ナタリー PowerPush - 管制塔

Galileo Galileiの名曲から三木孝浩監督が生み出した映画

映画「管制塔」36時間限定無料WEB配信決定!4月27日(水)21:00~ 2011年4月29日(金)9:00 / くわしくはオフィシャルサイトで

三木孝浩監督 インタビュー

──まず、今回の映画を撮ることになった経緯を教えてください。

「管制塔」場面写真

去年の夏頃、Galileo Galileiのライブを観る機会がありまして。それがめちゃくちゃ良くて。10代で人気が出たバンドって、若さやフレッシュさで押していくことが多いと思うんですけど、Galileo Galileiの場合はそこに甘えていない感じがしたんですね。テクニックもあったし、パフォーマンスの表現力もあったし。中でも「管制塔」という曲が印象に残ったんですけど、後からそれが彼らが作った最初の曲だと知ってますます興味が湧きました。バンドを結成した経緯やその曲を作ったときの状況を彼らから聞いて、稚内という場所がGalileo Galileiというバンドを作って、「管制塔」という曲を作ったんだということがすごく伝わってきました。それで、稚内を舞台にしたオリジナルストーリーを撮りたいと思ったんです。

──ストーリーはあくまで楽曲をベースに考えたんでしょうか、それともGalileo Galileiのメンバーの話をもとに考えたんでしょうか?

両方ですね。本人たちの話も聞いて、結成のエピソードや「管制塔」ができたときのことは入れたいと思っていました。(尾崎)雄貴くん(Vo,G)自身が最初にギターを手にしたのは、映画に出てくるように、家の押し入れからお父さんのギターを見つけてということだったらしいんですね。あと、部屋でギターの練習をしていたら、家の隣にある雀荘の客から「こっちに来て弾けよ」と言われてライブをやったというのも本人のリアルストーリーです。そういうのも稚内っぽいなぁと思ったので、エッセンスとして取り入れました。それ以外はわりと普遍的なものを描いたつもりです。主人公の駈の家庭環境はすごく不幸なわけでもなく、彼の性格的にもどこにでもいそうな感じです。端から見たら幸せな家庭なのに、居場所がないとか、孤独を感じているとか、誰でも10代で一度は通る道だと思うんです。その時期に、とあるきっかけで何かが開けていくという瞬間を、「管制塔」という曲に乗せて表現できたらなと思いました。

──若い主演俳優2人を演出する上で気を付けたことはありますか?

「管制塔」場面写真

とにかく、2人が出してきたものを大切にしていこうと思いました。若い10代の俳優って、まだ芝居が固まっているわけじゃないので、テイクを重ねていくとこちらが予想していないようなものが出てきたりするんですね。細かく指示するよりもテイクを重ねてみるほうがいいものが撮れる気がして、なるべく自由にやってもらいました。

──ビデオクリップをたくさん撮られてきて、昨年「ソラニン」で映画に進出されましたが、何か意識の違いはありますか?

セリフのあるなしというのがまず大前提としてありますけど、映画を撮るときはセリフに頼り切ることはしたくない。どういう表情を切り取っていくか、どういう状況で、どういう思いで、そういう表情になったかというのを収めていくのが大事な気がするんです。そこはビデオクリップも同じですよね。アーティストの表情、思いを切り取るのが大事なので。ただ、ビデオクリップは瞬間的なもの、瞬発力で心をつかむような表現を目指しますけど、映画は小さなものを積み重ねていって大きなものを伝える。だから、映画は頭からお尻までキャラクターの感情線にブレがないようにしないといけない。ビデオクリップの場合は、音が感情線の代わりに説明してくれますから、瞬間瞬間で勝負する感じですね。

──今後Galileo Galileiにどういう期待を抱いていますか?

普通なら、繊細で壊れやすい青い部分を失わないでほしいと言うと思うんですけど、彼らの場合、繊細だけど壊れやすくない感じがするんですよ。すごく強い。でもちゃんと青さは持っている。そこが変わらなければいいと思います。雄貴くんも少しずつ声の質が変わっていってますし、もしかしたらこれから楽曲の方向性がどんどん違うものになっていくかもしれない。でも核の部分は変わらないと思います。稚内で培った核の部分がしっかりしている。場所や土地から浮かび上がってくるもの、生まれてくるものを大事にしているところがすごくいいなと思います。そのままの姿勢で行ってほしいですね。

映画「管制塔」2011年4月9日(土)~4月22日(金)2週間限定 / 東京・新宿バルト9/大阪・梅田ブルク7にて公開

監督:三木孝浩

脚本:持地佑季子

出演:山﨑賢人、橋本愛、松田美由紀、利重剛ほか

主題歌:Galileo Galilei「管制塔(acoustic)」

制作:ROBOT

企画・製作・配給:ソニー・ミュージックエンタテインメント/SMEレコーズ

特別協力:TOKYO FM「SCHOOL OF LOCK!」

公開劇場:東京 新宿バルト9 / 大阪 梅田ブルク7

公開日:2011年4月9日(土)~4月22日(金)2週間限定

チケット価格:一般・高校・大学 1200円 / 幼児・小学生・中学生・シニア:1000円

Galileo Galilei(がりれおがりれい)

アーティスト写真

2007年に北海道・稚内で結成された4ピースロックバンド。メンバーは尾崎雄貴(Vo,G)、岩井郁人(G)、佐孝仁司(B)、尾崎和樹(Dr)。もともと音楽や映像が大好きだった雄貴&和樹の尾崎兄弟が、自宅のPCでさまざまなライブ動画を観たことをきっかけに自宅にあった楽器に触れるようになる。この“遊び”が母体となり、佐孝とともにGalileo Galileiを結成。バンドオーディションに送ったデモテープがきっかけとなり、5,000組超の参加者の中からファイナルステージまで昇りつめグランプリを獲得する。2009年11月に岩井が加入し現在の編成に。同年末に屋内フェス「COUNTDOWN JAPAN 09/10」に初出演を果たし、翌2010年1月にはデビュー前にもかかわらず「ハマナスの花」がau「LISMO!」CMソングに起用される。この曲を含むミニアルバム「ハマナスの花」で、同年2月にメジャーデビュー。2011年2月には初のフルアルバム「パレード」をリリース。オリコンウィークリーランキング初登場5位を記録した。