2024年に楽曲「最上級にかわいいの!」がTikTokでブームになったことをきっかけに一気に知名度を高め、年末にさいたまスーパーアリーナを満員にするほどの飛躍を遂げた超ときめき♡宣伝部。彼女たちの快進撃は結成10周年イヤーの今年2025年も続いている。
昨年12月にリリースされたアルバム「ときめきルールブック」の収録曲「超最強」が春頃よりTikTokをきっかけに人気に火がつき、「最上級にかわいいの!」を超える大型の“バズ”に。サビのパートではなく、Bメロの「スマホのカメラロールなんて どうせ私ばっかでしょ!? むしろそうじゃなきゃ一生許さない!」という、推し活や恋愛関係など幅広いシチュエーションに当てはまる歌詞とそれに合わせたキャッチーなダンスが注目を浴び、TikTokでの楽曲総再生数は20億回を突破。週間TikTok音楽チャートトップ50では6週連続1位を記録した。
このバズが地上波でのテレビ出演などにつながり、グループの知名度がより一層高まっている中、ニューシングル「ハートな胸の内♡ / 超最強」がリリースされた。本作は清竜人が提供した新曲「ハートな胸の内♡」と「超最強」を表題曲にした両A面シングル。今回のインタビューではメンバーに「超最強」がバズった要因や「ハートな胸の内♡」の聴きどころ、さらには6人の声質の違い、9月に控えている横浜アリーナと大阪城ホール公演への思いなどを語ってもらった。
取材・文 / 近藤隼人撮影 / つぼいひろこ
お茶の間に浸透するとき宣の存在
───最近、とき宣に興味を持ち始めた新規のファンをSNS上で多く見かけます。「超最強」のバズを受けて、宣伝部員(超とき宣ファンの呼称)が目に見えて増えていますよね。
吉川ひより テレビ番組にたくさん出させていただけるようになったことが、やっぱりすごく大きいなと感じています。
坂井仁香 それによってアイドルファンじゃない方の目に留まる回数も多くなったのかなって。すごくうれしいです。
──とき宣が地上波のテレビ番組に出演するのは、今や珍しいことではなくなりました。ニュース記事で紹介しきれないほどです。
坂井 本当にありがたいです。いろんな世代の方に超ときめき♡宣伝部という名前を知っていただけているのかな、と実感することが多くなりました。昨日の夜も近所のセブンイレブンに行ったら、コピー機のところに、とき宣がタイアップさせていただいている「シェアプリント」のバックボード広告が飾ってあって。
小泉遥香 私も昨日別の場所で同じ体験をしました(笑)。
坂井 いろんなところで自分たちを見かけます。誰もが行く場所に広告が貼られていたり、誰もが観るような番組に出させていただいたり……私たちの存在がお茶の間に届いているのかなと思うと本当にうれしいです。
菅田愛貴 「大阪・関西万博」へロケに行ったときは、50代ぐらいのお父さんお母さんが「愛貴ちゃんだ!」ってうれしそうに手を振ってくれました。
坂井 「ラヴィット!」に出演させていただいているのはホントに大きいよね。愛貴ちゃんがレギュラー出演して活躍してくれたおかげで、今はとき宣としてシーズンレギュラーを務めさせていただいていて。番組を観ている幅広い世代の方々にとき宣を知っていただくようになりました。
辻野かなみ 6月にオーストラリアに旅行したとき、普通に街中を歩いていたら日本人の留学生の方に声をかけられたんです。日本から遠く離れたところでもSNSを通じてとき宣のことを知ってくれている人がいるんだ、とびっくりしました。
吉川 かなみん(辻野)とディズニーに行ったときも声をかけられました。私たちのことを見て「超最強」の振りの一部を踊ってくれる方がいたり。以前2人で富士急ハイランドに行って声をかけられたときは「最上級にかわいいの!」の振付を踊って見せてくれる方がいましたし、単に楽曲だけがバズるだけではなく、その曲を歌っているのがとき宣だという認識が広がっていることがうれしいです。
杏ジュリア 衣装ではない、私服の姿でも気付いてもらえるということは、ちゃんと顔を認識してくれているわけで、そう考えるとびっくりですし、うれしいですね。
辻野 ディズニーに行ったときはちっちゃい子が「いつも応援してます!」と言ってくれました。
吉川 そのお母さんが「この子、いつも踊ってるんですよ」って(笑)。
辻野 街中で私たちに気付いてくれる方は同世代が多い印象でしたが、「ひみつのアイプリ」のエンディング主題歌を歌わせていただいている影響もあって、最近は小さい子たちにもとき宣の存在が広がっているのを感じます。
坂井 お子さんが「ライブに行きたい!」と言って、親子で一緒にライブに来てくださる方もいるんですよ。小さい子に「あのお姉さんたちに会いたい!」と憧れてもらえるのはすごくうれしいです。
「超最強」がバズった要因は?
