音楽ナタリー Power Push - GORE-TEX Products「CROSSOVER beats」

tofubeatsがサウンドで表した“自然”と“街”のクロスオーバー

tofubeatsが手がけた楽曲を使用したミュージックビデオ「CROSSOVER beats」がYouTubeで公開された。

このMVは日本ゴア株式会社のテクノロジー機能性素材GORE-TEX Productsのキャンペーンテーマである「CROSSOVER THE FIELDS. -自然も街も、縦横無尽。」を表現した映像作品。tofubeatsが“自然”と“街”から聞こえる音を使って制作したトラックにより、普段何気なく聞こえるさまざまな環境音がクロスオーバーしていく様子が楽しめる。

音楽ナタリーでは、この映像作品の制作背景を探るべくtofubeatsにインタビューを実施。「CROSSOVER beats」に込めたこだわりを聞いた。

取材・文 / 石橋果奈

CROSSOVER THE FIELDS. -自然も街も、縦横無尽。

GORE-TEX Productsシリーズはその高い防水耐久性、透湿性、防風性から、アウトドアを中心にさまざまなフィールドで使用されている。同シリーズが2015年10月から掲げるキャンペーンテーマ「CROSSOVER THE FIELDS. –自然も街も、縦横無尽。」には、「家やオフィスから一歩出れば街も自然もアウトドアのフィールド」というメッセージが込められている。

「CROSSOVER THE FIELDS. -自然も街も、縦横無尽。」ビジュアル
「CROSSOVER THE FIELDS. -自然も街も、縦横無尽。」ビジュアル

「CROSSOVER beats」ミュージックビデオ

MVは楽曲に織り込まれたさまざまな環境音を求めてマイク片手に山の中や街などを駆け巡る3人の音響チームを捉えたストーリー仕立ての作品で、「雨も風もモノともせず、たくさんの鼓動に触れよう」というメッセージを表現。tofubeatsがフィールドレコーディングされた素材を使って制作した疾走感あふれるトラックと、映像がシンクロしていく気持ちよさを味わえる。なおMVに登場する音響チームはもちろん、スタッフもGORE-TEXファブリクス搭載の製品を着用して撮影に挑んだ。仕上がった映像に対して、tofubeatsはさらに楽曲をブラッシュアップし「CROSSOVER beats」を完成させた。

「CROSSOVER THE FIELDS. -自然も街も、縦横無尽。」ビジュアル
「CROSSOVER THE FIELDS. -自然も街も、縦横無尽。」ビジュアル

tofubeatsインタビュー

「CROSSOVER beats」ミュージックビデオのワンシーン。

──「CROSSOVER beats」のオファーを受けた際、楽曲についてどのような構想が浮かびましたか?

“街と自然”“クロスオーバー”というテーマを聞いたときに、「環境音が際立つようにリズム重視のトラックにしよう」というのは思っていました。「いろいろな風景がフラッシュバックするような動画になったらいいな」という気持ちがあったので、「インパクトのあるいろいろな環境音が重なる中でリズムが繰り返されるものにしよう」と思い作業をスタートさせました。

──GORE-TEX Productsについてどのようなイメージをお持ちでしたか?

今回の仕事をお受けさせていただいたとき、改めて自分の持っている物をいろいろと見返しただけでも、スニーカーやアウターなど「いろいろとGORE-TEXの製品にお世話になっているんだ」と感じました。そこまで意識して選んでいたわけでもなかったのですが、もともとこのクオリティにとても信頼感があったのだと思います。スニーカーやアウターなどはDJでタフな現場に行くうえで、ほかの服よりも安心して持ち込めますし、カジュアルなものでも撥水性や機能性がいいのは利用していてとても気持ちいいなと。すでに持っているモデルのスニーカーの新バージョンにGORE-TEXが採用されたと聞いたときには、カラー違いでGORE-TEXが採用されたモデルをあとから購入したこともあります。

──GORE-TEX Productsのキャンペーンテーマ「CROSSOVER THE FIELDS. -自然も街も、縦横無尽。」をサウンドで表現するにあたり、どのようにイメージを固めていきましたか?

