロブ・ハーヴェイが参加しています。

はい。筋トレが好きなロブくん。

──彼とは2011年の「FUJI ROCK FESTIVAL」で仲よくなったんですよね?

うん、「いつか何かやろうね」みたいな話をずっとしていて。最初は自分で歌うつもりだったんだけど、彼の共鳴するようなロングトーンのほうがこの曲の持つ雰囲気を生かせるんじゃないかと思って。そこで歌詞も彼に丸投げして一緒に作りました。The Musicは日本でも人気のあったバンドだから、好きな人にはあの独特な「踊れー!!」っていう感じを思い出して楽しんでもらえるんじゃないかな?

──ギターの弾き方、通常のピッキングとスラップを混ぜていますよね?

そうそう。テクニックを複合させることで、よりバリエーション豊かな前戯をモノにしました(笑)。

自分と世界に向け歌った
09. The Others

──アルバムの表題曲ですね。

MIYAVI

そうですね。弾いていても歌っていても気持ちがいい。このギターフレーズもやっぱりDrew & Shannonと出会っていなかったら生まれていなかった。最初はもっと複雑なフレーズを弾いていたんです。そうしたら彼らに「もっと気楽に、シンプルにしてみようよ」と言われて、「そんな逆の手でも弾けるようなフレーズ、つまんないよ」なんて反論していたんだけど(笑)。今は「ああ、これがよかったんだな」って心から感じています。CならCのコードをジャーンとストレートに弾いて、そのCが生まれた理由を噛み締めながら、どう楽しんで弾けるか。今回、彼らにはそれを教えられましたね。

──「俺たちは 皆 それぞれ違う」「誰かを愛するということは 受け入れるという事」。この歌詞はMIYAVIがずっと歌い続けているテーマそのものですね。

はい。ここ数年ずっとツアーで世界を旅して、去年からロスでの生活を始めていっそう強く感じた思いでもあります。異国人であることのプレッシャーや、自分がその国のルールに合わせなきゃいけない環境の中で、何度となく不安に苛まれてきたけれど、最近ようやく多くの人に受け入れられて、改めて「まず、受け入れる。その上で、受け入れられる。そしてまた受け入れる。それが愛なんだ」と思えてきました。俺自身まだまだ勉強している最中なので、自分に向けての歌でもあるし、世界中に向けた歌でもあります。

上京した17歳の頃の気持ちを込めた
10. Calling

──この曲の突っ込みそうで突っ込まない、ちょっと変わった“跳ね感”があるリズムも、MIYAVIのナンバーとしては珍しいのでは?

これはBOBOくんのビート感とDrew & Shannonの「タメ」の融合によってできたものかな。もともとはアコースティックな曲だったんです。だからアコギバージョンでも演ってみたいですね。

──そして郷愁を感じさせるメロディもまたMIYAVIのナンバーとしては珍しいと感じました。

MIYAVI

よくわかりますね。これ、“新幹線の歌”なんです。郷愁といいますか。去年ちょうどロスに移住したあと、お墓参りのために日本に戻ってきて新幹線に乗ったんですよ。そのとき新幹線の車窓を過ぎていく景色を眺めながら、その心情を書きました。「音は 言葉より速く 光は 音よりも 速い そして 望みは 何よりも速い」って。のぞみ、ひかり、こだま……素敵な言葉だなあ、と思いながら。17の頃、財布とPHSだけ持って、夜行バスに飛び乗って上京した頃の気持ちも入っています。だから自分で歌っていても胸が締め付けられますね。

世界で活躍する先輩へリスペクト
11. Shangri-La

──さてラストの曲ですが、電気グルーヴのカバーは意外でした。これはどういう経緯で?

最初はスタッフのイチ推しで(笑)。電気グルーヴさんにはちゃんとご挨拶したことはないんですけど、ずっと好きでした。当たり前に世界で活動している先輩だと勝手に思っています。そういえば昔、卓球さんが上海のクラブでDJをやったときに、中2階みたいな高さのブースによじ登ってご挨拶したことがありました。俺、ベロンベロンに酔っ払ってたんですけど(笑)卓球さんやケン・イシイさんやCorneliusさんといったアーティストからは、宮崎駿さんと同じように、黙々と良質な作品を作り続けて、当たり前に世界にコミットしている人特有の“匂い”が感じられます。だから勝手にシンパシーを感じて、すごくリスペクトしているし、見ていると俺なんかまだまだだなあと思わされて、気が引き締まります。

ニューアルバム「The Others」 / 2015年4月15日発売 / Virgin Music
ニューアルバム「The Others」
初回限定盤 [CD+DVD] / 4860円 / TYCT-69079
通常盤 [CD] / 3240円 / TYCT-60061
CD収録曲
  1. Cruel
  2. Into The Red
  3. Come Alive
  4. Alien Girl
  5. Let Go (2015 Ver.)
  6. Odyssey
  7. All The Way
  8. Unite (feat. Rob Harvey)
  9. The Others
  10. Calling
  11. Shangri-La
初回限定盤DVD収録内容

MIYAVI Live in L.A. at El Rey Theatre 02.18.2015

  • What's My Name?
  • Strong
  • Chase It
  • Secret
  • Let Go
  • Guard You
  • Cry Like This
  • Ganryu
  • Survive
  • Futuristic Love
  • Day 1
  • Selfish Love
  • What A Wonderful World
  • Horizon
MIYAVI「MIYAVI Tour 2015 "WE ARE THE OTHERS"」
2015年4月30日(木)広島県 広島CLUB QUATTRO
2015年5月2日(土)福岡県 DRUM LOGOS
2015年5月3日(日・祝)香川県 高松MONSTER
2015年5月5日(火・祝)愛知県 DIAMOND HALL
2015年5月7日(木)大阪府 なんばHatch
2015年5月9日(土)宮城県 Rensa
2015年5月10日(日)新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
2015年5月12日(火)北海道 札幌PENNY LANE24
2015年5月16日(土)東京都 新木場STUDIO COAST
MIYAVI(ミヤビ)

MIYAVI

1981年大阪府出身のソロアーティスト / ギタリスト。ピックを使わず指でエレクトリックギターを弾く、独自のスラップ奏法で世界中から注目を集めている。これまでに北米、南米 、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアなど約30カ国で250公演以上のライブを行い、4度のワールドツアーを成功させている。2010年10月リリースのアルバム「WHAT'S MY NAME?」では、ギターとドラムのみの編成でオリジナルのサウンドを確立。2012年11月にさまざまなジャンルの“サムライアーティスト”とのコラボレーションアルバム「SAMURAI SESSIONS vol.1」を発表。アーティストやクリエイターからも高い評価を受けており、CMへの楽曲提供や、布袋寅泰、野宮真貴、Good Charlotteらの作品への参加など、精力的な活動を続け、2013年6月には自身の名を冠した海外デビューアルバム「MIYAVI」をリリース。2014年にはSMAPのシングル「Top Of The World」を作曲し話題を集め、9月には、ジャネット・ジャクソン、アッシャーなどの作品で知られるJam & Lewisをプロデューサーに迎えたシングル「Real?」をリリース。さらに12月には俳優として参加したアンジェリーナ・ジョリー監督によるハリウッド映画「UNBROKEN」が全米で公開された。2015年4月にDrew & Shannonをプロデューサーに据えロサンゼルス、ナッシュビルにて制作されたフルアルバム「The Others」を発表。