ナタリー PowerPush - LAMA

スタートは“お茶会”から 1stアルバム「New!」完成

今年2月に突如結成が発表されたバンド、LAMA。凄腕アーティストばかり4人が集まるとあり、早くから音源のリリースが待望されていた。その後届けられた1stシングル「Spell」と2ndシングル「Cupid / Fantasy」は、それぞれカラーの違う楽曲が収められ、バンドの持つポテンシャルを十二分に感じさせるものとなった。

そしてこのたび、満を持して1stアルバム「New!」が誕生。アルバムは、ヘビーなギターのリフが耳に残る「Warning」から幕を開け、フルカワミキ(Vo, G)の浮遊感のある声が心地良い「Rockin' Your Eyes」、ナカコー(G, Vo)の歌声とシンセベース&4つ打ちのリズムがクールな印象を受ける「Blind Mind」など、楽曲ごとに違った顔を見せる作品に仕上がっている。

メンバー全員が作曲を行い、ある種プロダクションチームといった側面を持つLAMAの4人は、今作をどのように作り上げていったのだろうか。ナタリーではメンバー全員にインタビューを実施し、その制作過程に迫ろうと試みた。4人の持つふわふわとした雰囲気も含めて楽しんでいただければ幸いだ。

取材・文 / 野口理香 インタビュー撮影 / 中西求

お待たせするよりは、ポンポンと

──今年2月の結成からシングル2枚、そしてアルバムと、順調なペースでリリースが続いています。これは「早いうちにアルバムを出したい」という気持ちがメンバーの皆さんの中にあったからですか?

フルカワミキ(Vo, B) ゆっくり作ってもよかったんですけど、何せバンド結成後、すぐにLAMAの存在がオフィシャルに発表されちゃったので(笑)。お待たせするよりは、ポンポンと。アルバムを出すことはひとつの目標だったので、それに向かってがんばりました。

──前回のインタビュー(その1/その2)の際には、既にアルバムの制作に入られていたんですよね。そうやって作った楽曲の中から、どのようにシングル曲やアルバム曲を決めたんですか?

牛尾憲輔(Programming) 「Spell」は最初からシングル用に作ったんです。

インタビュー風景

ナカコー(Vo, G) シングルはタイアップにも関係してくるから。「Spell」のほかに「Cupid」や「Fantasy」も、そんな話があるから早めに作らなきゃ、みたいなことがありつつ。

──ちなみに今話題に上がったシングル曲3曲は、別バージョンがアルバムに入ってます。これは初めから別バージョンを作ろうという意図が?

ナカコー うーん、「Spell」と「Fantasy」がシングルになったのはさっき言ったとおりタイアップがあったからで。タイアップがあると、制作側とコラボ……そういう言い方をしていいのかわかんないけど、一緒に作っていくものになるんで。「Fantasy」に関しては、アルバムバージョンの原型のほうが先にできてて。それで、アニメのエンディングテーマになるんだったら違うアレンジを考えようかって作ったのがシングルバージョン。で、じゃあ原型があるんだからアルバムバージョンを仕上げよう、さらに「Spell」も「Cupid」も、アルバムバージョンがあればまとまるじゃんっていう感じに。

──LAMAは、共有サーバを介してアイデアや曲の断片を出し合いつつ、ある程度形ができたらスタジオに入ってレコーディングを行う、という制作方法を採ってますよね。それはアルバムでも変わらず?

ナカコー 最初はそのとおりで。牛尾くんがドイツから帰ってきたあとは、スタジオに入って作業してました。

自由なんだけれども、ちゃんと“LAMA”っていう形になってる

──アルバム「New!」は、ひととおり通して聴いても「こういうアルバムだな」って冠がつけられない作品だと感じました。例えばダンスミュージックだとか、エレクトロニカだとか、ロックだとか、ひとくちに言えないなと。なので、皆さん自身に「こんなアルバムになった」っていう考えがあったらお伺いしたいんですが。

一同 ……。

──みんな黙っちゃった。じゃあ牛尾さん、どうですか?

牛尾 ……パス。

ミキ パス2回までね。

牛尾 2回まで? 早めに使っちゃったー、なんか言おう。えーっとね、面白い、と思いました。楽しいアルバムだなと。作ってる現場が楽しかった。

──どの辺が面白くて楽しかったですか?

牛尾 意外にギャグがスベんなかった。スベったスベったって言われてるけど。

──それは音から伝わりづらいですね。

牛尾 ええーっと、LAMAって4つ以上のバンドが混ざってるでしょ。そのバンドのどれでもない感じになったんじゃないかなと。

──確かに「どれとも違う」というのは感じました。それから、皆さん楽しんで作ってるんだろうなとも。では、バンドの言い出しっぺとも言えるミキさんはどうですか? 今作がこの1年の集大成になったかと思うんですが。

ミキ 自由なんだけれども、ちゃんと最初から最後まで聴いたら“LAMA”っていう形になってるな、と。そういうふうになればいいなって思ってたので、そういう意味では意図どおりというか。アイデアだったり空気感だったり、そういうもの全部が気が抜けてて……風通しがいい。力が抜けてて、自由な感じがあるなあと。LAMAの場合「こうでなければならない」っていう考えは最初からなくて。そういう意味で、自由で力が抜けてるなって。

1stアルバム「New!」 / 2011年11月30日発売 / Ki/oon Records

  • 初回限定盤 [CD+DVD] / 3360円(税込)/ KSCL-1881~2 / Amazon.co.jpへ
  • 通常盤 [CD] / 3059円(税込) / KSCL-1883 / Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. Warning
  2. Night Telepathy
  3. Rockin' Your Eyes
  4. Spell (Alternative ver)
  5. Tune On, Tune In, Surf Out
  6. Cupid (So Far... ver)
  7. Blind Mind
  8. doudou
  9. Soul Diving
  10. Silver Spring
  11. Fantasy (The Room ver)
  12. Don't Go Back
  13. Ane Mone
  14. Dreamin'
初回限定生産盤DVD収録内容
  • Spell
  • Fantasy
  • Cupid
LAMA(らま)

ナカコー(Vo, G)、フルカワミキ(Vo, B)、田渕ひさ子(G, Cho)、牛尾憲輔(Programming)の4人からなるロックバンド。2010年12月結成。2011年4月、東京・WWWでKIMONOSと対バンを実施。これがお披露目ライブとなる。この模様はライブストリーミングチャンネル・DOMMUNEにて生中継され、約8万人が視聴した。同年8月に1stシングル「Spell」を、10月に2ndシングル「Cupid / Fantasy」をリリース。「Spell」はフジテレビ系ノイタミナアニメ「NO.6」のオープニングテーマに、「Fantasy」は同じくフジテレビ系ノイタミナアニメ「UN-GO」のエンディングテーマとして使用され、いずれもアニメの世界観を表現した楽曲として話題を集める。11月、1stアルバム「New!」を発表。