「CROSSOVER beats」ミュージックビデオのワンシーン。

チームの皆さまに用意していただいた効果音をDAWソフト上に並べるところから始めて、最初の構想に合うように少しずつ成形していきました。雨の音と心臓の音がどんどんリズムになっていき、そこに打ち込みのリズムが合わさってストーリーが進むというイメージのトラックです。動画に合わせて、“自然”と“街”が一体となっていくようにアレンジを固めていきました。音楽的な部分に関しては、最初はリズム主体のイメージだったのですが「メロディもあったほうがいいかも」ということになったので、その意見も踏まえて仕上げていきました。

──街や自然が発する環境音をトラックにしていくという作業はいかがでしたか?

自分で環境音をレコーディングして素材として使ったりすることはこれまでもあったのですが、ここまで大量の効果音を扱うことはあまりないのでとても楽しかったです。本当に大量に素材をいただけたので、チェックするのがとても大変だったのですが……(笑)。それと普段、外を歩くときはイヤフォンをしているので「自分はそこまで外の音に敏感ではないのだな」と気付かされる仕事でもありました。GORE-TEXの製品のジッパーを上げ下げする音や、服から水滴をバサッと払ったときの音のような日常の何気ない音も、ちょっとした違いによっていろいろな鳴りがあって、それらを選びながら楽曲にしていくのはとても充実した作業でした。

──楽曲の聴きどころを教えてください。

やはり“自然”と“街”や、リズムとメロディがどんどん合わさっていく様を楽しんでいただければと思います。僕は最初の心臓の音と雨の「ザーッ」という音がリズムになっていくところが一番好きです。そこから最後にかけてグッと盛り上がっていきますんで、そういう流れも楽しんでいただければうれしいですね。

──完成したミュージックビデオはtofubeatsさんが手がけた楽曲とマッチした遊び心あふれる映像に仕上がっています。ご覧になった感想を教えてください。

「CROSSOVER beats」ミュージックビデオのワンシーン。

まずGORE-TEXのロゴがあしらわれた車、実物を見てみたかったです! 自然のパートも都会のパートもかなりたくさんの場所でロケされていて、「すごいな」と感じました。うれしかったです。そして我々も「この動画に登場する3人くらい録音に熱い気持ちをかけて都会を駆け抜けなくては!」と改めて思い直しました。新幹線を背に駆け抜ける録音部隊、カッコよかったです。あと、最初の雨のシーンで服は大丈夫なんすけど、マイクがダメになってしまわないかとても心配してしまいました(笑)。

──「CROSSOVER beats」の制作を経て、新たに挑戦したいことがあれば教えてください。

環境音を使った音楽制作についてまたいろいろと理解が深まったので、自分の作品でもこういった手法をいろいろと取り込めればいいなと改めて思いました。そういえば野外にレコーダーだけでなく、ガンマイクを持って行って録音しにいくというのはやったことがなかったので挑戦してみたいです(笑)。

tofubeats(トーフビーツ)

1990年生まれ、神戸在住のトラックメイカー / DJ。学生時代からさまざまなアーティストのプロデュースや楽曲提供、楽曲のリミックスを行う。2013年4月に「水星 feat.オノマトペ大臣」を収録した自主制作アルバム「lost decade」を発売。同年11月には森高千里らをゲストボーカルに迎えたミニアルバム「Don't Stop The Music」でワーナーミュージック・ジャパン内のレーベルunBORDEからメジャーデビューを果たした。2014年10月にメジャー1stアルバム「First Album」を、2015年9月にはメジャー2ndアルバム「POSITIVE」をリリース。2016年1月にはリミックスアルバム「POSITIVE REMIXES」を発表した。