──超とき宣は2021年に「すきっ!~超ver~」、2024年に「最上級にかわいいの!」がTikTokでバズり飛躍を遂げましたが、グループとしてさらなるステージへ進むため、3度目のバズを狙いたいと昨年からずっと公言していましたよね。そして「超最強」で有言実行を果たしました。
杏 今年は10周年イヤーということもあって特に気合いが入っていましたし、「最上級にかわいいの!」以上のバズを作りたいとみんなで願っていました。
坂井 いろんな方々から10周年をお祝いしてもらっていて、自分たちでも、もっと10周年を盛り上げたいと思っていたので「超最強」がバズって本当によかったです。
吉川 去年の「最上級にかわいいの!」のバズがプレッシャーになっていた部分もあったので、心の底から安心しましたし、うれしかったです。
──3回もバズったということは、これはもう偶然じゃないですよね。「すきっ!~超ver~」のときは過去曲がTikTok上で思いがけず注目された形でしたが、グループ自体の人気や知名度の上昇が新たなバズにつながったのでは?
吉川 そうだとうれしいですね。
辻野 やっぱり曲に恵まれていることも大きいと思います。それに「最上級にかわいいの!」も「超最強」もバズを狙っていたとは言え、どちらもアルバム曲の1つなんですよね。本当は全曲バズらせたいし、狙いすぎると逆にダメなのかもしれないです(笑)。でも意図しない形であっても曲がバズるのはすごくうれしいですし、いい楽曲がそろっていることの証明でもあるのかなと思います。
坂井 「超最強」は、昨年12月にアルバム曲としてリリースしたときからバズを狙っていたんですけど、ここに至るまでいろいろと試行錯誤がありました。
菅田 何がたくさんの人の心に刺さるのか、私たちもまだまだつかめないです。
辻野 「超最強」はもともとサビがバズるといいなと思っていたんですけど、なかなかうまくいかなくて。そんな中、仁香がBメロの「スマホのカメラロールなんて どうせ私ばっかでしょ!? むしろそうじゃなきゃ 一生許さない!」というパートに着目して、その部分のダンス動画をTikTokに上げ始めたんです。それがきっかけで一気に楽曲が広まりました。
坂井 やってよかった……! 「すきっ!~超ver~」や「最上級にかわいいの!」と同じく紗子先生(振付師の槙田紗子)に振りを手がけていただいて、振り入れのときから「どこのパートがバズるかな?」と考えていました。曲を繰り返し聴いて、振りV(動画)を観て、どこがいいかなと考えた結果、「スマホのカメラロール~」の部分が私の中で一番ピンと来たんです。もちろんサビのダンスもかわいいんですけど、このパートはちょうどいい長さだなとも思ったんですよね。覚えやすいし、投稿しやすい長さ。
吉川 投稿する側の気持ちを考えているのがすごいよね。
坂井 最初はTikTokにその部分の公式音源がなかったから、ダンス動画を撮るときにママのスマートフォンで曲を流してもらいました。そのあとにスタッフさんに「ここを切り取って公式音源をTikTokに出してください!」とお願いしました。
杏 短めの尺、インパクトのある歌詞、難しすぎず簡単すぎない振付、そのすべてがマッチして、大勢の方に届くきっかけになったと思います。インフルエンサーの方々がカメラロールバージョンの音源を使ってオリジナルの動画の撮り方……カップルバージョンのダンス動画を投稿してくださり、それが広まったことも大きかったと思うので、SNSの力を再認識しました。
吉川 「超最強」はアイドルやアイドルファンの方に共感してもらえる“推し活ソング”だけど、彼氏彼女の関係、カップルにも当てはまる歌詞なんですよね。
菅田 最初にカップルバージョンの動画を投稿してくれた方に感謝です!
辻野 今回のバズはいろんなことに恵まれていたよね。カップルバージョンのダンス動画は彼氏役のほうは踊らず、ただ立っているだけなんです。だから、踊りが得意ではない人でも気軽に撮影できる。そこは大きなポイントだと思います。私たちもテレビ番組やイベントの共演者の方にコラボ動画の撮影をお願いしやすいです。「ただ立っているだけで大丈夫なんです!」って(笑)。
小泉 カップルで踊るペアダンスは今までもTikTokにあったけど、この形は新しいよね。
──「スマホのカメラロール~」の部分は吉川さんのソロパートです。今回のバズによって吉川さんの歌声がいろんなところで流れていますが、そのことに対してはどんな思いがありますか?
吉川 TikTokの画面を何度スクロールしても私の声がずっと流れてくるんですよ。たくさんの方の耳に自分の声が届いているだなと思うとうれしいですが、ちょっとプレッシャーも感じています。例えばフェスとかで私たちのライブを初めて観る方は、「『スマホのカメラロール』のパート、いつ出てくるんだろう?」と思っているのかなって(笑)。
──「スマホの裏側にだって ちゃんと私挟んでよ!」というパートもライブ映えするなと感じました。現在開催中の10周年記念ツアーでは「超最強」の歌唱中、観客が写真や動画を撮影できる“ロックオンフリータイム”が設けられていますが、宣伝部員が撮影のために掲げるスマホをメンバーが実際にチェックしていますよね。裏側にとき宣のステッカーなどを貼っているかどうか。
辻野 でも、ライブのMCで「ちゃんとスマホの裏側に私たちを挟んでください。宿題です」と伝えたのに、いまだにやってくれない人がけっこういるんですよ(笑)。
坂井 私に怒られたいからわざとそうしているんだと思います(笑)。