音楽ナタリー Power Push - 花澤香菜

自作詞で表現した あたらしい私

今年2月にリリースされたシングル「透明な女の子」では、山崎ゆかり(空気公団)の楽曲提供およびトータルプロデュースで新たな表情を見せた花澤香菜。続く通算10枚目のニューシングル「あたらしいうた」では、音楽活動初期から彼女を支える北川勝利(ROUND TABLE)のプロデュースのもと、花澤自身が全3曲の作詞を手がけている。花澤はこれまでの作品でもたびたび作詞にチャレンジしてきたが、シングル表題曲の作詞を担当するのは今回が初めて。インタビューでは楽曲制作のプロセスと、その作業を通じて感じた思いを語ってもらった。

取材・文 / 臼杵成晃 撮影 / 塚原孝顕

空気公団とのジョイントライブで刺激的体験

──まずは近況というか、前作「透明な女の子」の発売後、シングルリリースイベントとして行われた空気公団とのジョイントライブ(参照:花澤香菜×空気公団、月見ル君想フで一夜限りのジョイント公演)の感想を聞かせてもらえますか?

花澤香菜

いやー、かなり楽しかったです。振り返ると、ジョイントライブって「初恋ノオト」(2012年7月に発売された2ndシングル)のときの中塚(武)さん以来なんですけど、あのときはガチガチすぎて記憶もあまり残っていないんです。

──花澤さんは今でこそライブに積極的ですけど、「初恋ノオト」の頃はまだソロでの活動が始まったばかりだから、ライブ慣れもしてなかったですよね。

はい。にもかかわらずあの大編成で、ステージに乗り切れないほどのミュージシャンの皆さんと一緒に歌って、緊張していたことしか覚えてないんです。でも今回はとにかく楽しかったですね。カバーを歌う機会もなかなかなくて……やくしまる(えつこ)さんとのコラボのときも何曲か歌わせてもらいましたけど(参照:花澤香菜、やくしまるソングで耳を支配&アドリブアフレコ紙芝居)、今回は生バンドで、しかも空気公団の皆さんと一緒に空気公団の曲を歌うという、かなり刺激的な体験ができました。

──月見ル君想フの独特なムードも新鮮でしたし、あの会場はステージと客席の距離がすごく近いから、普段のライブとはまったく違う雰囲気でしたね。お客さんの顔があれだけ近いとさすがに緊張するんじゃないかと思ったんですけど、ひたすら楽しそうで。

「かなめぐり」(参照:花澤香菜、歌と朗読の「かなめぐり」最終公演で「ラスめぐり!」コール)もお客さんとの距離が近い会場が多かったので、その緊張感にはだいぶ慣れました。

──何よりも、いつもの北川勝利(ROUND TABLE)さんや末永華子(Key)を中心とした演奏メンバーじゃないサウンドで聴くライブというのが本当に新鮮でした。

演奏する人であんなに雰囲気が変わるんだなあって思いました。面白いですよね。オータ(コージ)さんのドラムも独特で、そこに乗っかってそれぞれが楽しんでいる感じがすごく新鮮でした。

“4thシーズン”の新たな挑戦

──花澤さんはこれまで各アルバムごとに1stシーズン、2ndシーズン、3rdシーズンと新たな挑戦を繰り返してきて、前作からは4thシーズンに突入しました。空気公団とのタッグという挑戦で始まった4thシーズンですが、その2歩目は1stシーズンから続く北川さんのプロデュースで、新たな挑戦としては「全曲自作詞」という。

花澤香菜

はい。次のタイミングでは北川さんプロデュースで、自分で歌詞を書いて、テーマは「かなめぐり」で感じたこと……というのは最初に決めていました。なので「かなめぐり」で全国を回っているときから、どういう詞を書こうかなと考えていました。表題曲の歌詞を書くなんて私にできるのかなあってずっと不安だったんですけど、山崎(ゆかり / 空気公団)さんに受けた刺激が本当に大きくて。

──山崎さんからは特にどのあたりに刺激を受けましたか?

メロディと歌詞が一体になっているあの感じとか、難しい言葉を使わずに深い意味を感じさせるセンスとか、歌詞だけじゃなく、普段お話をしているときの言葉にも影響を受けました。

──花澤さんの音楽活動を振り返ると、新しい出会いで刺激を受けては、北川さんと共にスタンスを確認しつつ新しい自分を表現する、という流れを感じます。

そうですね。どういうふうに成長できたかを確かめながら、新しいことに挑戦していくみたいな。北川さんは「かなめぐり」も一緒に回ってくれていたので、北川さんから見た私の変化が「あたらしいうた」には詰め込まれているのかなと思います。

ニューシングル「あたらしいうた」 / 2016年6月1日発売 / アニプレックス
初回限定盤 [CD+DVD] / 1728円 / SVWC-70170~1
通常盤 [CD] / 1296円 / SVWC-70172
CD収録曲
  1. あたらしいうた
  2. 今朝のこと
  3. Looking for your Smile
  4. あたらしいうた(Instrumental)
初回限定盤DVD収録内容
  • 「あたらしいうた」ミュージックビデオ

花澤香菜「あたらしいうた」リリースイベント

2016年6月4日(土)東京都 animate hall SHINJUKU
OPEN 16:30 / START 17:00
内容:ミニライブ&ポスターお渡し会
※申込期間は終了。
2016年6月5日(日)東京都 タワーレコード新宿店 7Fイベントスペース
OPEN 14:30 / START 15:00
内容:トーク&ミニライブ
2016年6月12日(日)東京都内(※抽選制 / 会場は当選者のみ発表)
[1回目]OPEN 13:30 / START 14:00
[2回目]OPEN 16:30 / START 17:00
内容:トーク&ミニライブ
花澤香菜(ハナザワカナ)
花澤香菜

1989年2月25日生まれ、東京都出身の声優。2006年放送の「ゼーガペイン」で初のヒロインとなるカミナギ・リョーコ役を演じ、2007年には「月面兎兵器ミーナ」「スケッチブック ~full color's~」「ぽてまよ」といった作品で次々と主要キャラクター役に抜擢された。その後も「こばと。」「化物語」「海月姫」などの人気アニメでヒロインを演じるかたわら、多数の作品でキャラクターソングを歌い、2011年放送の「ロウきゅーぶ!」では声優ユニット「RO-KYU-BU!」のメンバーとしても活躍。2012年4月にはシングル「星空☆ディスティネーション」でソロデビューを果たした。2013年2月には1stフルアルバム「claire」を発表し、同年3月には大阪・NHK大阪ホール、東京・渋谷公会堂にて初のワンマンライブを行い、いずれも大成功に収めた。同年12月に発売された5thシングル「恋する惑星」に続き、2014年2月には2ndアルバム「25」、2015年4月には3rdアルバム「Blue Avenue」を発表。同年5月にスタートしたライブツアー「花澤香菜 live 2015 "Blue Avenue"」では初の東京・日本武道館ワンマンも行われた。2016年2月には山崎ゆかり(空気公団)の全面プロデュースによる9thシングル「透明な女の子」、同年6月には全曲自作詞に挑戦した10thシングル「あたらしいうた」をリリース。