「かなめぐり」のハッピーを詰め込んだカップリング曲

──カップリングの2曲についても聞かせてください。先ほども言いましたが、この2曲は花澤香菜×北川勝利の得意路線というか、1stアルバム「claire」から続くきらびやかなポップスの発展形という印象でした。「今朝のこと」はパーカッションのグルーヴが心地よいですね。

「今朝のこと」は演奏が全部、バンドの同時録音だそうなんですよ。私も一緒にやりたかったなあ（笑）。デモを聴いたときから、すごくルンルンした楽しい気分になる曲だなあって。前のインタビューでも言いましたけど、私は歌詞を書いているとどんどん暗い方向に行っちゃうタイプなので、これはまずいぞと（笑）。でも「かなめぐり」ではお客さんからハッピーな気持ちもたくさんもらったので、みんなが聴いていて幸せな気持ちになれる、明るくてゴキゲンな歌詞にしたいなと思って書きました。この曲は北川さんが先にアドバイスをくださって。

──どんなアドバイスを？

「最初の一行のメロディが、最後にも出てくるよ。だから最初の一行のフレーズができたら、あとはきっとスルスル書けるよ」って。なので最初の一行をすごく慎重に考えました。テーマとしてはもちろん「かなめぐり」もあるんですけど……「愛するということ」（エーリッヒ・フロム著）という本の中に出てくる「愛する行為は筋肉のように鍛えれば付く力なんだ。その力は使っても減るものじゃない」という言葉にヒントをもらいました。そう考えると、愛情を注ぐことに出し惜しみすることはないんだなって。これはさっき言ったように、なるほどなと思ってメモ帳に書いていたんです。

──「Looking for your Smile」はホーンやコーラスが華やかなソフトロックテイストで、軽快なシャッフルビートの曲です。ちなみにコーラスの「シナモンロール食べ隊」とは……？

北川さんがレコーディング当日に「コーラスをにぎやかにしたい」と言って、スタッフまで参加して歌ってるんです。名前はみんなで出し合って、ほかにも「Looking for your Smiles」とかいろいろ候補はあったんですけどね。

──なんでシナモンロール食べ隊に落ち着いたんでしょうか（笑）。

私がこれがいいって言ったんです（笑）。

──あと「Looking for your Smiles」のキーポイントは、最後の最後に出てくる微笑みですね。これはすごい破壊力。

うふふふ（笑）。これは北川さんの案です。「最後に笑い声ください」って言われて「……笑い？」みたいな。

──なるほど。この曲の歌詞はどのように？

これは「かなめぐり」で感じた気持ちそのまんまですね。気軽にライブに来てほしいし、来ると安心する場所になればいいなという、そういう関係性になりたいという気持ちを書きました。

ワックワクですよ

──空気公団とタッグを組んだ前作「透明な女の子」、そして今作と、2つの作品ができたことで花澤香菜4thシーズンが点から線になりました。ここからさらにもう少し線が延び、面ができ、立体的になっていくのかと思いますが、すなわち4thシーズンとは花澤さんにとってどのようなものなのでしょうか。

山崎さんのプロデュースで新しい世界が見えて、そこで見えたものを「わーい、すごかったよー」と自分の中で膨らませたのが今回のシングルで（笑）。この先のことはまだ詳しくは言えませんけど、今まで歩んできたのは素敵な道のりだったんだなと実感できる展開になってきています。

──具体的なお知らせは、もう少し先になりますかね。

はい。でもワックワクですよ。

──ワックワクが待っているとしか今は言えない。

そうです。うふふ（笑）。

化学の実験みたいなドレッシング作り

──余談ですが、最近新しく始めたこと、ハマったものなどはありますか？

最近、自分でドレッシングを作るのにハマッてます。お酢に、オリーブオイルに、ちょっといい砂糖みたいな（笑）。野菜をたくさん食べなきゃなと意識してるんですけど、せっかくだったらおいしいドレッシングで食べたいなと思ったんです。でも市販のドレッシングの成分表を見てみると、油、お酢、砂糖って書いてあって……砂糖がどのくらいの分量入ってるかわからないから、自分で作ってみようかなって。

──へえー。料理好きの人でも、ドレッシングまでお手製って人は少ないかもしれないですね。料理自体はお好きなんですか？

えっと、別に好きではないです（笑）。でもドレッシングを作るのは、化学の実験みたいで楽しいんですよ。「これとこれを合わせると、こういう味になるんだな」っていう。

──なるほど。けっこう探究心が刺激されそうな。

そうなんですよ。「黒酢にしてみたらどうなるんだろう？」とか。うん、最近はもっぱらドレッシングですね。