ナタリー PowerPush - LAMA
牛尾憲輔&中村弘二インタビュー
LAMAが8月3日に記念すべき1stシングル「Spell」をリリース。これを記念してナタリーではメンバー4人にソロインタビューを実施した。今回掲載するのは後編、牛尾憲輔と中村弘二へのインタビューとなる。
この特集では、それぞれに同じ質問をぶつけ、返ってくる答えの違いから、LAMAが持つ可能性や秘密に迫ってみた。フルカワミキ&田渕ひさ子へのインタビューを掲載した前編とあわせて楽しんでほしい。
取材・文 / 野口理香 撮影 / 中西求
牛尾憲輔インタビュー
01. 結成のきっかけ
──LAMA結成のきっかけについて牛尾さんは3人にどう聞いてますか?
……なんて聞いてたかなあ。僕ね、元々ミキちゃんとiLLのサポートをしてたんで、ミキちゃんと田渕ひさ子さんとナカコーさんが3人でなんかやるらしいよって聞いてたのは覚えてるんですよ。そうしたらナカコーさんから「ミキちゃんが始めたバンドに牛尾くん入るって知ってるー?」っていうTwitterのDMが来て、「へえー! 知らなかったー!」っていう感じでした。
──巻き込まれ型ですね。
完全に! だから僕、ガールズトークがあってスタートしたんですよ、っていうエピソードは、オフィシャル(の資料を作るための)インタビューのときに初めて知ったんです。
──なんで自分が誘われたのかは、あとから聞きました?
なんか、3人でやるよりは4人で、かつリズムができる人……リズムを打ち込みで再現したり、ほかにもフレキシブルにいろいろできる人、っていうので選んだ、みたいなことを言ってた気がする(笑)。でも僕は、リズムっていう観点で選ばれたのは全然気付かなくて、オフィシャルインタビューのときに、3人が「僕を誘ったのはリズムもできる人が欲しくて」と話してるのを聞いて、「あっなるほどそういう観点か」って知ったんです。
02. 初対面の印象
──ちなみに初顔合わせはアー写撮影のタイミングですよね?
そうでしたね。撮影のときに田渕さんに「はじめまして」って言いました。でも僕、そのときインフルエンザにかかっててなんにも覚えてなくて。おぼろげながら記憶にあるのが、(アー写を見ながら)最初左腕を広げすぎちゃって画角からはみ出ちゃったから、「あっ、腕もうちょっと狭くしなきゃ」って直したこと(笑)。
──そのアー写の撮影が2月下旬で、3月上旬にはもう牛尾さんはベルリンに旅立たれましたよね。ということは、バンドメンバーとのコミュニケーションは主にネットワーク上で?
そうですね。あと3月の頭、ドイツに行く前に、1回スタジオに入りましたね。最初の音楽的な顔合わせという意味でセッションをやって、そのデータを持ってベルリンに行った感じ。
──なるほど。先日行ったミキさんへのインタビューでは、音楽的な擦り合わせについて「抽象的な話をした」と話してくれたんですけど、ちゃんとスタジオに入ってセッションもしていたんですね。
セッションしつつ、あんな音こんな音みたいな話はしてたと思います。コンセプトワークというかフラグ立てに近いような感じでしたけど。
──そのときの感触はどうでした?
単純に自分の作る曲に歌が入るのは初めてだったし、僕以外にメンバーがいるのも初めてだったんで、そういうところからもう面白かったですね。
──牛尾さん、これまでバンドってしたことないんでしたっけ?
やってないですねえ。高校のときにヴィジュアル系のコピーバンドをちょこっとやったぐらい。パートは鍵盤で。「弾いて」って言われたから参加しただけなんですけどね。で、そのあとすぐにテクノにいっちゃったんで、それぐらいかな。あっ、あと中学校の最後の謝恩会で、スーツ着てシンセ並べてTMNやった(笑)。
──じゃあ自分から自発的にメンバーになって、誰かと一緒に音を鳴らすという経験は初めて?
初めてですね。だから僕が作った音に対するレスポンスがあって、僕がいないところで制作が進んだりして。すごく不思議で面白くもあり、反面「いいのかなこんな楽しちゃって」みたいな気持ちもあり(笑)。
──あはは(笑)。戸惑いはありませんか?
戸惑いは別にないですね。単純にコミュニケーションが面白い。音楽的な意味でも人とのコミュニケーションって意味でも。
──これまでのメンバーインタビューで、音楽的にも人とのコミュニケーションという意味でも、Twitterを使ったり共有サーバを使ったりと、ネットワーク上のツールを活用していると伺ったんですけど、そこにやりにくさは特に感じない?
ないですね。あと特に僕はそういう技術系の文脈にいるので、普段と特に変わったことはしてないんです。例えば、スタジオってミキサーとか機材が置いてあるコントロールルームと、録音するブースがあるんですね。普通のバンドだと、ブースに楽器を並べて録るんだと思うんですけど、僕は常に機材が並んでるコントロールルームのほうにいるので。LAMAでもそれは変わらないんです。いっせーので鳴らしてみんなであーだこーだ言いながら楽器弾いてっていうバンドの経験は一切ない代わりに、今のLAMAの制作方法は僕にとってはすごくナチュラルなものですね。
──なるほど。で、4月には東京・WWWで初めてのライブがありました。牛尾さんはベルリンからネットワーク越しの出演となりましたが、楽曲制作と並行して、ライブのリハーサルも進めてたんですよね。
そうです。大変でした。スタッフに本番でも使えるって聞いてたバックボーン回線が、ベルリンに行ってみたら存在しなくて。どうにか民生用の回線でやりくりする算段を立てて。
──リハーサルにはどれぐらい時間をかけたんですか?
オケに合わせて1人で、リハーサルの個人的な練習を何日かやってて、それに加えて、3人がいるリハーサルスタジオと回線をつないでいろんなソフトを使ってリハをしたのが3、4回くらいかな。
──当日のライブの模様は映像でご覧になりました?
怖くて観てないです! だってなんか喋んないんだもんあの人たち(笑)。元劇場のライブハウスで、僕が映ってる32インチぐらいのテレビをみんなで観てるっていう状況って、不思議ですよねえ。
LAMA(らま)
中村弘二(Vo, G)、フルカワミキ(Vo, B)、田渕ひさ子(G, Cho)、牛尾憲輔(Programming)の4人からなるロックバンド。2010年12月結成。2011年4月、東京・WWWでKIMONOSと対バンを実施。これがお披露目ライブとなる。この模様はライブストリーミングチャンネル・DOMMUNEにて生中継され、約8万人が視聴した。同年8月に1stシングル「Spell」をリリース。